トレーニングその十六 推敲、添削

 添削は今でも文章教育の現場で行われている、ある意味最もメジャーな教育法とも言えます。大塚英志氏はこの添削はあまり意味がないなんて言っていましたが、未だ多くの教育現場で使われている方法が全く意味がないとは思えないと僕は考えます。特にこの添削を自分の文章に対して行う、推敲は練習以前に執筆の最も大事な作業の一つです。


 僕はあまり自分の文章を添削された経験と言うのはありませんが、例えば*11の『一週間でマスター小説を書くための基礎メソッド』の中で、生徒さんの文章を添削している部分があるのですが、他人の書いた文章でありながらもそれを見て結構納得がいったという経験もあります。


 添削はする側もされる側も経験値になる行為で、時には他人の文章を推敲してみると意外な発見があったりします。もちろんそれを相手に送りつける必要なんかはないですが、勝手に練習して机にしまっておくぶんには誰の迷惑にもなりません。

 ネット小説か何かのまだ完成度の高くない文章を添削してみても良いですが、文豪の凄い文章に挑むと言うのも面白いです。隅々まで考え抜かれた文章にガチンコで挑むのは、きっと良い経験になるでしょう。


 しかし一番はやはり自分の文章を納得いくまで推敲するに尽きると思います。何回も読み返して推敲して、また少し寝かせてその間に他人の書いた文章を読んだりして、また引っ張り出して推敲する。そうやって少しずつ良い文章を書けるように努力するのが上達の一番の道かなとも思います。


 *1のスティーブンキングの『書くことについて』のなかで推敲には余分な文章をカットすることが大事だと説いています。第二稿は第一稿より十パーセント少なくすることを目的とせよと言っていました。

 推敲の際の削りの大事さは*11の『一週間でマスター小説を書くための基礎メソッド』中でも語られていて、特にワープロ、パソコンでは簡単に文を追加出来るため、ついつい装飾過多な文章を書いてしまいがちだと忠告しています。

 他にもこの本の中で、推敲こそが上達の必須条件であるとその重要性を強調しています。


 文学畑の人は実にじっくりと時間をかけて推敲しているようです。書く時間の十倍の時間を推敲に使うという人もいるくらいです。エンターテイメント系でも推敲は大事ですが、量を求められる小説では推敲を全編通して三回くらいにすることもあるようです。新人賞に送るような場合はやっぱり時間が許す限り推敲したいものですね。

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