第9話 視察


 盗賊団一味ほ、数名の兵士が近くの町に護送するために応援を呼びに行っているため、逃げられないように残りの兵士で周りを囲み、見張っている状態だ。

 この村は小さな村で、門番も村人が交代でやっていたらしく、牢屋もなく、守ってくれる衛兵も居ないので、そういう感じになっている。

 カイン様と私は、助け出した村長に話を聞いたり、今度こそ、視察をすることになった。


「カイン様、助けていただきありがとうございました。」


「いいのですよ。村長、これも我らの仕事の一つですからね。こういうことが今後、またあるかもしれませんからね。

 以前から言っていたように門番として衛兵を複数人派遣させる。」


「ありがとうございます。村人だけでは、対処出来ませんから本当にありがたいことです。」


「はじめまして、ソフィアと申しますわ。カイン様の補佐をすることなりました。それで魔物の被害とかは、大丈夫なのですか。」


「村長をしております。ダナンです。はい。最近は、魔物が出たり、村人や家畜が襲われたりなどの被害は出ておりません。


「では、視察をしたいから案内してくれ。」


「わかりました。こちらになります。」


 村長の案内され家畜や畑を見たり、収穫量の見込みを聞いたりした。

 今のところ魔物に襲われたり、大雨などの天災もないので、例年より少し多いくらいの収穫等が見込める様で、税の支払いも問題ないらしい。

 領地経営している側としては、税の支払いが滞ることがないのは、ありがたい。

 貴族の中には、人なんてすぐに生まれてくるから殺したとしても村一つなくなったとしても税収には影響ないと考える人もいたりします。

 私を追い出したクライシス公爵家もそのような考えの貴族の家でした。

 影響がないわけがないのです。

 平民あっての貴族なのです。平民がいなくなれば、貴族としてやっていけないのです。

 この村は小さいけど村人たちには笑顔が多く、他国と接しているよりかは、ましですが他領と接しているので、トラブルもあるでしょうにいい村ですね。


「村長、あの盗賊団は、何処から来たとか言っていたりしてなかったか。」


「はい。見張りをしていた者が、マッドランカ村をいただいて、さっさとモルモート領に帰りたいと愚痴をこぼしておりましたので、隣の領のモルモート領から来た者たちだと思われます。」


「モルモート領か。人口が減ってきていて、税収も減っていると聞くし、領主のザザン・フォン・モルモート伯爵は悪い噂ばかり耳にするからな。

少し調べてみる必要がありそうだな。」


 そうして、村の視察は終えた私たちは、ノイヌーヴォ家の屋敷に帰ってきました。


 今回のマッドランカ村のことは、ドナルド叔父様に報告が必要ですし、もし他領が関わっているのなら領民たちだけでなく、王国全体に影響がありますからモルモート領から来ただけのだだの盗賊団であってもらいたいですわ。


 執務室で報告書を書かれているカイン様の隣で万が一の可能性について考えてましたわ。

 勿論、仕事をしながらですわよ。

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