第16話 今人による竜狩りである

「いくぞ」

「ええ」


 俺は足に力を込めた。


 空を蹴り、一足にして加速する。


 彼女の怪我を考えると吹っ飛ぶ勢いを緩めたいが、そうすると空中で狙い撃ちにされてしまう。


 仕方がないので、ここは開き直って、吹っ飛ぶ勢いに乗ってさらに速度を上げることにした。


「見つけた、あそこ! エメットよ」

「ああ」


 指を指したスクルドに従い、体を傾けてる。


 速度を活かした機動戦のコツは、出来る限りジタバタしないことにある。

 脚を連続して小刻みに動かすよりも、一足に跳躍した方が速く動ける。たぶん、抵抗が少ないんだろう。


「よし」


 徐々に方向を右にずらして、別方向に吹き飛んでいる最中の赤鹿のエメットを捕まえた。


 だいぶ吹っ飛ばされたらしく、川を超えて森の近くに着地した。


「ふー……あぶなかったなあ」

「ああ、なんとかなった」


 抱き留めたスクルドたちに潰されまいと、人間に変身して、雪の中に降り立ったクリフが額の汗を拭った。


 俺もホッと息を吐く。


 だいぶひやひやさせられたが、無事救助成功だ。


 肩に担いだスクルドとエメットを降ろす。怪我をしているから、慎重にな。


「痛っ!」


 足をつけたスクルドが、身体をぎくりと強張らせた。エメットも足に力が入っていない。


 見ればスクルドの腹と脚から血が滲んでいた。エメットも足の骨が折れているようだ。


「これは……?」


 敵の魔法だろうか。

 指ほどの大きさの赤黒いトゲのようなものが二人に突き刺さり、脈打っている。


 おそらく爆発の時に刺さり、その後痛みを抑えていた脳内麻薬が切れたのだろう。着地の衝撃で痛みがぶり返してきたらしい。


「クリフ、治療を頼む。俺は奴の注意を引く」


「ああ、任せておけって」


「平気よ! これくらいっ……!」


 スクルドが気丈な言葉を吐くが、今はそんなことを言っている場合ではない。


 いつもの役割分担を終えると同時に、振り返りながら剣をフルスイング。


 森を砕きながら俺たちを追ってきた砲撃魔法を横へと弾き飛ばし、その余波で雨のような射撃魔法も吹き散らした。


「いいから寝てろ! 守備なら俺の方が向いている!」


 今無理させて彼女を倒れさせるわけにはいかない。単独で一番瞬間火力があるのは、彼女なのだ。


 何故か雷に打たれたかのような表情の彼女と、なおも立ち上がろうともがく赤鹿のエメットをクリフに任せて、前へ出た。


 その場で楕円を描くように剣を振り回して、ばら撒かれた透明な弾丸を必要な分だけ選び、片っ端から弾き飛ばしていく。


『風の如く剣を回せ』


 遠心力を使い、最小の動作と負担で敵の攻撃を捌く。

 ガリア流に限らぬ、両手剣使いの飛び道具への基本動作だ。


「治療はどれくらいで出来る!」


「あと三十、いや二十数えとけ!」


