第1章 青天の霹靂 (上)
これまでは無数回に擦り違って、普段には一度も目に留まったことはない、この茶色の表札。今日もいつも通りに夕陽の光を浴びて、反射した光は表札の上の角に光っているだけで、その光景はなぜかやけに美しいと思った。
「……」
ドアの前に躊躇っている珂玲はなぜか先からずっとレバーハンドルを握っている。さっき、鉄柵から簡単に入ったのに、いざこのドアの前に立っていると、まるで大きな壁が見えるようになった。もし近くに見ると、手汗を湧いてきた手は今、震えている。このどう見ても不審の行動はもしも、今の珂玲は誰かに見られたら、とっくに通報されるのでしょう。幸いなのはこの通り道では珂玲の姿以外、誰にもいなかった。でも、それもそうだ。玄関までの長さだけで、外の通路からせいぜい人影しか見えないのだ。
もはやこれは誰でも見られても、感心しか思っていない、立派な屋敷である。しかし、そう思っていないのはたぶんこの屋敷の女主人とその子供だけだ。
それで、少々ホッとした彼女は今回深い呼吸して、つい最近体験したばかりの決戦の時と同じような気分で、スカートのポケットから財布を取り出して、そこでまた鍵を持ち出した。
(今の気分って…なんかあっちで決戦の日に剣を抜く時みたいね!いや、私だっぽら、何を考えているの!まったく、早く元の世界になれないと!)
鍵を挿して回した。二年半も開かれたことないドアを、ようやくその中に見える。開いたすぐ、暖かくて明るい玄関が感じるはずだった。
「た、ただい…ま…」
震えている声でこの何千回も言ったセリフは向こうの世界でもいつも言ったが、ただあちらの返事はここにはいない暖かさがある。しかし、今は何もなかった。
珂玲はぼっとしている顔で玄関の前に立っている。しばらくすると、ようやく靴を脱いて、冷たい床に上がった。
まだ2月の夕方には、このエアコンもつけていない廊下は寒さが漂っている。足が久しぶりに床に登ったとたん、その寒さが足の裏に刺さった瞬間、スリッパの存在をようやく思い出した。
幼い頃から馴染んでいるこの家はなんだかこころに何かを騒がしてなかなか落ち着かないのだ。
家の廊下で歩くだけなのに、玄関で入ってきたからずっとオドオドしている。
(この静げさはなんなんだろう?誰もいないのかな?にしても、今まで気づかなかったけど、ウチってけっこう広いんだよね…)
そう思いつつ、実は昔から父の仕事がずっと気にしている。ただ何を聞いても結局何も教えてくれなっかた。逆に母が仕事をするのも考えたことがあるが、どう見ても不可能だ、あの性格では。
考えに考えて、いつの間にかキッチンまでに至った。とっさに自分が確かに昼ご飯はまだ食べていないと思い出した。けれど、自分にはそう感じていなかった。なにしろ、先まではまだ戦い途中だったのに、スキルをアタリヤに当たった瞬間、意識は失った。目が覚めるともう元の世界に戻った。あの戦いの後はいったいどうなったか正直はどうでもいいが、皆と何年に一緒に戦ったから、さすがに気になる。せめて無事でいればいいが、と心の中に願った。
そう思いながら、何か食べ物がないかとキッチンに入った。実際は特にはお腹が空いたとか、そういうではなくて、ただ久しぶりにこちらの食べ物を食べたいだけだ。それで、
目を閉じて、周りの流れを感じて、キッチンにあったものは何もかも、全体を頭に入り込んだ。
ただなかなか目当てなものが見つからなかった。
「冷蔵庫はプリンだけか…キャラメルなんて苦手なんだよなぁ、まぁ、仕方がないか!にしても、あの具材って、まさか鍋なんてじゃないよなぁ…明日は唐揚げとか、カレーとか、母さんに作ってもらわないと!もう鍋なんて飽きっちゃたよ!」
そう言いつつ、冷蔵庫を開くとき、ふっと手はまだ洗っていないことを思い出して、一回キッチンの外に出た。
