SCENE:Ⅱ-ⅲ 〖クラスと偽り〗
16話
試験翌日の朝、クラス振り分け表を見ると、やはりボクと龍真クンは同じクラスだった。
クラスは上からS〜Eがあり、実力順に分けられている。
だから青霧トップの龍真クンと、
やはりというかなんというか、Sクラスは他のクラスに比べて人数が圧倒的に少ない。
AからEが一クラス40人程。対して、Sクラスは20人いるかどうかだ。
それに、Sクラスは色々優遇されるらしい。
例えば、優先的に訓練場を貸してもらえたり、寮の部屋が広い所になったり。
……なるほど、これはモチベーションが上がる訳だ。
生徒のほとんどが皆、この優待を求めて頑張るんだね。
ボクは蒼炎サンがいればなんでもいいケド。
「お、龍真じゃん! 同じクラスだったな! 一緒に行こーぜ!!」
「ああ」
と、そこで龍真クンと合流したボクは、早速龍真クンに絡んでいく。
龍真クンも嫌そうな様子は見えないし、これは上手く学生に溶け込めてるみたい。僥倖、僥倖。
Sクラスと表記されている教室に入ると、既に来ていた生徒たちにジロジロと見られる。
(あー、これ、見定められてるね。ま、一目見ただけじゃボクの実力なんて分からないだろうけど)
それに、隣にいるイケメンの方が注目を集めているし。
座席表を見ると、またしても龍真クンの隣だった。ラッキー!
「また隣だな」
「そうみたいだ。これからよろしく!」
このSクラスは一年間、席替えがない。
つまり、
(あぁ、早くもこの一年間が楽しみになってきたなぁ)
笑いそうになるのを我慢して、これからの事を想像してムネを躍らせる。
ボクの席は昨日と同じ窓際の一番後ろ。
龍真クンと共に席に着くが、前と右斜め前の人はまだ来ていないようだった。
(さてと、誰がご近所さんになるのかな〜)
わくわくしながら見ていると、前の人が来た。
吊り目、オレンジがかった赤髪のツインテールの女子。見た感じ、気が強そうだ。
「よっ! オレ、三奈月弥生っていうんだ。お前は?」
早速話しかけると、ものすごく嫌そうな顔をされた。解せぬ。
「はあ? なんであんたなんかに名乗らないといけない訳? 身の程を知りなさいよ」
(なんというか、うわあ〜〜)
これには語彙力の低下もやむを得ない。
正直、面倒なので関わりたくない人種だが、生憎と今は『社交的』なキャラなので我慢しなければならない。
「まあまあそんなこと言わずにさぁ──」
その瞬間、ボクは投げられていた。
反応は全然余裕で出来ていたが、したはしたで
「いってえええええ!! 何すんだ!」
微塵も痛くないけどねぇー。
「しつこいのよ! ホント、迷惑ったらありゃしない! こっちはあんたになんか興味無いんだからね!」
わー酷いなぁー。
でも奇遇だね。ボクもキミのこと全然全くこれっぽっちも興味無いよ!
まぁ確かに、他の生徒達よりかはちょっとだけ抜きん出てるけど、それだけじゃない? 龍真クンの方が何十倍と強いからね。
「まあまあ、これからも何かと絡むこともあるかも知れないし、自己紹介はしておかないか?」
ツインテール女は龍真クンの言葉を聞いて渋々といったふうに話し始めた。
「
ツインテールの片方をふぁさ、と払いながら、玲香は言った。
「俺は霧崎龍真だ。中学はちょっとした事情で遠いところに通ってた。よろしく」
ふぅん。蒼炎サンって確か中学通ってないから……ウソか。
「オレは三奈月弥生! よろしくな!」
握手しようと手を差し出したら突っぱねられた。
全く、女子ってのは難しいなぁ。
やたらと崇拝してきたり、やたらと邪険にされたり。
“普通の女の子”みたいな感じのコに会ってみたいなぁ。
と、そこまで思案したところで、斜め前の席の人が来た。
「は、初めましてっ! えっと、私は
(噛んだねぇ)
(噛んだな)
(噛んだわね……)
ここで密かに三人の意見が一致した。
「おう、よろしく! オレは三奈月弥生ってんだ。弥生って呼んでくれていいぞ!」
「俺は霧崎龍真。よろしくな」
「キリア=玲香・ハーヴィよ。玲香って呼んで」
「弥生くんに霧崎くん、玲香ちゃんですね! これからよろしくお願いしまひゅっ! ……うぅ……」
(すごいなぁ。色んな噛み方のバリエーションがある。って……も、もしやこれって! 普通の女の子と言うやつでは?!)
柄にもない喜び方をしてしまった。
まぁ、普通の女の子くらいそこらじゅうにいるよね。……普通は。
あっ、そういえばボクって普通じゃなかったね!
簡単な自己紹介を済ませたところで、ちょうど始業の時間になった。
これから担任を始め、各々の自己紹介が始まるらしい。
(さてと、他に面白そうなコはいるかな〜っと)
頬杖をつき、隣りの龍真クンに気づかれないように笑う。
(あー、楽しみだな!)
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