我は隠キャ  ハッカー!

@kunishiro_1066

プロローグ

「隆二起きなさい!ご飯よ!」

一階からお母さんの声が聞こえた。

「まだ寝てて大丈夫でしょーまだ6時だよ?

 七時半に出れば間に合うじゃん」

僕の通う私立黒崎高等学校は家の近くにあり、自転車で15分程の距離である。

「今日はあんたの始業式でしょー?それに部活で準備するんじゃないの?

 高校2年生になるんだからしっかりしてよねー」

あ、そうだった。うちの高校は、午前に入学式、始業式をして、午後に部活や委員会の見学会がある。

コンピューター部は部員がいない為、

高校3年生の舞香部長が「今年こそはがんばるぞ!」とか言ってた…

コンピューター部の部員は僕を入れて4人

黒崎大学の附属校で中学もついているので、

他の部は中学生も何人かいるはずなのだが

うちの部は0。

今年こそは部員を増やしたい、けどパソコンいじるだけという名目の部にひとは来るのだろうか。




「えぇ〜ということで今年一年間頑張ってください」

始業式恒例の校長先生の話が終わり。

新しい教室へと向かった。

「げっ、またあいつらか…」

教室を覗くと陽キャの

栗林たちが見えた。

栗林たちはいい人なんだけどテンションが高すぎるというか…ついていけない。

教室のドアを開けて

「お、おはよー。今年もよろしく。」

か細い声で言った。

すると、栗林が

「よぉ!隆二、今年も同じクラスか!

よろしくな!」

取り巻きたちも「よろしく」と言ってきた、

栗林が続けて

「今度みんなで遊園地で遊ぶんだけどお前も来るか?」

遊園地…人混みが嫌いな僕にとって悪夢…

なんて答えよう、栗林くんは僕を思って誘ってくれたわけだし…

その時ドアが勢いよく開いた。

「野々村隆二くんはいますかー?」

舞香部長だ、彼女はこの部で祐逸の陽キャ。

「部長、ここにいますよ」

返事をすると、

いきなり入ってきて僕の手を掴み、「部室に早くいこ!」と言い教室を飛び出した。


部室の中には34台のパソコンと、自分達専用のパソコンがある。

部室にはみんな揃っていて体験用のパソコンも用意してあり、パーティーで使うような飾りをつけていた。

「お!おはよ」

木村副部長だ。少し体格がいいが、運動神経は皆無、顔も勉強も至って普通。高校3年生。

「おはようございます」

すると壁にようこそと書かれた紙を貼ろうとしている鈴木奈々が

「ちょっとこっち手伝って!」

彼女は小柄なので手が届かないようだ。

「本当に新入部員来るのかな」

僕が呟くと、

「わかんない」

と奈々が笑って答えた。

「おっと、」

落ちた紙を拾いながら

「グウゥ」

奈々のお腹が鳴った。

「朝から何も食べてなかったので.」

副部長が笑いながら、

「そろそろお昼だし休憩にするか」

「「はーい」」

一同は解散した。

「あ、野々村くん。

 これ、よろしくね!」

そういい、部長も部室から出て行った、

「げっ」

袋の中には変な着ぐるみが入っていた。

着ぐるみの胴体部分には『パソコンくん』と書いてあり、顔がパソコンの形をしていた。

「…」

僕はおにぎりを片手にネットサーフィンをしていた。




1時間後

舞香部長達が戻ってきた

「あと30分で見学会始まるね!」

舞香部長はご機嫌だ

「今年こそ誰かしら来るといいな」

副部長が心配そうに言った

「誰も来ないかもしれませんね」

奈々はお弁当箱片手に言った。

部長が

「みんなで部員GETしよう!」

といい、俺は着ぐるみを着た。

すると背後から3人の笑い声が聞こえた

「笑うな!」

そういい、宣伝のため一年生の教室の近くへ向かった。


校内を歩いても歩いても笑われるだけだった。近くにはバスケ部のユニフォーム栗林がいて、一年生に大人気だった。

折れた僕は部室は戻った。

「はー疲れた、こんな役二度とやだね」

そこには

初めて見る人がいた

「もしかして…見学の子?」

奈々が答えた

「そうなの!まさかほんとに来るとは私も思ってなかったけど」

高1の北村瑛一

だそうだ。

彼はプログラミングに長けているようで、

見学中にハッキングアプリを一つ作ってみせた。



この日、部には北村くんしか来なかった。

「ま、1人増えただけでも収穫よ」

僕たちの伝説はここから始まるのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

我は隠キャ  ハッカー! @kunishiro_1066

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