第17話 11月に読んだ本

この前、お土産にキャラメル専門店のキャラメルと生姜シロップをもらいました。

キャラメルには1粒づつ包装紙に番号が付けらていて、同封されていた冊子にその番号の味の説明が記されていました。

世の中にはいろんな専門店があるんだなぁ〜と、もったいないから1日一粒づつ大切に食べました。

どの味のキャラメルもとっても美味しかったです。

生姜シロップは炭酸水に入れたり、お湯に入れたり…中でも一番のお気に入りはホットミルクに入れる事でした。

飲んでるとポカポカ暖かくなってきます。

もう全部飲んでしまったけど、生姜シロップなら自分でも作れそうなので(お砂糖とお水と生姜を煮込めば多分シロップになるはず…!)作ってみようと思います。


そんな11月に読んだ本は

「闇祓」

「東京會舘とわたし(上)旧館」

「東京會舘とわたし(下)新館」

「鍵のない夢を見る」辻村深月さん

「たゆたえども沈まず」原田マハさん

「地球星人」村田沙耶香さん

「R.P.G.」宮部みゆきさん

「その白さえ嘘だとしても」河野裕さん

「ハニオ日記 III」石田ゆり子さん

「BUTTER」柚木麻子さん

「東京藝大仏さま研究室」樹原アンミツさん

の全部で11冊でした。


特に心に強く残った作品は

「たゆたえども沈まず」「その白さえ嘘だとしても」「ハニオ日記 III」「BUTTER」です。


「たゆたえども沈まず」

19世紀の終わり、美術商を営む2人の日本人、林忠正と加納重吉。

日本に恋焦がれた画家の卵、フィンセント•ファン•ゴッホとその弟テオドルス•ファン•ゴッホ。

ジャポニズムが、フランスを席巻する只中、運命に導かれるように出会った4人の物語。


37才という短い人生を孤独にもがきながら、それでも絵を描き続けたフィンセント•ファン•ゴッホ。

34才という若さで兄を追うように命を閉じたテオドルス•ファン•ゴッホ。


フィンセントが自堕落な日々を送っていた時も生活の全てを支え続けていたテオドルス。

その献身さに胸が詰まるような、心が痛くなるような気持ちになりました。


フィンセントを支える事を通してテオドルスも絵の一部となっていたのかもしれません。

2人で描きあげた、そう言えるのかもしれません。


現在、ゴッホという名を知らない人はいないと思います。

そして、驚愕的な高額で絵は売買されています。


でも、生前売れた絵は一作品だけ。

それでも、彼の作品が人に望まれた事は「自分は狂人だ」とまで卑下するようになってしまったフィンセントをどれだけ励ましたことか…


もっと、もっと、生きていてくれたら…そう願わずにはいられませんでした。

彼の絵に熱狂し、賛美し、夢中になる人々の姿を見てほしかった。


いつも、よれよれのみすぼらしい服に身を包み、靴には泥がこびりつき、ずた袋に無造作に画材道具を詰め込み、一つの場所には留まれなかったフィンセント。


彼の孤独をどうにかして安らぎに変える事はできなかったのか…それは死にしか叶える事ができなかったのか…

読み終えた後も心がこの物語から離れませんでした。


いつか、彼の作品をこの目で直に見てみたい。

そう強く思います。

できることならその作品は「星月夜」がいい。

物語に彼の作品が登場する度、スマホで検索しながら読みました。


「星月夜」私はこの作品が1番好きです。

力強く幻想的に煌めく星と月。その夜空に見守られるように立ち、語りかけるような糸杉。


糸杉は、フィンセントなのかもしれない。

彼を見たいと思いました。


「その白さえ嘘だとしても」

階段島シリーズの第2巻。

12月24日クリスマスイブ。

その1日を中心に起こった出来事の物語。


シリーズものの2巻、感想を書くと1巻のネタバレになってしまいそうで難しいですが…

今回のお話もとても心に刺さりました。

ほぼ1日の中に起こった物語だと思えないほど、中心となる5人の登場人物達のいろんな思いが交差し、折り重なり、綾なす心情は何色もの色彩に彩られているようでした。