「十でいけるわ! 私たちを舐めないでちょうだい!」


 エメットも気勢を上げたスクルドに合わせるように、いななきを上げている。


 呆れるほどのプライドの高さだが、それがかえって俺たちには心地いい。


 命のかかった戦場。


 戦況は圧倒的な劣勢。


 自分と友は死にかけ、新しい仲間の傭兵と兎も竜相手には力不足。


 そんなこの上ない逆境の中で、己の誇りを叫べる奴は本物だ。


 本物の剣士だ。


「そいつは重畳だ!」


「ははははっ! 頼もしすぎるぜスクルドさんよお!」


 俺が剣を振り、クリフが光り輝く魔法の手袋を嵌め、スクルドは歯を食いしばる。


 突き刺さった赤黒いトゲや木片さえ抜ければ、ミディの作った魔法薬を塗り込むことが出来る。


 幼いとはいえ、魔女の作った秘薬だ。


 そこらのものよりよっほど効果があることは、俺の剣で実証済みである。


 なんなら、俺がそこら中から生命力を奪い取って彼女に渡してもいい。


 まあ、彼女が俺たちと同じ魔法薬が効かない極端な体の鍛え方をしていない限り、そんなことをする必要はない。


 幸いにも敵はさきほどの攻撃であの光線を撃ち切ったらしく、人差し指に小さな光の粒を集めているだけで撃って来ない。チャンスだ。


「今なら俺一人でも、なんとか敵の攻撃を捌ききれる」


 スクルドたちがいる分、攻撃はここに集中しているが、かえって好都合だ。


ーークレイモア共通剣技 衾落とし


 かつて素早い剣捌きで、一国の正規軍の槍衾を全て斬り落としたと言われる北方の大剣使いたちの剣技をくりだす。


 本来は集団対集団で使う技なのだが、多数の連続攻撃に対するカウンターとして優秀な技なので、採用させてもらう。


「ふっ!」


 剣を鋭く、小さな楕円を複数描くように、時折り突き刺すように動かす。片時も動きを止めることなく、次へ次へと繋いでいく。


 大剣は力任せの大振りな攻撃ばかりと思われがちだが、そいつは大間違いだ。


 実際は、てこと遠心力を利用して、俊敏に振り回すことが出来るように設計されている。

 両手剣は片手剣より柄が長く、全体の重心も東の刀剣より、柄頭の方にだいぶ寄っている。

 そのため両手で持って左右の手を反対に押し引きするだけでも、剣は勢いよく、そしてコンパクトに回転するのだ。


 最初は苦しかった無色透明な弾幕も、今は慣れてきた。


 要は弾ではなく、砲火が空気を押す際のゆらぎを見れば良い。


 それに砲撃は剣を直撃させねば跳ね返せないが、一発が軽い射撃の方は剣を当てなくても風圧だけで十分逸らせる。


 これなら俺もいまいち使い勝手の悪い遠距離攻撃を解禁しても……


「……ん?」


 ……ふと、気付いた。


 何故、俺は竜の射撃魔法や砲撃魔法なんてものを弾けているのだろうか?


 ミディやソフィの魔法すらまともに切れないのに。


 どうして更に格上の竜の魔法に、奥義も使わず干渉出来る?