蛇口をまわして、そこから流したのは痛いほどになれる冷たい水が流し出した。しかし、そんなことも考えていない珂玲は水の寒さは試したこともないまま、両手で水を掬って顔にぶちかけた。その瞬間に、スッキリと感じた珂玲はタオルの存在をついに思い出した。再び時代の差から伴った怖さを感じた。
暗い廊下に沿って、またキッチンに戻った。すると、先に目をつけた冷蔵庫のプリンを取り出した。一瞬、少し躊躇ったが、結局切り口を破って、一気に飲み込まれた。食べ終わったあと、廊下に戻った。そして、この廊下の中に、一番大きなドアを開いた。
「やはり…誰もいなかったか…まぁ、入る前にはもうわかったんだけどね!」
久しぶりに念願の「里帰り」、ひとついいことも感じができない珂玲、加えて家には誰もいなかったとは、いよいよ限界になりそうだ。
「にしても、晩ご飯の具材も準備したのに、いったいどこに行っちゃったのよ!」
ドアを開いて、感じた通りやはり誰にもいなかったリビング。中に入って、スクールバッグを適当にソファーに投げ置いた。ぼんやりで座り込んでいた。目をつぶって、やっと現実に戻った気がした。
ふっと何か思い出して、慌ててバッグの中を探りはじめた。それで、そこに取り出したのは先にそのパスワードに悩ませたスマホだった。
さっそく押したのはやはりこのニ、三年でプレイできなかった乙女ゲームだった。正直に言うと、中のゲームは本当に興味がなかった。でもなぜか結局キャラクターたちから逃れなかった。
「さて、イベントが始めたのは三日前ね!だったらまだ時間があるじゃ…でも、試験…一応…勉強もしようかな……どうしよ!湖雪のやつまだ帰っていないの!この一年間の授業はもう全部忘れたのよ!何か世界を救ってよ!今一番救ってもらいたいのは私よー」
誰にもいないリビングで大声を出した珂玲は、もはや自分の頭もついにおかしくなってきた。
「えっと、ヤバイ!久しぶりに触ったけど、まずどこのボタンを押した方が……」
珂玲はまるで迷子になったみたいに困っているあいだに、スマホの画面が急に変わって、そして、音楽が鳴った。それも好きなキャラクターソングだった。まだ慣れないのか、多少慌ててに見せた珂玲は、誰からの電話が見なかったまま、すぐボタンを押した。
「はい!」
<カレイ?今どこにいたの?学校で倒れたと聞いたけど、もう大丈夫なの?>
電話の向こうにいたのは、それは向こうにいた時ずっと恋しい声だった。
「母さん…」
長い間にこの言葉を呼ぶ機会が来なかったが、今ついに呼んでいける。そのせいで、泣きたいくらいに声は少し震える。ただ、万が一、本当に泣いた時もう挽回できるチャンスがもいなかった。なぜかというと、この心配性の母に泣き声を聞こえるなんて、もう大騒ぎだ。だから、今この時、珂玲は必死に涙を堪える。
「どうしたの、やっぱり具合は悪いの?」
「いいえ、なんてもないわ!もう大丈夫なんだから」
「そう?なんだか変な気がするけど…」
(まずい!バレるわ、このままじゃ!)
母さんにばれないため、わざと声を上がった珂玲は、これはさすがに自分を産んだ人、やはりこの母親には敵わないと、改めて思う。しかし、このままだと、確実にばれるに違いないと思った珂玲は仕方がなく、無理やりで話題を変わる。この方法には多少リスクがつけているが、今回は母さんの方から電話をかけてくれたから、きっと何か用事に決まっている、とそう思いながらこのことに賭けている。
(万が一があれば、逆に今はどこに聞くしかない!)
「私はもう大丈夫だから!母さんこそ、なにか用?ていうか父さんもいないだけど、二人は今どこにいたの?」
「………」
「母さん……?もしもし、聞こえたの?」
なぜかこの質問を聞いたから、電話の向こうにはずっと静かだった。
(なにか…あったの?)
