休日に、一緒に出かけるだけ
今日は学校が創立記念日ということで平日にも関わらず学校が休み。部活もこの日はするなと学校側から指示が出てるから練習もできない。となれば遊びに行きたい気分になるけど……。
【ヒロくんと一緒に遊びに行きたい】
とユキから連絡が来たかと思えば。
【ラーメン食べに行くぞ】
と浩一からも連絡がくる。
二人がほぼ同時に連絡してきたものだから、どっちの誘いに乗るか迷ってしまう。浩一とユキ一緒に行けば万事解決かと思ったけど、ユキは俺と一緒に遊びたいと言ってるから……浩一を連れて行くのは望んでないだろう。
……。
【わかった。どこ行く?】
悩んだ末、俺はユキにそう返信して。
【すまん。今日はいけない。今度ラーメン奢るから】
と浩一には返信した。
……正直、俺もユキと……久しぶりに遊びに行きたかったから。
それからすぐにユキから返信がきて、場所を提案された。そこは俺たちの最寄りから数駅離れたところにある大きな公園。小学生まで、よくユキと家族ぐるみでバーベキューとかしてた場所だ。
【ピクニックしたいなって思って】
【いいよ】
どうやらユキはピクニックをしたいと思って俺を誘ってくれたようだ。いい天気だし、異論のない俺はそれに同意してすぐに支度を済ませてユキの家に行く。
「ご、ごめんね急に……。来てくれて、ありがとう」
家から出てきたユキは、花柄の可愛らしいワンピースを着ていて俺はついドキッとしてしまう。だってなんだか……いつもにも増して可愛いと思えたから。
「い、いや誘ってくれて嬉しかったよ。あ、そのかご俺が持つよ」
「え、で、でも……」
「これぐらい平気だよ。あ、思ったより重いね」
「……た、たくさんサンドウィッチ作ったから……。ヒロくんに、いっぱい食べてもらいたいと思って……」
俺はなるほどと思うと同時に、とても嬉しくなる。ユキの料理が美味しいことは知ってるし、ユキが俺のために作ってくれたから。
……でも待て俺。これはただ一緒に遊びに行くだけだ。デート気分になったらダメだろ……。俺たちは、カップルじゃないんだから。
「じゃ、じゃあ行こっかヒロくん」
それから俺たちは駅に向かって電車に乗り、数駅先で降りて公園まで歩いていく。その途中、俺は……この前のことをユキに聞いた。
「……そういえばユキ。この前紫たちと一緒にカフェ行った時……大丈夫だった? いや、その……紫が最近冷たい気がするって言ってたから」
「……ヒロくんがトイレに行ってた時のこと?」
「あ、うん。俺が見てた時は特に問題なさそうだったからさ。でも俺がいないところではどうなのかなって思って」
特に紫は多分俺らの関係を怪しんでいるのは間違いないから。それをユキに追求している可能性は……なくはない。もちろん、紫が俺のことを信じてくれているなら問題ないんだけど。
「……特に何もなかったよ。二人とも、とってもいい人だから」
「そ、そう? なら良かった」
ユキはニコッと笑いながらそう言った。……まぁ、何もなかったんなら良かった。俺も心配しすぎなのかな……写真のことがあって、疑い深くなってしまったのかもしれない。
そして公園に着くと、俺たちはピクニックができる場所まで行く。ああ、めっちゃ久しぶりだここ。いろんな遊具を見るたびに思い出が頭の中で溢れてくる。
「覚えてるユキ。あの坂でダンボール使ってソリしたの」
「うん……ヒロくんが途中ゴロゴロゴロって転がっちゃってたね……ふふっ」
「あったわー……今思えばとんでもない姿勢で乗ってたからな。あ、うんていだ。よく遊んだなー」
「ヒロくんすごく得意だったもんね。私は全然できなかったな……。あ! ヒロくん、あのブランコ覚えてる?」
「あれは…………あっ!」
ユキが指差す方向にあったブランコを見ると、俺は閉じ込めていた記憶が思い返してしまった。あれって……。
「ヒロくんが、私を抱っこしながら乗ったブランコ……だね。ふふっ、とっても楽しかったけど……怒られちゃって、出来なくなっちゃったなぁ」
そう、当時生意気なクソガキを極めていた俺は……ユキがブランコ乗るのを嫌がっていたので、なら一緒に乗ればいいんじゃないかと思いユキを抱っこしながら乗ったのが……あのブランコだ。
今思えば危ないしそれに……ユキを抱っこするなんて、なんて不届きなことをしていたんだろう。ああ、これは思い出したくなかったなあ。
「ねぇヒロくん。今もやってみる? 私を抱っこしながら……ブランコ」
「!?」
そしてあろうことか、ユキが高校生になった今一緒にやらないかと提案してきた。い、いくらユキが言ってももう今は……。で、でもユキがどうしてもって言ってしまったら……俺は、拒めないかもしれない。
「……ふふっ。冗談だよ、ヒロくん」
「……お、驚かすなよ……」
ユキはいたずらな笑みを浮かべて俺の反応を楽しんでいた。ほんと、冗談で良かった。……まぁ、ユキが楽しそうだからいいけどさ。
「じゃあ、ここでしよっか」
平日ということもあってか誰もいない広い芝生のエリアに着くと、ユキは持ってきたシートを敷く。すごく開放感があるので俺はついそのシートに寝転んでしまう。
「……やば、このまま寝ちゃいそう」
……なんか、こうしてのんびりするのも久しぶりな気がするなぁ。空気もなんだか美味しいし。…………!?
「……ほんとだ、気持ちいいね……ヒロくん」
俺が寝転んでいると、すぐ隣でユキがごろんと寝転ぶ。顔はすぐ近くで……ちょっと動いてしまえば、キスしてしまいそうな距離で……。
「……ヒロくん。私……今日の分、したい。今……誰もいないよ」
そんな状況下の中、ユキは顔を赤らめながら……そんなことを言って。……そうだ、今は約束を果たすのに都合がいいだけだから……。だから……。
「……うん」
俺は頷いた。そして……。
「んっ……ちゅ、ちゅ……んむっ…………」
お互いに寝転びながら、ユキが俺の唇にキスをして。誰もいないけど、人がいつきてもおかしくないこの環境の中でのキスは……背徳感があって、それが快楽にスパイスをかけるようで……。
「れろれろっ……ヒロくん……んんっ……ちゅ、ちゅっ……んんっ……ちゅ、ちゅぅ……ちゅぅ……れろれろ……」
この前、少ししかできなかったキスの時間を取り戻すように……。
「んんっ……んむっ……ちゅ、ちゅ……れろれろ…………んちゅ……ちゅぅ……んんっ、んっ……」
ユキは、激しく俺にキスをしていた。
――――――――――――
よろしければ星(レビュー)やフォローをよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます