一か月ちょっとの願い
fullmoon 様作
一緒に居ることは、愛情表現の一種である。
【物語は】
夫がある異変に気づことから展開されていく。それは、予兆だったのかも知れない。この物語の一番の見どころは、夫の愛だと思う。彼の愛があるからこそ、素直に愛情表現を出来なかった妻の愛が伝わってくる作品だ。
【ブレない夫】
夫と妻にしっかりと焦点が合っており、何を読み手に感じて欲しいのかが分かりやすく伝わってくる作品である。夫は妻を見ながら、過去と今の違いについて不安を感じていく。そこには意味があり、夫がどれだけ妻を愛し、彼女を理解していたのかが、伝わってくる。一貫し、愛を感じるのでその分、後に起きたことがずしんと響いてくる。
【妻の後悔】
夫と妻、二人からは別々のメッセージを感じる作品でもある。妻の生きざまからは、後悔しないような人生を生きよう、と読み手に伝えているように感じる。もし、今自分が彼女のような生き方をしているならば、いづれ後悔しませんか?と。人生は一度きりしかない。それを大切に出来るのは自分しかいない。
【物語の魅力】
こういうことなのかな?と読者はぼんやりと先を予想はするものの、展開自体に重きを置いているわけではなく、二人の生き方、互いの大切さ、戻れない時間、その先の自分などメッセージのたくさん詰まった作品である。
特に中盤からは、その愛の深さに涙が止まらなくなる。
誰かを大切に思うとは、こういうことなのだなと感じた。もし、あの時こうしていれば。これが現実ならば、後悔はしても何も変わることはない。
【構成のとても巧い作品】
構成と効果は切り離すことの出来ないものである。構成一つで読者の感じ方も。感情の盛り上がり、感情移入のしやすさも変わってしまう。伏線の繋がり方も素晴らしい。悲しい物語ではあるが、何度も読みたくなる名作である。
是非、あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
これほどまでに、互いを思いやり愛を感じる作品は、そう多くはないと思います。おススメです。
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