「…………」


 俺は陣地を防衛しながら、頭の片隅で考え始めた。


 人は魔法を斬れない。


 速過ぎて当たらないとか、見えないから当てられないとかそういう次元の話ではない。


 実体がないのだ。


『魔法とは言葉である』


 少なくとも俺は親父やホルストからそう聞き、そう本で読んだ。


 たしか、グロスタールなんたらとかいう二百年くらい昔の偉い魔法使いの書いた本の写しだ。


 見えている「魔法の炎」や「魔法の光」は一種の幻、あるいは影と言って良い。


 そこには魔法使いが意図した瞬間まで、質量も物理的なエネルギーも存在しない。見せかけだけだ。


 言葉には質量も実体もないから、剣が当たろうが、壁に当たろうがすり抜けてしまうのである。


 魔法使いとは、そんな幻を好きなタイミングで現実に変えられる特異な力を持つ人々なのだ。


 これを止めるには物理的な力ではなく、霊的な力がいる。


 剣だったら魔剣や聖剣、霊剣や神剣といった類のものだ。


 壁なら壁を分厚くするのではなく、魔法防御力を持つ特別な壁を用意する必要がある。


 一番簡単なのは動物や植物だろうか? 生命力や魔力が強ければ強いほど良い。これは強い生き物ほど、魔法に対する抵抗力が高いからである。


 また弱い生物でも大量に並べることで、魔法の威力を減衰させることも出来る。虫の壁を作る魔法使いの話を以前、アシッドがしていたことがある。


 じゃあ、俺たちも強い生き物を狩って、その骨とか牙で武器を作れば良いじゃないか、と思うかもしれないが、そうはいかない理由がある。


 生命力は死体からは発生しない。


 生き物が厳しい環境を生き残るための力なので当然と言えば、当然だ。


 だからクマやら猪やらの牙や骨から剣を作っても、それは呪術用の儀式剣にしかならないのである。


 骨や木は精錬した鉄や鋼と比べてどうしても脆く、金属の武具との打ち合いなどとても出来ないからだ。戦場でいちいち武具を持ち替えている暇もない。


 そうなると特別な鉱物や製法で作るしかないのだが、これがものすごく高くつく。とても、貧乏傭兵団の俺が手に入れられる額じゃない。


 つまり、魔法を斬るには特別な剣や剣術などが必要で、そのための技である破魔の太刀とて相当の無理が必要なのだ。


 当然、俺は使っていない。


「戦いに夢中になって、こんな基本的なことを忘れていたのか……」


 冷静でいようとしていたが、全然冷静じゃなかったらしい。


「昨日、ソフィの魔法を斬り裂いただけで動けなくなったことを、すっかり忘れてた……また、親父にどやされるな」


 戦い初めの頃はクリフたちお手製のエンチャントアイテムがあった。


 ただの鉄剣を竜狩りの魔剣へと昇華させる貴重な魔法の鉄粉だ。


 この剣を打った時に出た火花を、柄の材料になった樫の木のうろの中で呪術的な処置を施し、熟成させた一品。


 雷を扱う魔女の裔ソフィと、雷神の宿り木とも呼ばれる樫の木の森があったからこそ出来た荒技であり、本来なら戦場で竜騎士に遭遇してしまった場合の切り札だった。


 だが、それは所詮神の真似事、期間限定の奇跡。


 本来は一つ数える時間だけ、剣の寿命全てと引き換えに、頑丈な鉄剣を竜狩りの魔剣に昇華する。そんな魔法の品だった。


 それをミディの回復魔法「回帰」で、剣を高速で回復させ続けることにより、無理矢理持たせていたのである。


 その魔法も解けた今、中古の鉄剣で俺が竜の魔法を捌けているという事実から言えることはなんだ……?


「もしかしてこれは魔法じゃないのか? だが、どうやって?」


 頭を回せ。思考を途切れさせるな。


 敵の弾幕を捌き、接近して拳を叩きつけてきたのを、力が乗り切る前に逸らしながら、考え続ける。


 頭も道具も魔法も使わずに、腕だけで無色透明の爆発する物体を、一度に大量に発射する方法なんてあるのか?


 どうやって、あんなビームみたいな真似が出来る?


