第10話 戸惑い

レティシア、という名の女。

金髪に翠の目。

高級娼婦。

一等地に居を構え。

資産家をパトロンに持つ。


手に入れた情報はそれだけだった。

だが十分すぎるほどの情報だった。


とっとと丘の上の屋敷を訪ねればいい。


だが、私はそれを躊躇った。

恐ろしかった。

私が彼女を探したのは、仕事のためだけではないと。わかっていたからかもしれない。

私は、ただ会ってみたかったのだ。

うつくしいおんなに。

私はたった一葉の写真の女に焦がれていた。

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