第6回 プロットの秘密・後編

寅衛門「さて、具材を全部入れ終えたからあとは味をしみこませて出来上がりだ」

寅吉「ぶいやん、順調ですな」

寅衛門「…ブイヤベースな」

寅吉「さて、まさかの日ポがプロットの柱であったことを明かされた『千鳥』ですが、『風浪』についても暴露していきましょう」

寅衛門「暴露という単語を使うか」

寅吉「今回はそこまでセンセーショナルではありません」

寅衛門「…なのに暴露」

寅吉「そこはどうでもよろしい!話を先に進めますぞ!!!」

寅衛門「ハイ、ゴメンナサイ」

寅吉「いうて基本構成は日ポですが、今回、起承転結に差し挟むのは濡れ場ではなく会話です」

寅衛門「主役二人の、か」

寅吉「はい。『千鳥』ではまるでモラトリアムな学生の恋愛みたいなキャッキャウフフ状態だったあいつらに、『風浪』では社会の掟を叩きこむのが目標となっております」

寅衛門「鬼やあ、もっとモラトリアム、楽しませてえ」

寅吉「作者みたいに大学に入ったきり出てこようとしない社会不適合者になりたいのですか」

寅衛門「アイタタタ、いや何で儂が」

寅吉「ともかく、主従関係をはっきりせんことには次作へ話が進まないのです。なので、ストーリーの合間合間に、主従関係を次第に成り立たせていくような会話を入れています」

寅衛門「ふむ、日ポ方式ならば、その『会話』を成り立たせるようにストーリーを組み立てていく、ということになるな」

寅吉「はい。…なので、その会話に持って行くためだけに、だいぶ血が流れました」

寅衛門「おっそろしい」

寅吉「しかも、あやつらの会話、基本、二人だけの時です」

寅衛門「…濡れ場同時進行という確率が高くなるのか」

寅吉「なので、アレを1回目と2回目に分けたと。間に会話させるために」

寅衛門「Oh…。聞かなきゃ良かった、そんな暴露」

寅吉「すべては会話を進行させるためです。日ポの基本方針です」

寅衛門「この会話が終わったら儂はこの話をすべて忘れることにする!」

寅吉「とまあ、こんな感じで作者はプロットを作っております、という話ですな」

寅衛門「物語のコアな部分10%程度のために、90%のストーリーが費やされるのか…」

寅吉「日ポですからのう」

寅衛門「あ、それはそうとブイヤベース出来上がったぞ」

寅吉「おお、良い匂いですなあ」

寅衛門「じゃあ早速」

寅吉「ちょっと待ったぁっ!」

寅衛門「おおっとここでちょっと待ったコールです!」

寅吉「昭和の懐かし番組ですか」

寅衛門「あれ平成じゃないのか」

寅吉「どちらにしろオッサンですな、いやそれより、殿、ぶいやんに何を入れましたか」

寅衛門「ん?エビとイカとタコ」

寅吉「ワシら猫が食べてはいけないものばかりですな。腰抜かしますぞ」

寅衛門「え。」

寅吉「だからワシ、言ったじゃないですか、ぶいやんについて気になるところがあると」

寅衛門「いやそれは…、いやそれは言ってくれよ!分かってたんなら!!!」

寅吉「殿が話を急かすから~」

寅衛門「やめろ、身をくねらすな!」

寅吉「どうします、それ。ネタにしていじりまくったから『千鳥』に差し入れしますか」

寅衛門「…いやだ」

寅吉「どうするんですか」

寅衛門「…『金平糖』。差し入れするんだったら『金平糖』( https://kakuyomu.jp/works/1177354054917240768 )の方に行く!」

寅吉「それはあれですか、もしや『金平糖』で我々の出番が予定されているということですか」

寅衛門「そして、干し鯛の鯛めしをゲットしに『千鳥』に潜入する…!」

寅吉「…切られますぞ、開き状態に。ああ見えて好きな相手から特別な日に食べ物を貰って喜んでいるんですから」

寅衛門「あ~、そういや昨日はバレンタインだったか」

寅吉「あの話は正月ですがのう」

寅衛門「はあ、ぶいやん…」

寅吉「そういえばさっき、奥方様が殿をお呼びでしたよ、何か渡すものがあると」

寅衛門「え、白玉、儂にチョコくれるのかな」

寅吉「いってみなければわかりませんのう」

寅衛門「行ってくる」

寅吉「…音速でいなくなりましたのう。もしかしてこのぶいやん、奥方のために作っていたのですかのう。重ね重ねもったいない。…じゃあワシはスナック鯖の骨の芳江ちゃんのところに行きますか。確か今夜はバレンタインイベントがあるとか…」いそいそ


寅衛門「二匹合わせて」

寅吉「虎猫ズ!」

寅衛門・寅吉「ご清聴ありがとうございました!」

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