第9話「神は六日で世界を作られた」
生命が星から消えたのはもはや、思い出すのも不可能なほどに大昔のこと。
それから、幾ばくもの月日が流れて、最初のフェアリーが生まれた。
光あれ。
第一世代。ライトフェアリーと呼ばれた、その存在はただの「光」だった。
第一世代、光の属性を持つフェアリーは、第二世代フェアリーを生み出す。
ダークフェアリー……闇の属性を持つフェアリーである。
世界は光と闇に分かれた。
第一世代と第二世代フェアリーは、二人で協力して、4つの属性を持つフェアリーを生みだす。
火、風、土、水の属性を持つ、第三世代フェアリーの誕生である。
第三の日、創世記では海より陸地が生まれた生まれた日、草木が生えた日。まさに世界に生命が誕生した日である。
彼らは旅に出る。
星の復活、生命の痕跡の探索。
何十年、何百年にわたる長き旅。
戻ってきたのは、風の精霊だけだった。
ただ一人戻ってきた風の精霊は語る。
「生命を見つけた。」
世界に散らばる火、風、水、土の4匹の創生竜。生命の礎となる幻の生物、星が残した最後の希望。それらを見つけ、育てるのだ……と。
だが、第三世代フェアリーの役割はそこで終える。
創世記、第五の日。鳥と動物が生まれた日。
再び世界を生命にあふれかえった星に戻すには、第五世代フェアリーを誕生を待たねばならなかった。
しかし、彼らの誕生の前に招かるざる客が、精霊の前に現れる。
“ヒト”の記憶の残骸……ヒューマノイドの登場である。
どこから現れたのか、誰が生み出したのかも、一切謎。
しかし、彼らの目的ははっきりしてきた。
『イノチ』である……。
太陽と月と星が生まれた日、四日目の第四世代フェアリー。
ガイヤたちが『先輩』と呼んでるフェアリーたちは、戦闘に特化している精霊たちだった。
命を生み出す存在。第五世代フェアリーを我が物とすべく、ただひたすらに教会を目指すヒューマノイド。
そして、いつ生まれるかもわからない第五世代の誕生を待ち続けながら、教会を守る第四世代フェアリー。
何年、何十年、何百年と続いた戦いだったのだろうか。
疲弊も疲労も、絶望すらも限界に達した時、精霊達は勝利した。
ようやく、第五世代フェアリーが誕生したのである。
『土のガイヤ』『水のアクア』『火のフレイ』『風のシルフ』
ただの精霊に過ぎない彼らに『固有名』を付けたのは、それだけ期待の大きさ、そしてやっと生まれてくれたことへの愛情の表れでもある。
彼らには特別に『ネームドフェアリー』という、愛称も付けられた。
名付け親は第二フェアリー、彼らが『先生』と呼んでる、闇の精霊である
その意味は『神の名付け親』
彼らに与えられた使命は、この星から失われ、第三世代が未来に託した『命』を生み育てること。
世界を作る『神』の親となること。
“ヒト”となる第六世代フェアリーが生きていくための世界を作り出すことである。
そして、それが成されるまで、ヒューマノイドの猛攻も終わらない。
“ヒトの形”をした精霊と“ヒトの記憶”を持つ、ヒューマノイドの戦いは、彼ら4人が世界を作り終えるまで、続いていく……永遠に…………。
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