SCENE:Ⅲ-ⅱ〖武器生成と特訓〗
24話
翌日、龍真と待ち合わせをして学校へ登校した弥生は、誰が見ても分かるくらいにわくわくとした様子だった。
「どうしたんだ、弥生。随分と楽しそうだな」
龍真がそんな弥生を見て問うと、弥生は目をキラキラさせながらずい、と龍真の方に顔を近づけた。
「だって、今日はウェポン生成だぞ!? 一生に一度、生涯相棒になる武器の召喚!! これを楽しみにせずいてどうするよ!!」
拳を強く握りながら熱く語る弥生に若干引きながら、龍真は少し苦い顔をする。
「まあ、確かに一生を共にする武器を召喚するってのは楽しみではあるが……弥生はこれまでの人生を表す呪文が、怖くないのか?」
「怖い……って、なんでだ?」
「いや……そうか、そうだよな……」
「龍真?」
俯いてつぶやく龍真。
弥生からその顔は窺えなかったが、その声は悲痛なものであった。
(俺は過去を振り返るのが怖い……が、普通の人間はそうは思わないんだよな……とか、思ってそうだなぁ)
弥生はそんな龍真を見ながら呑気に考える。
(この間の口調からして幼馴染はいなくなっちゃったっぽいし、ボク達と同じ施設にいたのなら悲観することもあるんだろうね。いや、別にボクは何も感じないけど)
「ああいや、何でもない。楽しみだな」
苦い感情を押し殺して、龍真は微笑を浮かべた。
「やぁみんな、おはよう! 今日もいい朝だね! おやすみ!」
そこで教室に意気揚々と入ってきたかと思いきや教卓に突っ伏して寝始めた賀茂。
「あはははは!ほんと賀茂センセってイカれてんな!!」
それを見て爆笑する弥生を軽く睨み、久東が賀茂を叩き起こした。
「あー、ねみぃ。てことでアビリティウェポン生成だね。みんな第三訓練室に集合! …………ぐぅ」
再び寝始めた賀茂を傍目に、弥生達四人組は顔を見合せた。
「第三訓練室っていうと、校舎の南にあるあそこか? 個室が大量にあるとこ」
「だな。生成の都合上の観点からして、北にある第一訓練室はただの広場だし、西にある第二訓練室は山とか森とかがシミュレーションされた空間だからな」
「ま、十中八九そこでしょうね。確か東にある第四訓練室はほぼジムみたいなところなんでしょ?」
「そうですね。実践と言うよりは、身体を鍛える道具が多かったと思います」
第一異能学園の訓練室には、様々な設備が備わっている。
第一訓練室には異能の強度を測る為のダメージコントラストと速度を測るための計測機が数多く設置されており、第二訓練室は空間異能によって山や街などの環境がシミュレートされている。第三訓練室には多くの個室があり、第四訓練室は身体を鍛える為の器具が豊富に設置されている。そしてその訓練室の全てにSSランクの異能まで耐え抜く強靭な結界が施されているのも大きな特徴だ。
「とりあえず、南の訓練室だな! 早く行くぞー!」
ワクワクニコニコしながら前を進む弥生に、龍真は苦笑を浮かべながら着いていった。
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次話、長いです。
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