第26話 勝利

 刹那は目の前に迫り来る魔法を致命傷にならないように剣で防ぐがそれでも防ぎきることはできずに足や肩、頰などに魔法を受けてしまう。


刹那はそのまま吹き飛ばされ地面に足をつき体勢を立て直そうと剣を地面に突き立てる。どうにか踏みとどまり、剣に寄りかかりながら立つ。


刹那が弱っているのを見てかはわからないが無数の邪神が囲むように迫ってくる。


「弱っている一人に対して複数体の邪神で攻撃してくるとか最低だな。」


 奴はまだ攻撃できる体勢じゃないか。こいつらをどうにかする時間くらいはありそうだな。


 地面に突き刺していた剣を抜き、初級邪神に突っ込む。刹那の攻撃に何もできずあっさり一匹目は倒される。


慎重に行きたかったが、怪我をしているこの体ではそうもいってられないので邪神に突き刺した剣を抜きながら他の邪神の行動を確認する。一体目がいきなり倒されたことで焦ったのか邪神達は刹那がさっきやったように突撃してくる。


「俺の真似か?それでは、俺に攻撃を当てることはできないぜ。」


 倒した邪神を蹴って大きく飛び、邪神達の攻撃を避ける。地面に足がつくとそのまま地面を蹴って集まった邪神達に攻撃を入れようとする。


だが、


「アァァァァァァ」


という音が聞こえ、その音と同時に刹那の攻撃を予想していたかのように邪神達は左右に分かれて避ける。


攻撃を避けたことだけでも驚くべきことなのにここまで統制が取れている。そこに驚きが隠せない。


全ての邪神が今、初級の邪神達がいなくなり、目の前にいたのはさっきまで戦っていた中級の邪神だった。


初級の邪神を倒そうと、突っ込んだ刹那の剣を中級の邪神は爪でちゃんと受け止める。


邪神に誘われた。


身の危険を感じた刹那は咄嗟に後ろに飛んで距離を取り状況を把握する。


「あいつは自分が動けなくなることがわかっていたから時間稼ぎ、運が良ければ倒せるように指示を出したのか。」


 こいつはただの中級邪神じゃない。


 中級邪神と睨み合いを続け、直感で同時に動き出す。中級邪神に攻撃を仕掛けようとすると目の前に初級の邪神が邪魔をするように突撃してくる。それを避けると周りの邪神がどんどん突撃してくる。それを全て避ける。


 この数をこの程度しか生かせてないなら余裕で勝てるな。その自信と共ににやけて、


「さっきのは痛かったぜ。だからお返しだ。」


 中級邪神がどこにいるか確認することなく、剣を上に向かって投げ、気を晒した中級邪神を殴る。単純な邪神ではないが、次どのように攻撃してくるかぐらいは長年の経験から予測できる。


最後にくるのがこいつだと簡単に予想できるし、どんな風にどのタイミングでくるか何故かわからないが完全に予想できた。


刹那の渾身の一撃が邪神の腹に入る。それでもなお動く邪神だったが、上空から剣が落ちてきて、邪神の肩と思われる場所を斬り裂く。


「終わりだ。」


 そのままその剣をキャッチして一回転して隙だらけの邪神を斬った。真っ二つに分かれた邪神はそのまま動くことなく消滅していった。


「倒したみたいだな。」


 辺りを見渡すと邪神どもは中級の邪神を一人で倒した刹那のことを見て驚いているようだった。


「一度襲った相手を前にして戦意をなくしそうになるなんてありえないよ。相手によっては倒さないで放っておく奴もいるが、俺はそんなに優しくない。悪いが、消えてもらうよ。」


 そう言って、何もしようとしてこない邪神達を一方的に倒していった。

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