 意識があるとはいえ、言語を操るほど複雑な思考は出来ていないはずなのだ。


 出来るなら戦いなどせず、普通に話しているだろう。彼らにとって人間の言語など容易いものなのだから。


「ものすごい勢いで殴る、とかじゃないよな。それなら、俺でも分かる」


 空気を殴って衝撃波を送り込むのは、割とよくある戦術だ。

 いわゆる遠当てとか、ソニックブームとか、矢と弓のない弓矢とか言われてるあれである。

 あれなら訓練中にしょっちゅう食らってるし、なんならさっき矢だの弾だの吹き飛ばすのに若干使っていた。


 威力が拡散しやすく、強敵相手には火力不足になるので使っていないが、一応オレの使える遠距離攻撃の一角でもある。


「やっぱ違うな……あれを使われたら一発で分かる。空気を殴っている様子もなかった」


 空気や空間を殴って敵に当てるという技である以上、拳を振るわなければならない。


 だが、奴にそんな様子はなかった。


 奴は今なお、竜狩りの神が宿った槍と全力の押し合いをしている。俺たちを殴っている暇はない。

 そんなことをすれば、あの騎士の神の槍が奴の鱗を貫くだろう。


「となれば、あの攻撃は動くことなく、余力で放たれたものか……舐められてるな」


 片手間で相手にされている……この事実に怒りはあっても、憎しみはない。


 俺たちと奴にはそれぐらいの格差がある。


 むしろ、そのくらい油断していて貰わなければ俺たちに勝ち目はないだろう。


 奴の不死身を強引に超えられるとしたら、今のところスクルドの電磁鉄弓だけ。


 月影や破魔の太刀ならあるいは、と思わなくもないが、当たっても外しても俺が動けなくなるのがダメだ。


 今、俺がお荷物になるのは致命的。


 確実に当てられる場面で使わなければ、死ぬのはこっちだ。


「ぬん!」


 クリフたちへの直撃コースにある砲弾を横薙ぎで強引に弾き飛ばし、その余波で弾丸を弾き飛ばす。


「弾には緩いが追尾性能もある……やはりパンチやキックの類じゃないな」


 弾は直線や放物線を描いて飛んでくるが、全て狙いが正確だ。

 しかも、軽く逸らしたり、避けたりするだけでは自分で軌道を調整してきている。

 当たり前だが、衝撃波は特別な力などない物理攻撃なので追尾性能は皆無である。


「問題はなんの魔法なのか、ってことなんだが……」


 それがわからないと対策が立てられない。


 地力が天と地ほども違うので、俺たちには弱点を徹底的に突くぐらいしか方法がないのだ。


 クリフとスクルドが治療で動けない今、俺が敵の魔法の正体をなんとかして暴かなくては……


 そんなことを考えている間にも、攻撃は続く。あと少しで、違和感の元に辿り着けそうなのに、落ち着く暇もない。


「邪魔だ!」


 左から迂回して至近距離に飛び込んできた砲弾を、苛立ち紛れに柄頭で打ち返す。

 肘打ちの要領で打ち込んだそれは、若干形を変えながら弧を描いて、敵の方へ飛んでいった。


「これは……?」


 途中で撃ち落とされてしまったが、敵に砲弾を打ち返して多少溜飲を下げていると、気がつくことがあった。


「柄頭が濡れてる……」


 砲弾と俺の間に雪や水溜りなどはなかった。


 まさかと思ってあたりを見回してみる。


 吹き飛ばされた家も道も木々も、焦げると同時に濡れていた。水溜りも多数ある。


 砲火で溶けた雪を被って濡れていたのだとばかり思っていたが、もしや……


「……すぅ」


 深く息を吸って、前を見る。


 あとがないのだ。自爆は許されない。


 砲弾では爆発が大き過ぎる。


 敵の透明な弾丸、その内の一つを弾くのではなく、切り裂きにかかる。


 小さな、それこそ小指の先ほどしかない空気の揺らぎに刃筋を立てると、ぱっかりと割れて中身が出てきた。


「……水だ」


 それはあまりの速度に一瞬で蒸発してしまった。

 それでもほんの一瞬、瞬き一回にも満たない時間だけ、水滴が飛び散るのを俺は見た。








 一方、砂兎の姿に戻ったオレはスクルドの腹に食い込んだ謎の杭を引っこ抜く作業をしていた。


 アークからすればトゲでも、オレからすれば立派な杭だ。

 濁った血のような色をしたそいつに心の底からビビりながら、オレは切り札を装着した。


「なに、それ? 不思議な感じ……」


「力断ちの手袋。オレの切り札さ」


 オレの毛皮と同じ色の糸で編まれたそれは、魔女だったミディのおっかさんが編んでくれた、世界にたった一つしかない宝物だ。


「エネルギーを通さない」という性質を持ち、断熱はもちろん、魔力や呪いの伝播まで防いでくれる。


