濃縮版 冬野つぐみのオモイカタ

とは様作


あらすじ引用


冬野つぐみ――19歳、女子大生。

お人好しだけど消極的で、人付き合いが苦手な子。

平凡だけど、人よりも優れた観察力を持つ。

そんな彼女が住む町では、人が黒い水を残して消えてしまう連続行方不明事件が起こっていた。


物騒な事件ではあるが自分には関係ない。

人見知りな自分と似た親友、千堂沙十美と共に穏やかで幸せな大学生活を過ごしていた。

――過ごせると思っていた。


ある日を境に沙十美は性格や行動が変わりだす。

次第に離れていく二人。

沙十美の変化に戸惑いつつも、美しく輝いていく彼女を見守ろうとするつぐみ。

だが沙十美は突然に姿を消してしまう。

つぐみは優れた観察力を発揮し、沙十美が誘拐されたこと、一連の事件が人ならざる力「異能」を使う「発動者」によって起こされたことを知る。

犯人と敵対する組織「白日」の発動者であり、彼女の大学の講師でもある人出品子と共に、つぐみは親友を救い出すため、犯罪組織に立ち向かうことを決意するのだった。


主要人物の中でたった一人。

主人公「だけ」が異能を持たない話。

主人公、弱い!

でも、だからこそ諦めない!

異能やミステリー、コメディがお好きな方。

一度、お付き合い頂けませんか?


【物語について】

事件現場から始まっていく。

一体何があってこんなことになってしまったのだろうか? 


主人公、冬野つぐみは大学生。人づきあいが苦手で消極的な女の子。彼女には同じようにおっとりとした親友がいる。名前は、千堂沙十美。大学に入ってから出来た友人である。そんな彼女は、坂田有という想い人がいた。彼は気遣いの出来るグループリーダーという印象で、目立たない二人にとっては別の世界の人だったに違いない。しかし、ある日を境に親友は変わり始める。それまで自分と同じように控えめだった彼女は、アクセサリーをつけたりお洒落になっていくのだ。その結果、主人公と一緒に居るよりも、坂田たちと一緒に居る時間が増えた。だが、一緒に居る時間が減った直接的な要因は、彼女の一人行動にあるのかもしれない。変わっていく親友、変わらない自分。少しづつ距離の出来てしまった二人。そしてある日、親友は行方不明になってしまうのであった。



【どんな事件なのか?】

主人公の住む町では、人が黒い水を残して消えてしまう連続行方不明事件が起こっていた。主人公たちはそれを都市伝説だと思っていたが、それには理由がある。恐らく一番の理由はニュースなどになっていなかったからだろうと推測。その為、まさか自分たちがその事件に巻き込まれるとは思っていなかったはずだ。犯人は誰なのか? その目的とは?


【舞台、方向性】

舞台:現代。大学などを中心に展開されていく。

方向性:明確に事件をする役柄(刑事や探偵など)というものに収まっているわけではなく、主人公が持ち前の観察眼や洞察力などを活かし事件の真相を暴くもの。


【オリジナル設定について】

舞台は現代ではあるが、異能力が出てくるため、ミステリー×現代ファンタジーというカテゴリーだと思われる。詳しい能力についてはネタバレになるので、物語を参照。


【登場人物について】

この物語は、群像劇。多角的に物語が語られ、事件の全容が明らかになっていく。

冬野つぐみ……主人公。大学生であり、鋭い観察眼を持つ少女。

千堂沙十美……行方不明になってしまう、主人公の親友。ある雑貨でアクセサリーを購入した頃から言動に変化が起き始める。


【感想】

どんな事件に巻き込まれていくのかはあらすじにあり、冒頭でも触れている。しかし目的と犯人は謎のままだ。その後、事の発端が明かされていく。この物語は、明確に事件が起きて捜査という、刑事ものでも探偵ものでもない。違和感の積み重ねがやがて、いつの間にか事件へと発展している形であり、主人公は行方不明になってしまった親友を探そうとする。

ここで重要となって来るのは、主人公の観察眼だ。ことごとく、違和感の正体を暴いていく。とても自然な流れであり、”推理してます!”というスタイルではない。それはふとした疑問であり、不協和音のようなものである。

確かにミステリーではあるが、構えるような感じでないところが特徴だと感じた。この事件で一番気になるのが動機である。なんのためにこの事件を起こし、何に活用するのか? そしてターゲットとなる人物の共通点は?

気になる部分の多いミステリーだ。果たしてこの物語の結末とは?


【見どころ】

この物語では、協力者を得て事件を探るというよりは、協力者となって事件を探っていくと言った方が近いと思われる。そこがこの物語にオリジナリティを感じる部分であり、全体を日常から非日常へナチュラルに変えている要素の一つであると思われる。つまり、気づけば事件に巻き込まれていて、事件に関係したことに自然と触れているという構造だ。その為、伏線”には”気づきやすいが伏線で”あること”には気づき辛い。もちろん勘の良い人ならば気づく可能性は高いのだが。その結果どんなことが起きるのかというと、違和感に主人公が気づき、読者が”確かに鋭い!”と追って気づく。しかしそこで、stopがかかるのだ。つまりそれは、事件に関係している”何か”であり、伏線だということだ。とても面白い構成だと思う。


既に分かっていることと分からないことのバランスも面白い。この物語では前述したように”犯人が誰か?”よりも”動機”に謎を感じるのだ。犯人として怪しい人は何となくわかるかもしれない。しかし動機とその用途となると全く予想がつかない。ここが明かされていくのがとても楽しみである。

異能力者たちの能力は割と早い段階で、どんなモノか明かされていく。しかし、それをどう利用し事件の真相を暴くのか? となるとまた別となる。果たして彼らは主人公を協力者と招き、どんな計画で、またはどんな方法で事件を解決していくのだろうか? 

あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お勧めです。

(21ページ目まで拝読)

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