第23話 説明
「いいか、”船闘祭”は元々このエーギャ海に住む魔物を追い払うためにやってた祭りなんだ。今となっちゃ王国の軍が退治してくれて、この祭りもただのイベントになっちまったのよ」
筋肉ゴリラもといパラロスは、別に聞いちゃいないのにペラペラと祭りの歴史について話している。半ば諦めている俺は、その説明を右の耳から聞いて左の耳から出す作業をしている。ルーイやクロリスも俺と同じように、つまらなさそうにその話を聞いていた。セレンはニコニコしながら話を聞いているように見えるが、興味がない事にはとことん興味を持たない彼女のことだ、多分何一つ話を聞いちゃいないだろう。一方エチュードとシャルは、真面目な性格故か真剣に話を聞いては質問をしたりしている。話が長くなるからやめてほしい。
「とまあ祭りの歴史についてはこんなもんだ。さて、次は兄ちゃんに所属するチームを選んでもらうぜ」
パラロスは懐からクシャクシャになった紙を取り出した。どうすればそんなにクシャクシャにできるのか教えてもらいたい程に酷かった。それでも何とか書いてある文字は読むことができた。
紙には色分けされた計10のチームについて記されていた。それぞれキャプテン、船の形状、戦績、求める能力、そして意気込みが書かれている。
「兄ちゃんはいい肉体を持ってはいるが、この黄色の"ムスケリオン"に入るにはちと足らんから、それ以外から好きなチームを選んでくれ」
俺は黄色く塗られたチームである"ムスケリオン"の求める能力を見た。「身長180センチ以上、体重100キロ以上、各種筋肉が見事に隆起している者限定」と書かれている。
「最初の二つを達成する奴は多いが、最後の条件をクリアする奴はなかなか居なくてなぁ。俺みたいな奴がちょうどいいらしいんだが、あんまり居ないみたいでな、毎年人数の差で負けてるんだよ」
当たり前だ。こんな筋肉馬鹿がゴロゴロいてたまるか。心の中でそうツッコミつつ、俺は他のチームを見た。どれもいまいちよく分からずパッとしなかったが、その中でも目立つチームが二つあった。
「この赤と青の二つのチームはどんなチームなんだ?」
「ああ"ヒッポス"と"エウクレイア"か。こいつらは毎年優勝を競ってる強豪チームさ。結構大人数を募集してるから入れない事も無いぜ。確かこの後港で勧誘会をする筈だから、よかったら見てこいよ」
「ああ、そうさせてもらうよ」
俺はパラロスに勧誘会の場所を教えてもらい、本部を後にした。どうせ参加するなら勝つ方がいい。強豪チームに入って優勝を勝ち取りに行くとするか!
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