 立場上、炎や呪われた武器に多く接しなければならない魔法鍛冶屋垂涎の一品だが、生憎一品物でもう補充が効かねえ。


 アークのおっかさんが生きてりゃあよかったんだが……言っても仕方ねえことか。


 手袋もスクルドも壊さないように慎重に、しかし急いで杭を外しにかかる。


 アークもだいぶ慣れてきたみたいだし、スクルドも平気な顔を装ってはいるが、それでも負担は大きいからな。


「一応聞くが、麻酔はいるか?」


「いらない。感覚が鈍るから」


 オッケー、覚悟が決まってらっしゃる。


 たしかに高速戦闘するなら、感覚が鈍るのは良くないだろうよ。下手すりゃ壁の染みになっちまう。


 特に彼女は、多少の攻撃は受けても平気なアークと比べて脆いからな。回避率が落ちる=死だ。


 その分攻撃とスピードに特化しているのだが、まったくピーキーな人材だ。


 一発でも食らったら終わりの人材なんて、オレには使いこなせる気がまるでしないが、アークは相変わらず自信たっぷりだ。


 こいつの手綱はアイツに任せて、オレはオレの仕事をしますかねえ。


「オッケー、じゃあ歯ぁ食いしばれよ……!」


 杭を掴む。


「……ッ!」


 生き物でも掴んだように脈打つそれに総毛立ったが、構わず引き抜きにかかる。


「このっ……!」


 魚のように身を捩り、逃げようとするが、逃がさねえ。意地でも掴み続ける。


 その為の魔力断ちの手袋よ。


 こいつで包んでやりゃあ、外部からの魔力の補充は出来ねぇ。中から魔法を発動することもだ。


 こんな見るからに邪悪な魔力魔力した存在には致命傷だろう。暴れれば暴れるほど魔力を消費するのだから、存在を維持出来まい。


 逃した途端に身体の中に潜られたり、爆発でもされたら堪らねえ。


 このまま……!


「引きずり出してやるーー!」


 ずぶりっと引き抜いた杭を掴んだまま、オレは後ろに引っくり返った。


 杭はまるで釣り上げられた魚のように暴れ回り、なんとかオレの手から逃げようとする。


「こ、この……! 大人しく……!」


 や、やべえ!


 このままじゃ、こいつ、に、逃げ……っ!


「ーーッ!」


 ーーズシャアッ!



「……ス、スクルドさん……? あ、あんがとよ?」


 オレの鼻先から小指一本離れた所に彼女の刀剣が突き刺さっていた。


 その下では地面に縫いつけられた赤黒い杭が、ビチビチと死にかけの魚のように痙攣している。


「薬」


「は、はい」


 肩で息をしながら座り込み、オレが渡した薬を酒でも呷るかのようにかっ喰らうと、半分を飲み干し、もう半分を自身の傷口に吹きかけた。


 青白い光によって、傷は最初から無かったかのように消えていく。


 ……二十歳前の娘が肩とか腕とか諸肌出してるってのに、色気よりも戦士の凄みの方がすごい。


 いや、オレが只人と繁殖出来ない他種族ってのもあるんだろうけど。

 まるで、女版のアークを見てるみたいだぜ……ははは、はぁ。


「ふー、結構危なかったわね……」


「あっ、そうすっね」


 ……そう実に、危ないところだった。


 あと少しで膀胱の中身を満天下に向かって放つ所であった。ギリギリの所でオレの命と尊厳は守られたと言えよう。


 ……さっきアークに褒められて照れてたのを後でからかおうと思ってたんだが、安全が確保出来たと判断出来るまで無期限延期にしよう、そうしよう。オレの命と尊厳が危ない。


「精霊……」


「え?」


 そんなくだらないことを考えていると、いつの間にかスクルドは服を着直し、刀と地面の間に挟まれた赤黒い杭をじっと見つめていた。


「これ、狂ってるけど水の精よ。こんなに沢山いるのは初めて見たけど……」


「その話、詳しく!」


 悪いが精霊学(アニミズム)は専門外なんだ。うちにある資料は純粋魔法学や魔女術学ばっかりでな。


「自我のない自然霊は、より高位の霊格を持つ存在に畏怖や好意を抱き、従うの。たとえ、相手が狂った竜だとしても……」


「アーク!」


 たまらず叫んでいた。奴の方からも叫び返される。


「クリフ!」


「「奴の攻撃の正体は水だ!」」



 欠けていたピースがハマった気がした。

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アーク=ライト・フォン・レギンレイヴ 傭兵剣士と古の巨人 イザーク @izar-k

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