第12話 本屋さんの棚
私は本に関わる人達の物語もとても好きです。
書店ガール、店長がバカすぎて、桜風堂ものがたり、ビブリア古書堂の事件手帖、月魚、ミュゲ書房、森崎書店の日々…
中でも、本のお仕事小説を読むと、出版業界の厳しさを身につまされる思いで、登場人物達の心を通して私の心にも深く刻みつけられました。
本は意外にすぐに絶版になる事。
50年後も書店に残る本がどれだけ少ないかということ。
初動で売れない本は、割とすぐに出版社に返品されてしまうという事…
切なくなりました。
私は4年ほど前に積んであった本を全て読み、積み本0にした事があります。
なんだか、読まれるのを待ってくれているのに、新しく違う本を連れて帰るなんて申し訳ない気持ちになったんです。
一冊ずつ買って、読んで、そして読み終わったら次の本を買おうって。
でも、今は躊躇う事なく本を買って積みます。
(お財布が許してくれる範囲ですけど 笑)
本を買う事は、本を守ることにもつながるんだ、と物語に教えてもらったからです。
書店で一目惚れした本
(本に呼ばれた、と思っています。これを友人に言うとハイハイと呆れ気味に言われます 笑)
夏は文庫フェア目白押しですよね。その対象本ももちろん積みます。
(今年もおまけはコンプリート済み)
都会に行った時に、幸運にも好きな作家さんのサイン本に遭遇した時は歓喜と共に購入して積みます。
(この前、朝井リョウさんの「スター」のサイン本を入手できました!)
なんだかんだと、こうして0だった積み本は現在106冊に…
今回あらためて数えてみて、随分増えたなぁと思いました 笑
一つの本棚を積み本コーナーにしていて、そこを「小さな本屋さん」と読んでいます。
本屋さんの棚はその棚担当の書店員さんが、いろんな想いを込めて作った棚だという事も物語から教えてもらいました。
「この本の隣には、この本を読んだらきっと読みたくなるこの本を置こう」
「この本は売れ筋からは外れるけど、あのお客様がきっと気に入ってくれるはず」
「この本は絶対にいろんな人に読んでもらいたい」
そんないろんな想いです。
私の小さな本屋さんも私が作った棚だなぁ…と次読む本を選ぶ時、物語で出会ったいろんな書店員さんの事を思い出します。
そして、この前、書店員さんの思いを感じる棚に出会いました。
文芸コーナーの一角に、文芸誌の棚があったんです。
でも、そこには、すばる、文学界、新潮、群像、文藝という、いわゆる有名どころの文芸誌ではなくて、ちょっとマイナー気味(ごめんなさい)だと私は思っていたユリイカ、本の雑誌、ねむらない樹、そして終刊になってしまった、たべるのがおそい、などがバックナンバーも揃えられ並べられていたんです。
すごいなぁ〜と惚れ惚れと見入りました。
(「たべるのがおそい」は「こちらあみ子」以来半引退状態になっていた今村夏子さんが「あひる」を発表した文芸誌です)
その中に「ことばと」という文芸誌を見つけました。
棚に並んでいたのは創刊号からvol3までの3冊。
創刊号を手に取ってページを捲ると
「ことばと」は言葉と何か「with」という意味であること、それをみんなで見つけて行きたいという思い。そして「言鳩」という言葉を届ける鳩という意味もある事が書かれていました。
いいなぁ…と思いました。
表紙も背表紙もなんだか可愛らしくて、好みだったし1500円とちょっとお値段は高めだったけど、まずは創刊号を買いました。
春と秋の年2回の発行で現在はvol3まで発売されている事も知りました。
あらためて、棚を見て
「そっかぁ…文芸好きな書店員さんはあんまり知られていなくても素敵な文芸誌があることも、知ってほしかったのかもしれないなぁ」
と思いました。
どんな書店員さんかはわからないけど、私はこの書店員さんが好きだな…と思いました。
今度、この本屋さんに行ったら1番にこの棚を見に行きたいと思います。
この棚が変わらずにちゃんといてほしい…そう心から願いました。
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