「母さん?」
「…珂玲、俺だ!今まだ学校に?」
「父さんー」
突然、電話の向こうに意外な人物の声に聞こえた。何を反応するかもわからない。その声の持ち主の質問を答えるしかない。
「うーんー今は家よ!ていうか母さんと一緒にいるの?デート?」
「いや、ちょっと事情があって」
「事情って、なんのこと?」
「説明は後から、とりあえず病院に来て」
「へ?病院?どうして?誰か入院したの?」
「いいから、とにかく来てからまた説明するから!場所は今送ってから!すぐに来いよ!」
「待って……」
疑問しか残ったまま、通話が一方的に途絶えた。
「いったい…どういうこと?湖雪なら、なにかを知っているじゃないか…な…」と、そう言いながら、電話帳のリストにすぐ「湖雪」という名前をたどり着いた。名前を押すつもり瞬間、なにかひらめいたように、手が止まった。
「そういえば…先、気付かなかったけど、母さんも父さんも私のことしか言っていなかったっけ……普通なら…私たちは一緒にいるかどうか確かめるじゃ……」
どんな時でも、何をやっても、いつも必ずそばにいてくれて、その双子の兄。この当たり前の日常はこの三年間のせいで、すっかり忘れてしまった。今の自分はもう一人の生活が慣れてきた。だから、こちらの世界に帰ってきても、その異常はずっと気づかないまま悠々にしていた。
「そういえば、コンビニに行ってから帰ってきていないと…あの保健先生はそう言ってたっけ………湖雪…」
一瞬、いろんな不安な感情は一気に湧き上がった。
「湖雪…」
そうやって大好きな名前をつぶやきながら、さっそく父から送ったメッセージをチェック。
「…ここって…学校に近いだよね!やっぱり湖雪が何かあったってことだね!家から行くより学校から行ったほうがはやいか…」
そう言って、珂玲はすぐスマホをスカートのポケットに納めた。それでバックを持って、玄関までに走りかけた。靴も履いて、出かけるは、全部が整った。いつでも出かけても大丈夫だ。
ただ、珂玲は靴を履いてても、ドアに近づく様子はまったくないのだ。珂玲は玄関の前に目を閉じて、意識を集中して、先に離れたばかりの学校の様子を想像する。すると、周りに感じたのはもう自分の家ではなく、まず感じたのはグランドの風に吹かれた土の感じ。ここに選んでもいいが、万が一、入口の門で誰かいれば、やはりまずくなったかもしれない、と思ってここに選ぶのはやめた。
(もう少しに見よう。)
それで、次に感じたのは先ほどに述べた入口の門のところだ。門の外でも、なかでもどうやら通る人は誰もいなかった。
(そこ、確かに今は誰もいないみたいね!よし、そこにしようか!)
そう判断する珂玲はすぐにスキルを発動する。
「
一言で、珂玲に踏まれた地面は足にめぐって、青い光が上のに散らした。
意識を集中した珂玲は再び目を開けて、目にうつしたのはもう玄関のドアではなかった。今この目に見えたのは、それは先ほどに学校から出て、少し前に歩いた分岐点の景色だった。
「どうやら無事に到着したわね!」
珂玲はほっとした表情をして、周りにの風景を確認しながらひとり言をした。すると、ポケットからスマホで父さんから送った病院の場所をチェックする。それで、駅の方向に駆けつけていた。
******************
一方、ある病院の中。静かな回廊では一人の男性はゆっくりでベンチに座っていた女性のところに向かっていた。女性はとっくに男は近づいていることは気付いているけれど、何も言わずに、ただ俯いたままにピカピカしている床を見つめている。
女性を見下ろして、どんなところでも、光に浴びられた金色に近い長い髪。それは月のように優しい色だけではなく、シルクみたいに柔らかいのだ。しかし、いくらきれいな髪でも、今はそれのよさを味わう気分ではなかった。
男性は黙ったまま、女性のとなりで座り込んだ。目の前にドアを見つめながら、ようやく女性に声をかけた。
「…入らないの?」
女性は首を振って、ついに口を出す気があった。
「……あなたこそ……入らないの?」
