第10話 レベッカの所に(王太子side)


 国王から謹慎を命じられ、自室に籠っていたマッカート王太子であったが、最初から謹慎には不満があったが、国王から直接言われた命令なので、しかなくしたがったものの現在は、部屋をバレないように抜け出せないものかのと考えていた。


 なぜ、抜け出したいのかというとそれは、レベッカに会いたいからである。


 一番最初に自室にレベッカを呼ぶことを考えたが、2人の関係を認めない国王が、レベッカの入城を許可し、マッカートの部屋に来させるわけがないと思ったので、別の案を考え始めたのだ。


 そもそもマッカートは謹慎中であるので、自室にレベッカどころか誰か人を呼ぶことなど出来ないし、マッカートの部屋の前には、見張りの者がいるので、気づかれずに抜け出すことなど出来ないのであるがそこまでは思い至ることができなかった。


 見張りは部屋の中には入ってこないので、外の警備している兵士に見つからないようにするために抜け出せるとしたら夜中に、部屋の窓からロープは無いので、シーツなどを使って下に降りて抜け出すことは出来るかもしれないが、落ちたら大怪我どころか死ぬ可能性が高いので断念したマッカートであった。


「クソ、どうしたらいいんだ。レベッカに早く会いたい。」


 そんなことを考えていると誰かが部屋に近づいてくる足音がし、鍵を開ける音がして、マッカートの部屋の扉が開いた。


 マッカートは謹慎が解けたのかと思っていたが、反省もしていないし、それに謹慎が1日で解けるわけがない。


 マッカートが町外れなことを考えていると二人の男が入ってきた。


「ザザン伯爵に、ザジではないか。」


「マッカート王太子殿下、お静かに。謹慎させられたそうで……」


「誰からそれを聞いたのだ。城内にいる者以外、知るはすがないと思うのだが……」


「まあ、それはいいではないですか。ここから抜け出す手助けをしに来ました。」


「それは助かる。しかしどうやってここから抜け出すのだ。」


「狭くて辛いでしょうが、この箱の中に入ってもらいそれで城から抜け出す計画になってます。」


「狭いのは辛いが抜け出せるなら我慢しようではないか。」


 早速、マッカートは、箱の中に入った。

 モルモート親子は箱の蓋を閉め、連れてきていた従者二人に運ばせ、城から出た。


「2人共、助かったぞ。礼をいう。」


「いえいえ。礼には及びません。」


「いつもいつもありがたいことだ。それでは、私は行く。」


「「はい。お気をつけて」」


 なぜ、モルモート親子が謹慎のことを知っていて、城からマッカートを抜け出させることが出来たかというと、まず、普通は謹慎中のマッカートの部屋に近づくことは出来ないのだが、伯爵は城勤め兵士に内通者を送り込んでいたからであり、親子が部屋に入ってきた時間帯はその内通者が見張りの時間だったからである。

 そして、人が入れるほどの箱を持っていれば怪しまれるが、聞かれた場合は、適当に説明して誤魔化したのである。

 モルモート親子がマッカートが城から抜け出すのに手を貸したかというとそれは勿論、王太子であるマッカートに恩を売っておいて、国王になったら自分や派閥の者たちをいい役職につけさせ、マッカートを使って自分達が甘い汁を吸うためである。


 一方、城を抜け出せたマッカートはレベッカに会える喜びから大事なことを忘れている。国王は最後のチャンスと言ったし、次に問題を起こせば廃嫡の可能性もあると言っていたのだ。

 謹慎中に抜け出したことがバレれば、廃嫡になる可能性があるということだ。


 廃嫡に関しては、国王と王妃とマッカートしか知らないことなので、バレた場合は、マッカートが廃嫡となるだけでなく、モルモート親子やモルモートの派閥の者たちの思惑も水の泡と消えるのである。

 廃嫡のことを知らなかったとはいえ、完全に愚策である。

 そもそも出来のいい第二王子ではなく、出来が悪く操りやすいからとマッカートに恩を売りまくって、甘い汁を吸おうなどと考えいた時点で大失敗なのである。

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