第2話 ユイちゃん

 この店は、えろう若い子が多い。


 わちゃたぶん、エミリさんの次にお姉さんじゃい。


 そりゃわけー子の方がええんやろねえ、客も。


 わちゃ気張らないけん。


 こない若い子らん中で、えろう金稼いで、女優か弁護士んなって、新垣結衣に会うんじゃい。


「おはようございまーす」


 アヤちゃんぞ。


 えろう背の高ぇ、ガリガリに痩せた子おぞ。チャイナドレスの丈が短ぇけ、パンツが見えよるちぇー心配ざ。


 アヤちゃんは、ミーティングが始まるギリギリまでマスカラ塗っとうた。


 マスカラて、そない良げえもんかの。


 ミーティングが終わっちゃ、6時の開店まで掃除やら、客のついとう子は営業メールやらラインやら、忙しのーもんさ。


 わちゃ客なんかおらんけ、掃除っちゅ。


「ユイちゃん! ん? ユイちゃん!」


 なんげ、肩叩かれたで。


 エミリさんぞ。


「ユイちゃん、昨日一昨日ついたお客さんのメールとか聞いたでしょ。こういう時間にメールしといてね」


 わちゃ、ユイちゃんなんさ!


 面接の日い、駅まで迎えに来てくろうた黒崎さんが


「もう、名前決めてるの?」


 ちゅーからなんさー聞いたら、


「店で使う名前だよ。好きな名前決められるから」


「え?! ユ……ユイもアリざん?!」


「ユイ? 今はユイちゃんっていないから、大丈夫だと思うよ。面接頑張ってね!」


 っち言われたさ。


 いやー、おかげっせ面接めためた気張れた!


 そんで、エミリさんべ


「名前どうしよっかー」


 ちーき、


「ユイが良!!」


 つーこったら、


「じゃあ、ユイちゃんね! 頑張ってね、ユイちゃん」


 ち! わちゃユイちゃんになったさ!


 あー幸せっぺねー。


 ほげなんや、メールか。


「エミリさん、わちゃなんも言うことねえせ」


「お疲れ様、オープンからラストまでいるから、ユイに会いに来てね、ってハートいっぱい付ければいいのよ」


「……そげなメールもらってーさ、わちゃ絶対行かんち思うげ」


「100人に送って5人来ればいいのよ。だからまずは100人の連絡先をゲットするの」


「100人?!」


 ほげー、ほなこんとす、みんな忙しいんざや……。

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