自分次第
「……あ、このサンドウィッチ美味しい」
「……ほ、ほんと? 良かった……もっといっぱい食べてね」
誰もいない芝生の上で、キスをした後俺たちはユキが作ったサンドウィッチを食べ始めた。……キスをした後ということもあって気まづい空気は流れてるけど。でもユキの作ったサンドウィッチは美味しいからなんとかなってる。
「うん、そうするよ。それにしても結構量があるけど、いつから作ってたの?」
「元々練習で作ってたから……学校でヒロくんに食べてもらおうと思って。だけど……早く食べてもらいたいなぁって思って……今日、誘ったんだ」
「なるほど……ありがとねユキ、こんな美味しいサンドウィッチ作ってくれて」
「わ、私こそ……今日はきてくれてありがとう。ヒロくんとこうして一緒にまたここに来れて……嬉しいよ」
穏やかな笑みを向けながらそう言うユキに、俺はついドキッとしてしまう。……どれだけ俺はユキに耐性がないんだって話だよな。
「私ね、もうヒロくんと一緒にここにはこれないと思ってたんだ。あの時みたいに……純粋無垢に、時間を忘れて一緒に遊ぶなんて……もう、できないと思ったから」
確かに、ユキの言う通り俺たちはもう高校生。あと数年したら成人になってしまう年齢になっている。だから小学生の頃みたいに遊ぶことなんてできないだろう。……公園なんて、もうこの歳になったら来なくなるし。
「……ねぇヒロくん。ご飯食べ終わったら……一緒に遊ばない? 私……ヒロくんと一緒に思いっきり遊びたいな」
少しだけ、ユキから今そんなお誘いが来るんじゃないかって思ってた。だからそこまで驚きはない。
「……いいよ。何して遊ぶ?」
「……かくれんぼとか? 鬼ごっこだと……私ヒロくんに絶対勝てないから」
「ならそれにしよう。この公園広いから、それなりにやりがいはありそうだし。……見つからなかったらやべぇけど」
「そしたら電話すればいいと思うな。……じゃあ先に、ヒロくんが鬼になってくれる?」
「え? まぁいいけど。ユキ、先に隠れたかったの?」
「……う、うん」
まぁ隠れる方が楽しいって意見もあるからな。ユキがしたいならそれでいいや。
それから俺らはサンドウィッチを食べ終わると、早速かくれんぼをすることになった。範囲はここまでって決めて、俺が秒数を数えている間にユキが隠れる。
「……さて、探すか」
秒数を数え終えて俺はユキを探しに行く。……にしたって、改めて思うけど広いなここ。範囲決めといて良かった……無限にしたら絶対見つからなかった。
まずは遊具があるところを探してみる。結構隠れるところがあるからここかもしれないと思ったんだけど、ユキはそこにはいなかった。なら次は……木々が生い茂る森っぽいところに行ってみる。
「……あー懐かしい。ここでよくユキと鬼ごっことかもしてたな」
そこに行ってみると、ふと懐かしい思い出が蘇る。ほんと、ここにはたくさんの思い出があるな。どこに行ってもユキと一緒に遊んでたんだな……。なんだか、思い返すと戻りたくなる。ユキと純粋無垢に遊んでいた頃に。
「……あ、ならユキは」
思い出をたどっていくと、ユキがいつも隠れていた場所を思い返す。そこはとても隠れやすくて、バカな俺は毎回無鉄砲に探していたから、そこにいるユキを見つけられなかった。だけど今なら……。
「……ユキ、見つけた」
「あ……」
俺は素直にそこに行って、ユキを見つけた。思ってた以上に早く見つかったことにびっくりしたのか、ユキは驚いた表情を見せる。
「すぐ見つかっちゃった……。えへへ、ヒロくんすごいね」
「たまたまだよ、ユキがいつもここに隠れてること思い出したからさ」
「そっか……。じゃあヒロくん、私に何かおねだりしていいよ。早く見つけた……ご褒美」
「え」
ご褒美? そんなのもらえるなんて考えてなかったから何も思いつかない。ユキにしてほしいこと………………それを頭の中であれこれ考えるけど、何も出てこなくて。そしたらユキが。
「……じゃあ、キスしよっか」
なんてことを、言い出した。
「い、いやどうして……」
「……私が一番ヒロくんに、ご褒美としてあげられるから。……もしヒロくんがしたくなかったら……他のにするよ」
ユキは顔を赤らめながら説明した。……ユキがしたいだけなんじゃないか、とは思った。ユキはキスが好きみたいだから。だけど……どうやら俺は。
「……したいんだね。じゃあ……するよ」
顔に出てしまうぐらい、俺もキスを……求めてしまったみたいで。それをみたユキが妖艶な笑顔を俺に向けて、それから……。
「んんっ……ちゅ、ちゅ……れろれろっ…………んっ……ちゅ、ちゅ、んちゅ……」
初めて、1日に二回目のキスをした。
「はむっ……んんっ……んっ、ちゅ、ちゅぅ、ちゅぅぅ……んちゅ、んんっ……」
楽しかった純粋無垢の小学生時代には、できなかったこと。
「ちゅ…………ヒロくん…………んんっ……ちゅ、ちゅぅ……んむっ……」
このユキとの行為の快楽は俺をどんどん蝕んでいっている。その実感がだんだん湧いてきて。
「んむっ…………ヒロくん……れろれろ…………んんっ、んちゅ」
もう俺は、引き返せないところまできてしまったのかもしれない。
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