一応答え気になったが、まだいつもの平常心が取られていないせいで、たぶん一匹の蚊が通りかかったとしても、十分その声を被せるくらいだった。
しかし、男性は分かったいる。それは女性との距離が近いから聞こえるではなかった。実際、この男は聞こえるではなくて、聞こえる前から分かっていた。このは長い付き合いがないとできないのだ。
「…にしても、遅いなぁ、珂玲のやつ!もう一度電話をかけたほうが…」
「やめなさいよ…電話もつい先かけたばかりじゃない?それに…病院も電車も電話をかけるなんてよくないわ!」
男性は女性の言ったことに少し驚いた。
「びっくりした!電車はともかく、病院はめったに来ないのに、よく知っていたんだね」
「人をバカにするのはやめてよ!常識でしょう?」
ここに来るからはじめて女性と目を合った。ただ、いつも輝いている目はその輝きさを失って、代わりに目の周り赤い線に囲まれた。本来なら、この姿を見た時、まるで胸が締められたように痛くなるけれど、なぜかこのむきになった姿を見せるのは見せられる今は、こんなに安心とは思わなかった。
「常識ね…昔のお前にはないだろう?いったいいつの間に身に着けたのかい?ここの常識ってさぁ!」
「……それで、なにかおかしいのよ!それに……」ここに、女性はまた目をそらして俯いた。それと、なぜか頬には目と少し違いような赤に染められた。
「…それになに?」
「だから…昔も言ったのでしょう!その、ここにあな…た、と一緒に暮らすには、ここの生活を慣れないと……もう、いいでしょう、今は!」
「レイナ……」それを聞いた男性は思わず女性に近寄っていた。そして、彼女の肩のところに頭を傾けた。
「レイナさ…オレのことを…恨むか?」
短い一言で、女性はなぜかそこにあざ笑って、このように答えた。
「なぜ…恨む必要があるの……だったらわたしも同罪ではないか」
「そうか……先生たちの検査が終わった後、一緒に入ろうよ!あきらめないで、レイナならできるよ、きっと」
そう言って男性は手をレイナの後ろに回して、彼女を抱きしめた。
「リュウキ…」
レイナは何かを答えそうなとき、回廊の向こうにはよく知っている足音が近づいていた。
「父さんーはぁはぁ」
「カレイ?大丈夫、早く座って」
あえいで息が途切れる速さで到着した珂玲はもはや立っているのも精いっぱいだった。それを見たレイナはさっそく立ち上がって、珂玲を支えながら座った。すると、不思議なことで、ベンチに座り込んだ際に、なぜかあえがなくなったようになった。
(あれ!そんなつらくはないけど、どうして?)
実はこのようなことは初めてではないが、珂玲は気付いていたのはこれははじめたのだ。向こうに帰ってきたから珂玲は、周りの変化に敏感になった彼女こそ気付いていた。だから、レイナに触らせた、心や体の疲れさはそれによってどんどんド消えてしまった。まるで誰かに吸い込まれたようだ。
確かにこのことは気になるが、今はそういうことを気にしている場合ではない。
「にしても、ずいぶん早かったなぁ!家から来たっけ?」
「それは今どうでもいいでしょう!それより、いったい何があったの?湖雪は?」
珂玲はじりじりと聞けば聞くほど、二人の顔はだんだん暗くなった。こんな問いつめられて、どこから話せばいいのかさっぱりわからかった。もともと言うつもりはなかった。先はぎりぎりまで隠したけれど、いざ言わないといけない場合はやはり言いづらいにくい。それに、もう一つの予想が外した。それは、珂玲だ。
竜騎たちは最初にこんなに遅い時間に電話をかけたのは珂玲に知らせたくなかったからだ。ただ、一応同じの家に一緒に暮らす家族は突然に入院して教えないとはいかない。かといって、もし自分の双子の兄は車にぶつけられたと知ったなら、必ず心配して、慌てて病院まで駆けつけた。それに、慌てすぎ、また無茶して駆けつけたら、また事故になった、と思った竜騎は電話に事情を説明していない原因であった。それに、大したことはない事故ならともかく、こんな事故で目が覚めないかもしれないと知られたら、妹としての珂玲はいったいどう反応するか。こればかりはレイナ自分でも把握できない。
