第31話 キーンの保護とアルト男爵の動向(中編)
アルト男爵と男爵夫人は、躾だと言われましたが、国王陛下は、どう受け取ったのですかね。お二人は、暴力を振るっているだけではないみたいですからね。
「なるほど、躾か。では、暴力を振るったことは、認めるのだな。」
「はい。」
国王陛下に躾だと認められて、安心しているようですが、安心するのは、早すぎませんかね。
「では、屋敷から出さぬことと、食事を与えぬことは、躾ではないと私は思うのだが、どういうことか聞かせてくれるかの。」
「!!」
「そそ……それは……」
「早く答えぬか。アルト男爵。男爵夫人でも構わぬぞ。」
「屋敷から出るのを禁止したのは、ランとキーンのためですわ。私たちに注意されるくらい礼儀ができてませんから、外に出て、恥ずかしい思いをするのは、二人なのですから。
食事を与えなかったなのは、罰が必要だったからですわ。」
「ほお、聖女認定の際に会ったが、聖女ランは、しっかりと礼儀ができていたがな。それは、そちらの教育の賜物というわけか。しかし罰とはいえ、毎日食事を与えぬというのは、どうなのかの。
特にキーンは、男爵家の跡取りだろう、神のもとへの階段を上られては、困るのは、そちらだと思うのだがな。」
「「!!」」
驚いていますが、ランもキーンも痩せぎみですが、毎日食事をしていなければ、もっと痩せ細っているでしょうに命に関わるくらいに……
「何を驚いておるのだ。報告は受けていると始めに言っただろが、しっかり調べはついておる。いいわけは無駄じゃぞ。」
「国王陛下、来られたようですよ。」
「そうか。宰相、中に入ってもらえ。」
「かしこまりました。」
叔父様が指示を出すと、扉が開き、アルン子爵が入ってこられました。
「なぜ、アルンがここに!!」
「私が呼んだからに決まっておろうが」
「国王陛下。アルン・フォン・クロイスラー、命により参上致しました。」
「アルン子爵、急な呼び出しすまぬな。」
「アルン子爵よ。早速ですまぬが、アルト男爵と男爵夫人は、自らの子を虐待し、屋敷から出さず、食事も与えておらなかったようでな。
クロイスラー子爵家で、保護してくれぬか。養子縁組も視野に入れての。」
「何と酷いことを……」
「「!!」」
アルン子爵は、聞いて辛そうなお顔をされてますね。
アルン男爵と男爵夫人は、驚かれてますね。まだ決まってませんが、養子も視野に保護ですからね。男爵家の後継者がいなくなってしまいますからね。
「国王陛下。お待ち下さい。キーンは、イヤシキーヤ男爵家の跡取りです。養子縁組も視野にとは、納得できません。」
「貴族の子は、年々生まれにくくなっておる。子は王国の未来に繋がる宝だ。それをお主らに任せていては、宝を失うことになりかねんからな。」
「今回のことは、これ以上の罰は与えぬ。自らの行為を改め、反省し、こちらで納得できれば、養子縁組せず、男爵家に帰そう。」
「話は以上だ。アルト男爵と男爵夫人は、自領に帰るがよい。」
国王陛下に言われ、アルト男爵と男爵夫人は、悔しそうな顔をし、兄のアルン子爵を睨み付けてから退室し、イヤシキーヤ領に帰って行きました。
「アルン子爵もキーンもすまぬな。急なことで驚かせてしまって、キーンよ。これからは、安心暮らすがよい。」
「国王陛下。ありがとうございます。」
キーンは、国王陛下から言葉を聞いて、安心したような顔されてますね。
そして、キーンは、アルン子爵と共に傷を治療するために姉であるランのいる神殿へ向かわれました。
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