断頭台のデュラハン

紙季 様作


あらすじ引用

 通り魔に首を刈られた主人公イミトは死後、秩序の女神の下で裁判を受けていた。


しかし、とある世界で発動された転生魔法に巻き込まれ、彼は異世界へと転生を果たしてしまう。死体転がる戦場跡の森を彷徨う最中に耳に届く聞き覚えのない言語。


そこで出会ったのは体を奪われ、首だけしか存在しない美しき女のデュラハンであった。


【主人公の目的と世界観】

・異世界転移(死後なので転生でもある)

〈どんな状況で転移したのか?)

主人公は不運な死を遂げ、死後裁判を受けていた。判決が出ようとしていた時、警報が鳴り裁判を行っていた女神と共に、異世界に転移してしまったのであった。どうやら誰かの召喚術が失敗し巻き込まれたようである。


〈主人公が抱えている問題とは?)

転移直後は女神と共にいたが、そこが何処か分かると帰ってしまった為、一人で異世界に残される。主人公が肉体を持ってしまった為、彼女の管轄外となった為である。つまり、孤立無援。目的も持たぬまま、彼はこの世界で生きていくことになる。スキルを持っているのかは不明。異世界転生の王道的な、トラックに轢かれて転生、スキルを貰うという流れ(物語)とは異なる。


【どんな物語なのか?】

主人公は不運な死を遂げ、死後裁判を受けていた。彼は何にも期待をしていない人間。なんの希望も持たず、諦めたような印象を受ける人物。その彼が、裁判の判決の下る直前に異世界へ飛ばされてしまう。誰かの失敗した召喚術に巻き込まれたと女神は想定。どこにいるのかもわからない森に辿り着いた主人公たちであったが、その場所にはたくさんの白骨化した遺体が転がっていたのである。その遺体についていた紋章から居場所を特定した女神は、自分の世界へと戻ってしまう。一人取り残された彼は、ある声に気づき声の方へ向かう。しかしそこは”いかにも”という洞窟の入口だったのだ。なんとか勇気をもって中に入ると、そこには胴体のない美しい顔があった。

ひと悶着あった後、言葉を交わせるようになるのだが、その経緯に飛んでもない事情があったのだ。それと引き換えにこの世界の知識などを得ることができたはいいが、ある意味諸刃の剣状態に!


【オリジナル要素などについての感想】

主人公はかなりクールで合理的な考え方の持ち主であり、現実世界ではなんの面白味も感じずに生きていたのではないか? という印象。しかし異世界では、順応が速く楽しんでいるようにも感じられる。この物語のオリジナルの部分は、かなり面白い。それは失敗(異世界への召喚とは別)により結果そうなってしまったというものであるが。彼はそれにすら順応している。

そしてデュラハンとは良いコンビだと感じた。


【見どころ】

異世界転生ものというのは、転生や召喚と違い突然飛ばされ”目的がない”まま始まることの多いジャンルである。転生の場合は現世の記憶などから、以前とは別の人生を歩む、もしくはやり直すと言った方向性に進み、召喚の場合は予め主人公のやるべきことが決まっていることが多い。しかし異世界転移は例えるなら、”ノープランで旅に出て、ついた先で目的を決める”というスタイルに近いものが多い。この物語も、主人公は目的を持って異世界へ来たのではなく現地にて、何をするのか目的が出来たというスタイル。

とはいえ、主人公は出逢ったデュラハンの目的を叶えるために同行するという方向性の物語である。序盤ではまだザックリとしかこの世界のことについて明かされてはいない。しかし主人公は、前世よりも生き生きとしているように感じた。果たして彼らは、胴体を見つけることができるのだろうか? この旅の終わりに主人公は何を想うのだろうか? そして結末とは?

あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

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