だから、珂玲は病院に到着する前に、少しでも湖雪は事故で受けた状態を減らすのは一番だが、まさか珂玲は予想意外に早く病院に到着するのは思わなかった。これは二人の誤算だった。
しかし、今はこれ以上隠すのは意味がない。竜騎は浮かない顔でため息をついた。淡々と恐ろしい真実を語りはじめた。
「…お前が倒れた後、湖雪のやつはお前を目が覚めるまで、となりで付き添いたから、帰るのは遅くなるってメッセージで書いたが……なぜかその後に、車にぶつけられた…んだ……おい!珂玲ー」
「どうしたの、カレイ?」
先ほどに収まった息がまた乱れて、あえいで息を切らし始めた。
珂玲の状態を見張りながら話しを言い続ける竜騎はすぐに彼女の異様を気付いた。
「レイナ、どうしよ?」
「大丈夫さ、この程度なら」
(意識が……飛んでいくみたい。母さん…は私のことを呼んでいるの?なんか見えづらいけど、なんか目の前にいたけど、声はだんだんに遠くなっていく……湖雪…ごめん…ごめんなさい……)
「大丈夫から、カレイ…今は寝なさい……あとは母さんたちに任せなさい…」
******************
「カレイは?」
「まだ寝ているよ」
レイナは竜騎の膝を上に横になっている珂玲を見つめて、そして、体は少し屈めて、手を伸ばした。珂玲の乱れた髪をそっと撫でて、整っている。
なぜか先からレイナにすごい睨まれたような感じがする竜騎は思わず唾を飲んで、試しようと言った。
(なにかやっちゃったじゃないよな…)
と、そう思って、少し微笑みをつきながら言う。
「どうした、その顔は?レイナに似合わないと思うよ!」
「はぁ…何をバカなことを言ってんの!そこ、退きなさいよ」
「ああ、座りたいなら早く言っておくれよ…」
そう言いながら、竜騎はすぐ少しでもベンチの席が増えるように移動したが、珂玲に押し付けられたせいで、もう彼女に起こさないまま移動するのも一つの至難の業であった。
「あの…隣でも…」と言いたい時、さらに蔑まれた気がした。
「誰か座りたいと言っているの?」
「へー?いや、てっきり疲れたと思ってるから…」
「ハイ…席と変わってて言っているの!」
「へ?」
「今あなたが座っている席、私と変わって!」
「別にいいんだろう!今更変わったら…珂玲はすぐ起こすかもしれねぇだぞ」
「方法があるじゃない?」
「…うん!あるはあるけど…そこまで必要?」
「ヒ・ツ・ヨ・ウ!」
「ハァ…わかったよ、ほら、手」
そう言って、竜騎は手を伸ばした。それで、レイナも竜騎に合わせて、手を伸ばして、そして、そのまま置いた。
「
竜騎の声を響いたそばから、レイナの膝はもう珂玲の小さな顔に押さえられた。逆に、先までベンチの上にかわいい娘の寝顔に見すぎた竜騎は今、ただ立っているになった。
「にしても、なんてそんなに必要なのか?」
「必要に決まっているでしょう!考えてみなさいよ、目が覚めると父親の顔しか見えないって、驚きすぎて、また気絶しちゃうよ!ただ、自分の父親の膝で寝ているだけで恥ずかしそうに死にたいくらいだわ!」
「…大げさだな、そんなことはないって!」
「それはどうかな?竜騎はお年頃の女の子のこころがわからないよ」
「ふんーまぁ…もういいよ!それより、どうだった?」
竜騎は張りつめた口調で問いかける。ただ、レイナは何も言わずに、そのぷっくりとした唇を噛んでいるだけ。悔しいしずくは緩やかに頬に沿って点々と滴る。
「だめ…だ、
「
意外な言葉で竜騎は一時的に受け止められなかった。それどころか、これはただ自分が聞き違いやレイナ言い間違いだけだと願っている。ただ、物事はだいたいは想い通りにならないのだ。
「まさか湖雪のやつ……俺はお父さまと交渉に行く、一応、自分の孫だしな」
「だめだ…たとえお父さまは承諾しても、適性しない限り通らないでしょう」
レイナの言葉はどれだけ精確かは分かっているけれど、内心は、先から拒否のチャイムがずっと中に鳴っている。
