第7話 領界の村の異変

 怖いお顔をされていたカイン様がどうやら行動に出るみたいですね。


「お前の名を聞こうか。」


「へえ、私は、キッカスと申します。代官様。」


「そうか。ではキッカスよ。見舞いたいと思うのでな、村長のもとへ案内してもらおうか。」


「村長は、先程も申した通り、病に伏せておりまして、意識もない状態ですので、見舞いなどされても意味がないかと思います。」


 このキッカスと名乗った男ですが、私たちを村長に会わせたくない感じですね。

 益々、怪しいですわね。いったい、この村はどうなっているのでしょうか。


「わかった。では、私たちが村を見て廻って、村人に話を聞いたりするのは、構わないか。」


「はい。大丈夫でございます。」


 村を見て廻るのよろしいのですね。

 カイン様が視察に同行した兵士と何やら話しているようですね。

 どうやら、複数に別れて、村を見て廻るようですね。

 私は、カイン様と一緒に村を見て廻ることになりましたわ。


「ソフィア嬢行きますよ。」


「はい」


 家に行き、村人から話を聞くことにしましたわ。

 私たちにキッカスが着いてくるようですね。

 普通なら代官が来たのですから家から出て来てたりするものですが、家から出ているのは、キッカスだけなのだから何かあるのか聞かなければならないのだ。

 生活しているのだから外に出ているのが1人だけしか居ないという状況もおかしな状況だ。


「話を聞かせてもらいたい。入らせてもらうぞ。」


 カイン様が家の中にいる村人に、家に入ることと、話が聞きたいということ伝えてから家に入った。

 まあ、村人から了承は得てませんが、こちらは貴族ですからね、断る村人が居るとも思いませんし、いいのでしょう。


 夫婦が出てきましたが、こちらを探っているような感じですね。

 入ることは伝えましたが、いきなり許可なく入ってきたからですかね。

 カイン様は気になることがあるようですわね。


「お前たちの名前を教えてもらおうか。それに以前、ここに住んでいた者と違うが、以前住んでいた村人はどうしたのだ。」


「私はアンジ、隣に居るのが妻のハクです。私たちは3ヶ月前にこの村で暮らすようになりました。以前、住んでいた村人がどうしているのかは、存じません。」


「そうか。私が前回来たとき以降にに来たものか。」


「そうでございます。」


「では、キッカスはここの以前の住人がどうしてたのかわかるか。」


「いいえ。突然居なくなったので、わかりません。」


「そうか。この夫婦にここに住む許可を出したのは誰なのだ。」

 

「私でございます。」


 カイン様が存在しない村の名前を言って、かまをかけたようです。この村に名前はマッドランカ村です。3ヶ月も住んでいる村の名を間違えるでしょうか。

 住んでいる村人まで怪しいですね。そうなると私たちが入ってきた時のこちらを探るような目も別の意味にとれますわね。


 キッカスの方を見てみましたが、何かに気づいたとかはなく、普通にしていますわね。

 キッカスは顔に出さないタイプには見えませんからキッカスも間違いには気づいてないようですわね。

 それに以前住んでいた村人が、突然居なくなったとしても、もしかしたら戻ってくるかもしれないないのに、他から来た者を住まわす許可を出したというのもおかしな話だ。

 この村長代理を名乗る男とこの村人は何者なんでしょうね。

 兵士が見に行った家でも同じ状況になっているかもですね。

 そうすると本当の村人たちはどこで、どうしているのでしょうかね。

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