第18話 襲撃
翌日。生徒の数はいつもより少し少ない。
A.Bクラスの人が居ない為、本当に強い魔法使いしか呼ばれなかったようだ。
先生たちも付き添いで、いないため教室での自習となった。結局、自習になったこと以外何も変わらずいつも通りだったけど。
俺の嫌な予感は外れたらしい。外れる分には全然構わない。
「放課後、いつも通り練習するぞ。」
「今日もやれるのか?先生いないのに。」
祐樹は問題が起きた時のことを考えて心配になる。
「問題を起こしてしまうようなことはしないよ。まあ、今日からはちょっと違うことをしようかなって。」
流石にもう、魔力の感覚を掴むとは止め、魔法に魔力を込める練習をする頃だろう。
「じゃぁ、行くか。」
そう言っていつもの場所へ向かおうとした時だった。
何処かで窓が割れた音がした。音の大きさからして近くだろう。何があったんだ。
何があったかを確認するために廊下に出る。それに祐樹も一緒についてくる。
廊下の窓は割れていない。
じゃぁ、何処の窓が。そう考えていると、隣の教室から悲鳴が聞こえる。
刹那たちは隣の教室の前まで行く。
「な、なんで。」
誰かがそう呟いた気がした。
そこには人類の敵、邪神がいたのだった。
そしてそれにやっと気づいたのか多くの悲鳴が隣の教室を包み込んだのだった。
すぐにその教室に入る。祐樹は驚いて固まっていた。
「怯えるな。逃げるか、戦うか決めろ。何もしなければ殺されるぞ。」
教室にいる人たちに向けて、今までに出したことないくらい大きな声で叫ぶ。
一緒にいた祐樹にも、
「祐樹。お前はまだ、魔法を使えない。だから花と由依を連れて逃げろ。ここは俺がやる。」
と伝える。
突然の刹那の言動の変化に祐樹は驚きを隠せていない。
今は学生の気分ではいけない。目の前に邪神がいるのなら学生ではなく最前線で剣で邪神と戦う魔法師だ。
俺は魔法師、黒崎刹那だ。
祐樹は俺の言葉で自分のやるべきことを確認できたようだった。
祐樹は刹那ならなんとかなると信じているのか何も文句を言わずに隣の教室へ戻っていった。
下級邪神が一体か。
机の上に乗る。地面だと机が邪魔で動きづらい。
「いくぞ。」
机の上を移動しながら邪神に近づく。迫ってくる刹那にヘイトが集中した。さっきまでは闇雲に色々なものを破壊しているだけだった邪神は俺に向かって突撃してくる。
動きが単純すぎるんだよ。
刹那は鞘に入ったままの剣で邪神の攻撃を防ぐ。
机が動き倒れそうになる。
「まあ、それが狙いなんだけど。」
両手で支えていた剣から片手を離す。抑えられなくなるがそれでいい。机が徐々に傾く。それにより、刹那の上に邪神がくる。お陰で隙だらけの邪神の腹に魔法を当たられる。
「氷の刃」
魔法の発言とともに机から飛び降りる。
そして机の倒れる音と共に邪神は吹き飛ばされ、机にぶつかりながら部屋の壁に叩きつけられる。
邪神を見るが腹に傷があるもののまだ倒れていない。倒れていないということは倒せていないということだ。
この距離じゃ、次の攻撃で仕留めることは出来ないだろう。あまり魔法の無駄使いはしたくない。
「やっぱり、氷の刃じゃ腹から真っ二つにすることは出来ないか。」
今は自分の持つ魔法で倒すことを優先しなきゃいけない。
刹那は一回、深呼吸をして、辺りを見渡す。周りには祐樹のお陰かさっきいた生徒はいなかった。
刹那は鞘から剣を抜き、腰に鞘を戻す。それを終える頃には邪神も立ち直っていた。
邪神が吹き飛ばされたことにより邪神との間には机はなく邪神がはっきり見える。
「最初から、剣を使えば良かったか。」
剣を使えば、また何か言われるかもと魔法だけで戦っていたが、そんなこと考えていることがおかしい。
魔法しか使えないこの学校に慣れてしまっていたみたいだ。戦場で命以外を考えるのはやめなければいけない。
ここからは手加減抜きだ。
邪神にある再生能力により、ある程度傷は消えていたがそれでもかなりのダメージを負っている。動きは鈍くなっている筈だ。
「今の状況を把握したいんだ。だから、俺の邪魔をするな。」
祐樹や花が心配だ。夕陽も。昨日、学食出会うことが出来なかったから大部隊に呼ばれているのかもしれないがそれでもできるなら確認したい。
剣を強く握る。そして、邪神が動き出し、そのまま直進してくる。
まあ、そうだろうな。目の前に道があったらそれが罠だとしてもそうでなくてもそこを通って攻撃してくる。そんな単純な行動しかできないのが下級って証拠なんだからな。
刹那は迫り来る邪神に向かい走りギリギリまで引きつける。そして横にある机に飛び乗り邪神の攻撃を回避する。邪神は速度を急には落とすことが出来ずそのまま直進する。刹那は机から飛び降りて邪神の背後を取る。
勝てる戦いで賭けなんてしない。勝つなら確実に仕留める。
そして刹那は何もできない邪神の首を刎ねたのだった。
邪神が動かなくなったことを確認する。そして、周りの音を聞き取るために目を瞑る。周りはとてもうるさいが悲鳴はもう殆どしない。この一体だけだったのか。
刹那は祐樹と合流するために教室の外に出た。
教室の外に出ると信じられない光景が待っていた。
その光景に言葉を失った。
教室の外には数十を超える邪神の大軍が学園に出現していて、もうその数は俺が一人でなんとか全員を守ることができる数ではなかった。
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