「…大丈夫さ……絶対…今、とにかくアイツと交渉に行ってくる」
「母…さん…?」
「ごめんね起こしちゃったの」
「うんうん!ごめんなさい…」
「どうして珂玲は謝るの?」
「私…なの、私のせいで湖雪は事故にあったの」
ちょっと気になるが、レイナはこれ以上は聞かなかった。
「そう、大丈夫さ。きっと、父さんに任せて」
そう言いながら、珂玲の体を支えて、ベンチに座らせた。
「そうだ、おなかすいていない」
「そういえば、少し…おなか空いちゃった…」
「そう、珂玲はここに待ってて、私たちは外で何か食べ物があるか、少し買ってくるからね」
「うん!わかった」
その言葉を残して、珂玲は二人の背中を見送った後、目の前にいた部屋を見つめた。
(湖雪はそこにいる…私は帰ってきたからはまだ湖雪のことを会っていないなぁ…)
珂玲はベンチから立ち上がって、少し迷っていたが、結局震えている両足を抑えながら前のドアの前に進んだ。
ようやくドアの前にたどり着いた。門を開いて、すぐベットには清楚な少年が横になっている様子が見えてきた。その少年の顔は珂玲とよく似っている。たぶん、この二人は本気に悪戯をするなら、たぶんよく知っている友人でさえ見破りにくいだろう。
「湖雪…ただいま…」
珂玲はバッグを床に置いて、ベットの隣にいた椅子に座り込んだ。そして、冷たい手を握って、自分の暖かさは彼に伝わせて、このままに目が覚めるといいと、こころのどこかでそう願っていた。
ふっと、珂玲は何か思いついたように、一旦湖雪の手を下ろした。
「確かに…こっちにも使えると言ったわね!試しようか……カルト」
すると、目の前にスマホの画面ようなものが現れた。
「前にリュカ君がくれた薬…効こうかな?」
珂玲は浮かんでいた画面に瓶の図案を触った。そして頭の中に浮かんでいたあの小さな小瓶は、珂玲の手に落ちた。
小瓶の蓋を開いて、そして湖雪の口元に届いた。すると、珂玲は突然に手を止めた。
(そう、そういえば、どうやって飲むの?)
とっさに漫画で読んでいたシーンを脳の中にひらめいた。そう考えて、手は勝手に震えている。
「カレイ」
部屋の中は外の声ははっきり聞こえる。
(どうしよ、母さんたちが戻ってくるよ!)
「珂玲、中にいるかい」
声が出すやいなや、部屋のドアが開かれた。そして、ドアが開かれた音に驚かせた珂玲はうかつで、手に持っている小瓶を湖雪の口の辺りにこぼしてしまった。
慌ててに小瓶を拾って、別のポケットからハンカチを取り出す。
「珂玲?何をやっているだい?」
今の珂玲は頭の中にもう小瓶のことしかない、竜騎の言葉なんてまったく気づいていない。
(どうしよう?あと少ししかないじゃない?)
わずかな薬を入れた小瓶を抱きしめて、ベッドの隣に泣きはじめた。
一滴また一滴に、まるで優しい雨のように、湖雪の顔に滴った。
「ごめんね…湖雪」
目を閉じた珂玲はまだ自分の手の中の異様が気づかないまま、泣き続いた。
「大丈夫か、珂玲」
振り返った見ると、心配な顔をしていて、自分を見つめる。
それで、珂玲は何を答えそうな時、先から握った小瓶は強い光に包み込んでいた。
「珂玲、その光…は……」
見覚えがある。あの時でもこの光で知らないところに連れられた。
「まさか…」
この光で驚いたのは珂玲だけではなくて、後ろにいた竜騎も声が出なくなった。
「珂玲ー」
やっと反応ができた竜騎はすぐに珂玲の手を掴まったが、結局この光に敵わなかった。竜騎はただみすみすして、珂玲は光に巻かれて、そして部屋から消えてしまった。
「レイナ…」
「リュウキ、珂玲は?中にいないの?」
外から入ってきたのは大好きな人だが、今には一番会いたくない人になってしまった。竜騎は疲れたみたいに、全身の力を抜いて、レイナの肩で自分の体を支える。それで、両手でレイナの腰を前から回して抱きしめた。
「レイナ、すまない…本当に…すまん……」
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