第14話 9月に読んだ本
毎年、その年の終わりに「1年ご苦労様でした」の気持ちで自分にプレゼントを贈っています。
縦横10センチ程の小さなキャンバスに描かれた、初めて買った手描きの絵だったり
優しい光が灯るアロマキャンドルライトだったり…
今まで買ったものも、どれもずっと大切にしていきたい、そう思う物ばかりです。
そして今年はまだ9月だと言うのに、もうそのプレゼントを決めてしまいました 笑
神戸のお店で一つずつ手作りで作られているピンキーリングなんです。
控えめだけど可憐で可愛らしく、繊細で華奢なデザインに一目惚れでした。
「手にして下さった方の日常に溶け込みながらも特別な存在として、永く身に着けて頂けるものになるように」
というお店の人の言葉も素敵でした。
きっと、ずっと大切にすると思います。
届くのは12月後半とのこと。
今から小指にはめるのが待ち遠しいです。
そんな9月に読んだ本は
「噛み合わない会話と、ある過去について」
「家族シアター」
「青空と逃げる」辻村深月さん
「ふるさと銀河線」高田郁さん
「あひる」今村夏子さん
「ミーナの行進」小川洋子さん
「うそうそ」畠中恵さん
「スター」朝井リョウさん
「ナイルパーチの女子会」柚木麻子さん
「オーラの発表会」綿矢りささん
「ハニオ日記II」石田ゆり子さん
「坂下あたると、しじょうの宇宙」町屋良平さん
の全部で12冊でした。
その中でも特に好きだった作品は
「スター」「オーラの発表会」「ハニオ日記 II」です。
「スター」
細部にまでこだわりを持ち作品を仕上げていく職人のような尚吾さん。
鋭い感性で対象の本質を感覚的に捉えていく天才肌の紘さん。
大学時代に2人で監督を務めた作品が映画祭でグランプリを受賞します。
「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」
恩人の言葉に見送られ、1人は尊敬する名監督のもとへ、1人はYouTubeの世界へと
卒業後はお互いに対照的な道へと進んでいく2人の物語。
加速する様に移り変わっていく価値観。
その価値観が作り出していく数多の世界。
その流れが早すぎて、作り出され、そして消えていく世界があまりにも多すぎて
作品の作り手と受け取る側の心の乖離に愕然としたり途方に暮れたり…ちょっと迷子になる、そんな気持ちにもなりました。
いろんな世界があって、本当は比べられないもの、比べるべきでないものを必死で比べようとして傷つきながら、大切なものが手からこぼれ落ちていく。
いろんな切なさや哀しさがありました。
でも、2人の選んだ道は違っても、辿り着いたその先には同じ景色が広がっているようにも思えます。
沢山の世界があり、交わらない事もあるけれど、本当に心を打つ素晴らしいものは、その限りない世界を超えて伝わってくる。
その事が一筋の光のように思えました。
真摯に作品を生み出し続ける全ての創作者の人達に、心からの敬意の気持ちと、受け取る側も誠実に作品に向き合いたい、そう強く思いました。
いろんな問いかけを投げかけてもらった物語でした。
「オーラの発表会」
大学に合格して一人暮らしを始めた海松子(みるこ)ちゃんの「順調にやらかしている」日々の物語。
海松子ちゃんは、独自の世界を築いていて、外側から見ると突拍子もなかったり、え!?って謎に思えるような不思議テイストに溢れています。
でも、その一つ一つに海松子ちゃんの心を通して見てみると、なるほどなぁ…と頷ける事も多かったりします。
しかも、海松子ちゃんは先入観なく人の事を見れるので、人の悪口、批評に気持ちが左右される事がありません。
常に指針は自分の感じた事、見た事、海松子ちゃんの世界の価値観に基づいています。
そして、そこに意地悪な気持ちや悪意が入り込む隙間がないんです。
とても、素敵だと思いました。
海松子ちゃんに惹きつけられるように物語の中に入り込んでいきました。
一人でいる事が辛くなくて、一人で足りていて毎日を過ごせる海松子ちゃん。
そんな海松子ちゃんが一緒にいて楽しいと心から思える人に出会えた事に、読んでいてとても幸せな気持ちになりました。
1人で楽しめるのも素敵なことだし、うれしい事、楽しい事を好きな人と(恋でも恋じゃなくても)一緒に共有したいと思うこと、それもやっぱり素敵なことです。
綿矢りささんの作品は「インストール」「蹴りたい背中」「生のみ生のままで」そして今回の「オーラの発表会」しか読んでいませんが、私はこの「オーラの発表会」が1番好きになりました。
「ハニオ日記 II」
石田ゆり子さんと動物達の愛おしい日々を綴った「ハニオ日記」の2巻です。
可愛らしさの塊みたいな、ポヤポヤの小さなはちみつ色のネコの兄弟、はっちとみっつが新しく石田家の家族になりました。
4匹のネコと1匹の犬、みんな本当にたまらなく可愛い。
沢山の動物達が賑やかに暮らしている様子を見ていると(読んでいると)私のワンコは寂しくないかな…と、心配になりました。
私が帰ってくると、あんなに全身全霊で喜んでくれるのは、一人でお留守番している時間がすごく寂しいからなのかもしれないな…って。
ごめんね。
一緒にいられる時間をうんと大切にするからね、そうこの本を読みながら何度も何度もワンコをなでなでしました。
ゆり子さんが、動物病院で保護されていた病気の小さな小さな子猫を引き取って看病することに。
仮につけた名前は「ばぶお」
手のひらに乗るほどに小さくて、ばぶばぶしているから。
ばぶちゃんとゆり子さんの姿に涙を抑えられませんでした。
病気でどんなに辛くても、ゆり子さんが話しかけるとゴロゴロ言って喜びを伝えてくれるんです。
ゆり子さんはそんなばぶちゃんの事を「小さな神様」みたいだと言っていました。
私も本当にそうだと思いました。
ばぶちゃん、ゆり子さんに出逢えて良かったね。
ゆり子さんと一緒に過ごせて、幸せだったね。
ゆり子さんは、いろんな事情で病院で保護されたネコ達を引き取って暮らしてるんです。
(里親を探す手伝いもしてみえます)
なかなかできることじゃないですよね。
ゆり子さん自身がみんなにとって、神様みたいに愛情深いお母さんだと思います。
9月になって朝晩はすっかり涼しくなってきましたね。
でも、日中は日差しが強くて暑かったり…
温度の高低差で体調を崩されないように、みなさんご自愛くださいね。
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