第37話 四人目1
四人で、スピネル伯爵令嬢を出迎えた。
馬車から降りて来たのは、まさにお姫様といった感じの人物であった。
「お初にお目に掛かります。エヴィ様。リナ・スピネルです」
「エヴィ・ヘリオドール僻地伯です。ようこそお越しくださいました」
互いに一礼する。
「本日は、アゲート子爵家の件で、謝罪に参りました。
私の不用意な一言で、エヴィ様及び開拓村にご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした」
「……悪いのは、アゲート殿です。でも、そうですね。王城の決定事項しか聞かされていないので、詳細をお教え頂けると嬉しいかもしれません」
スピネル伯爵令嬢は、笑顔だ。
だけど、エリカとシルビアがとても怒っている。背後にいるのだが、殺気が凄い。
とりあえず、簡単な挨拶をして、話を聞くために村長宅に移動となった。
◇
何時もの四人と、リナ嬢の五人でテーブルを囲む。
お茶を少し飲み、会話を始めることにした。
「まず、アゲート子爵家なのですが、なぜ取り潰しにならなかったのですか?」
リナ嬢は考え出した。
そして、思いがけない言葉を口にした。
「……ロードクロサイト学園3rd~魔法学園編~」
「え!?」
エリカが、反応してしまった。
全員の視線が、エリカに集まる。
「あははは。わっかりやす~。あなただったのね。あーしも転生者なんよ。
でもそっか~。エヴィ様の元婚約者が転生者か~。結構重要なポジ取ったんね。
ボールター男爵家だっけ? この世界の姓ってさ、宝石から取られているけど、あなたは普通だったので違和感あったんよね」
いきなり口調と態度が変わった。
僕達は、驚愕の表情でリナ嬢を見る。
「……あなたが、三人目でシナリオを捻じ曲げていたのね。
予測出来ない事態が頻発していたから、何処かにいるとは思っていたけど。
会いに来てくれるとは、手間が省けたわ」
「ちょっと違うかな~。あーし四人目。三人目に見つかってさ、協力してんの」
「もう一人いるのね……」
「あ、勘違いしないでね。あーしは、邪魔する気ないので。
今あーしは、魔法学園に通っててさ。宰相様のご子息を攻略中なんよ。純粋に乙女ゲー楽しんでる感じ?」
「少し聞くけど、『魔導師エヴィの聖なる魔導書』が保管されている場所のアイテムを取ったのは、あなた?」
「あ~。めんごめんご。【転移】と【飛翔】それと【収納】は、あーしが貰った」
エリカの表情がきつくなる。
「それを取っておいて、シナリオに関与してないと言えるの?」
「う~ん。3rdにもさ、エヴィ様って出てくんよ。でね、3rdのストーリーでは、シルビアっちの元主人で協力者って感じ?
それで、【転移】・【飛翔】・【収納】は、シルビアっちが貰うんよね。
そういうストーリーなわけで、あーしが取らないと魔法学園のストーリーが破綻しちゃうわけ」
「あなたが、その3rdの主人公なの?」
「うんにゃ。3rdの主人公はシルビアっちよ? その感じだと2ndまでしか知らない感じ? 転生時期が違うんかな?
2ndの設定覚えている? 『手違いで騎士学園に入学することになった光の魔導師』ってあったじゃん。
剣も握ったことのない平民が、最下位から成り上がるストーリー。でもさ、SNSでそこは結構叩かれたんよね」
エリカは驚いている。
僕は、話に付いていけないので聞き流しています。
「……そう。3rdが出ていたのね。その話から推測すると、シルビアさんが魔法学園に入学して乙女ゲーを楽しむストーリー……なのかしら?」
「そそ。んでもって、あーし悪役令嬢役なんよ。どうやって破滅フラグ回避しようかと考えていたわけ。
でもさ、シルビアっちは魔法学園にも来なかったじゃん? 調べたら、セバス爺さんと開拓村行ってるし。
そもそも、二人暮らしじゃなく、貴族の家で働いてたって何って感じ?」
「それはジークのせいね。私は、その軌道修正を行っていたの」
「あははは。そーゆーことか。でもって、ジークは自滅か~。まあ、好き勝手してたんだから、良いんだけど。
それと、一応聞くけど、パワードスーツは取ってある?」
「エヴィ様が取ったわ」
「ふむふむ。そうなると2ndのストーリーは、一応進んでいるのか。
1stだとジークが選んだ相手がカギになって、2ndと3rdだとシルビアっちの選んだ相手になるんよね。
でも、攻略対象じゃないエヴィ様が取るのって良いのかな?」
「……私がエヴィ様に近づいた時点で、シルビアさんはエヴィ様一筋だったのよ?
それを変えさせる方が、ストーリー的に変にならない?」
「あ~。なんとなく話が見えて来た。なるほどね。まあ、取れたならいっか。
戦争は、ちょっと面倒くさいことになりそうだけど、あーしも協力するから大丈夫っしょ」
とても分からない話が、続いて行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます