第6話 清々しい朝


叔父様の屋敷に来て、初めての朝ですわ。

まあ、当たり前ですけどね。

しかし、クライシス公爵家の家族が居ないと思うと、ぐっすりと寝れ、素晴らしく、いい目覚めですわ。

専属メイドの方たちが来たのでしょうか、扉を叩く音がし声がしますね。


「アリスです。入ってもよろしいでしょうか。」


「構いませんわ」


私が、許可を出すとアリスとナナが入ってきました。

ミナはいないのですね。


「おはようございます。ソフィア様。身支度を整えさせていただきます。」


「着替えは、自分でやりますので、髪のセットだけお願いしますわ。

二人だけでミナは居ないのですね。」


貴族は、服を脱いだり、着たりは自分でやらずにメイドにやってもらうのが、普通なのですが、私はそういうのが好きではなく、できるだけじぶんでやりたいのです。

しかし、すべて自分でやってしまうとメイドの仕事を奪うことになり、メイドがいる意味がなくなってしまうので、髪のセットだけはお願いするようにしています。

それに、自分でやるより、メイドにやってもらった方が綺麗にセットしてもらえますからね。


「かしこまりました。」

「ミナは、ソフィア様のご朝食の準備をしております。」


「では、髪をセットさせていただきます。」


アリスによるとミナは、私の朝食の準備をしているから居ないみたいですね。

三人も居ても、髪以外は自分でやるので、やることがないですからね。

ナナに髪をセットしてもらいながらそんなことを考えいました。


「ナナは髪をセットするのが上手いわね。」


「お褒めいただき、ありがとうございます。」


アリスは髪をセットしている間に、私の脱いだ服を片付けています。

ナナにより綺麗な巻き髪にセットしてもらい、朝食を頂くために食堂へ向かいました。


「叔父様、カイン様、おはようございます。」


「ソフィア、おはよう。昨日はよく眠れたかい。」


「はい。ぐっすり眠ることができましたわ。」


「おはよう、ソフィア嬢」


「私たちは先に頂いているから、ソフィアもたべるといい。

朝食が済んだら、今日からやることをカインから聞くといい。」


「はい。叔父様、頂きますわ。」


私が席に着くとミナが私の為の朝食を運んできました。

クライシス公爵家では、家族で食事をすることは、ありませんでしたので、こうして屋敷で誰かと食事をというのは、すごく新鮮です。

そうして、朝食も済みカイン様の補佐として働くために説明はを受けました。


「ソフィア嬢、今日はまずソフィア嬢にノイヌーヴォ領を知ってもらうために領地をまわります。

ちょうど、視察の予定も入ってましたからね。」


確かに人から聞くだけでは、すべてを把握することは出来ませんし、直接見て、どんな問題があるのか。

より良くするには、どうするべきかはそのあとでもいいのです。

領地の中心部は栄えていて、パッと見では、領民も幸せにそうに生活していいるように見えたとしても、スラムのような貧しく生活に困っている領民は集まる場所は出来てしまい、そういう場所は犯罪の巣窟となるのです。


「今日は、目の届きにくい領地の境の村に行きますよ。」


「はい。わかりました。」


私たちは馬車で、ノイヌーヴォ領と他領との境にあるマッドランカ村に向かいました。


「代官をしているカインだ。視察に来た。村長はどこですか。」


「これはこれは代官様。ようこそマッドランカ村にお出でくださいました。」

「村長は、病気で伏せっておりまして、私が代わりをさせていただいております。」


目の鋭い男が村長代理だということで話を聞こうと思ったのですが、カイン様を見ると怖い感じの表情をされてました。

それに村長代理の男ですが、なにやり胡散臭さを感じます。

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