第8話 ランキング上位陣
「ランキング発表されてるんだって!!」
「え、どこに?」
「1階の渡り廊下! 早く見に行こうぜ!」
1年生交流会が終わり、休みを2日挟んだ次の日の昼休み。
廊下が騒がしくなったからなにが起こったのか聞き耳を立ててみると、どうやらランキングがもう発表されたみたいだ。
「はえーな。 見に行くか??」
「見に行こうぜ。 結果気になるわ」
俺とオーウェンは食器を片付けて席から立ち上がり、食堂を出て廊下へと出る。
すると、さっきトイレに行ったカミラとアリスに遭遇した。
「2人とも結果見に行くの?」
「おう。 気になるしな」
「なら、私達も一緒に行かせてください」
「別にいいぜ。 でも、アリスは結果分かってるも同然じゃね?」
「それでも気になるじゃないですか」
俺たちは話しながら結果が貼られている場所へと向かう。
着くと多くの人で賑わっていた。 うわっ……時間ズラした方が良かったかも。
「もうちょっと待ってから見ない? あれじゃあ見れるもんも見えねーよ」
「バルーノの言う通りだね。 時間もまだあるし、のんびり待とっか」
俺たちは授業の内容で意見交換をしたり、分からなかったことを聞き合う。
そんなことをしていると人混みは減り、結果が見やすくなった。
「そろそろいいかもしれませんね」
「そうだな。 じゃあ、見に行くか」
俺たちは人の邪魔にならないようにしながら、結果が貼られている掲示板を見る。
そこには30位から名前が書かれていて、TOP10は派手に書かれていた。
1位=アリス=アトラス
2位=アーテル=ノルヴァン
3位=フラン=オーリオ
4位=ガルド=ルーティア
5位=バルーノ=エルガー
6位=ラル=ナーティア
7位=オーウェン=ガルシア
8位=シーラ=ペレス
9位=カミラ=コールマン
10位=フィル=スタンリー
…………………………………………
「まぁ、全勝のアリスが1位なのはしょうがないよね」
「ぐぁぁぁ! 俺、7位かよ!」
「私ギリギリの9位! 悔しいぃ〜〜!」
「……………」
まぁ、俺の5位は妥当なところだな。
1日2試合✖︎10日間。 その中で、俺は『竜姫』に負けた以外は全部勝ったから、19勝1敗。
ここから入試の成績とかも加担されるから、この順位は妥当なところだ。
俺の上にいるガルド=ルーティアは勝率は一緒だけど、入試の成績が俺よりも良かったんだろうな。
「バルーノだけでも驚きだったのに、8位のシーラ=ペレスっていう無名の女の子も、随分強かったよなぁ。 それ以外はまあそうなるよねってメンツばっかだな」
「私直接戦って負けちゃったよ!」
茶色の髪をポニーテールにし、目元を隠すような髪型をしているシーラは、土属性の魔法が凄かったな。
「あいつとも戦ってみたいもんだ……で、アリスはさっきからどうした? そんなに頬を膨らせて」
俺はさっきから黙って頬を膨らませて不貞腐れていれるアリスを見る。
その姿はまるでリスのようで、なんだか様になっていた。
「……だって1位は1位ですけど、私他の『五彗星』と当たっていないし、バルーノ君とも戦えなかったんですよ!? なんだか不完全燃焼です!!」
そうなのだ。 実はアリスだけ他の『五彗星』と戦ってないし、俺と戦っていないのだ。
フランは俺に負けたけど、『竜姫』から勝ちをもぎ取っている。
『竜姫』はフランに負けたけど、俺から勝ちをもぎ取っている。
俺は『竜姫』に負けたけど、フランから勝ちをもぎ取っている。
俺たちは戦っているけど、アリスだけなぜか誰とも当たらなかったのだ。
「不完全燃焼です! これで1位だとしても、私が納得できません!!」
「まぁまぁ、まだ学生生活は長いんだし、気長にいこうよ」
カミラがアリスの肩をポンっと叩いた。
「分かってます! 分かってるけど、他の人たちは戦っているのに、私だけ戦えていないのはモヤモヤします! むむむむ……!!」
こうやって関わるようになって分かったことだけど、あんがいアリスは勝負事に拘る。
でも、そういうところが強さの秘訣の1つだったりするのかもなと、俺は思った。
「俺も戦えなくて残念だったよ。 また、次の機会があるはずだから、その時戦おうぜ」
「バルーノ君……そうですね。 ちょっとお見苦しいところを見せちゃいました。 ごめんなさい」
アリスはペコっと頭を下げる。
俺も実は、アリスとだけ戦えなかったのは心残りになっていた。 どうせ2人と戦ったのなら、アリスとも戦いたかったな。
「まあ、その辺の話は一旦おしまいにして、今から今週の休みについて話そうぜ!」
オーウェンが話を切り、張り切りながら言う。
今週の休みに1年生交流会お疲れ様でした会と、親睦会を兼ねてこの4人で王都で遊ぼうという話が出ていた。
正直、同学年とこういう遊びの約束をしたことがなかったので、ワクワクで楽しみだ。
なんだか青春っぽくていいな。
「あそこのアイスクリーム屋は外せない!」
「中通りにある服屋さんも行きたいですね」
「俺は闘技場に行ってみてぇな! バルーノは行きたいところないのか?」
「俺? 俺はーーーーーー」
俺たちは教室に戻りながらあーだこーだと話をする。
教室に戻るとみんなの意見を紙にまとめて、スケジュールを組み始めたのだった。
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