真っ白な、汚れ一つも寄せ付けないような純白に、憧れと嫌悪と劣等感を織り混ぜる混色の人。


たとえ、純粋な白じゃなくたって、いいじゃない。

そう思いました。

いらないと見限られ、捨てられたものを抱えながら、それでも成長する事はできるはず。

完璧でなくたっていいじゃない。

その人のその人らしさを失わずに、前に進む事だってできるはず。

纏った白が真実とは違ったとしても、だからといって嘘だとは思わないし、それは無意味な訳じゃない。


少しずつ明かされていく階段島の謎。

今回、とても重大な物語の核となる秘密が紐解かれました。

次巻では、その秘密が更なる謎を解き明かしていきそうです。


「ハニオ日記 III」

ハニオ日記の第3巻です。


ばぶちゃんの生まれ変わりのような新しい家族、ばびぶーが仲間入りし、5匹のネコと1匹の犬とゆり子さんの毎日はますます賑やかになりました。


この本の中で、ゆり子さんは何度も何度も「ありがとう」って言ってみえます。


いつもありがとう。

そばにいてくれてありがとう。

うちの子になってくれてありがとう。

わたしのことを好きでいてくれてありがとう。


たくさんの「ありがとう」に胸がいっぱいになります。


そしてこうも言ってみえます。

「私ができることは彼らの一生のどこを切り取っても幸せだったと思ってもらえるように日々努力すること」


私も大好きなワンコと暮らしています。

この言葉を忘れないように、胸に刻みたいと思いました。


全3巻の「ハニオ日記」が発売された時、多くの本屋さんの平台にたくさん並べられていましたよね。

きっと、多くの人が手に取ったことと思います。


ゆり子さんは、この本の印税を全て、日本中の保護犬と保護猫たちのために使うと言ってみえます。

そのことが、この本を作る1番の動機だった、って。


ゆり子さんって、なんて大きな愛の人なんだろう、と思います。

大好き、なんて軽々しく言えないぐらい、尊敬します。


この本の続きは、ゆり子さんのInstagramで見られるので、私ももちろんフォローしました。

4巻が発売されるかはわからないけど、これからも愛に満ちた「ゆりごろう王国」をずっと見守っていきたいです。


「BUTTER」

男性達を心酔させ、財産を奪い殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)

彼女の独占インタビューを書くために週刊誌の女性記者、町田理佳さんは東京拘置所に通います。

カジマナの独特の価値観、高みから見下すような考え方、事実は形を変え自身の主観だけが存在するその世界に、理佳さんはどんどん絡め取られていきます。


とても読み応えのある物語でした。

感想が一つではなく、登場人物一人一人への思いが何重にも折り重なるような、そんな複雑ないろんな気持ちになりました。


たくさんの崇拝者を得ていたと話すカジマナ。

多額のお金を受け取り、いわゆる普通の労働には無縁で気ままに暮らしていた筈なのに、彼女の心にはどこまでも深い怒りと憎悪の気持ちが押し込まれています。

その心の蓋が開かれた時、対象者が受ける攻撃は死を呼び込むほど…

直接手を下すのではなく、心で精神で人の命を奪う…とても怖いと思いました。


誰だって幸せになりたいはず。

笑顔と憎しみ、その境目って

誰かに自分を心地よくしてもらう事を願い要求するばかりの人か

自分で自分を大切にしてあげられ、満足を得られる人かどうか、なのかもしれないな…


序盤からラストまで「バター」が物語の象徴のように、いろんな場面で、いろんな心の動き、感情とともに登場します。

そんなバターと迎えた物語のラスト。

理佳さんの考え方がとても素敵でした。

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