第4話 3月に読んだ本

山と田んぼに囲まれた自然豊かな所にすんでいるからなのか、私の周りには花粉症の人が沢山います。

ティッシュBOXと行動を共にし、瞼まで腫れて本当に辛そう…

桜が咲き始めて、菜の花も咲いてきて、ポカポカお日さまが心地いい最高の季節なのに…なんの症状もなく春を満喫する私…なんだか申し訳ないくらいです。


そんな3月に読んだ本は全部で10冊。


「愛されなくても別に」武田綾乃さん

「オルタネート」加藤シゲアキさん

「逆ソクラテス」伊坂幸太郎さん

「犬がいた季節」伊吹有喜さん

「女王さまの夜食カフェ」古内一絵さん

「闇に咲く」あさのあつこさん

「八月の銀の雪」伊予原新さん

「三日月邸花図鑑」白川紺子さん

「ありふれた祈り」村山由佳さん

「一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書」山崎圭一さん


特に好きだったのは

「愛されなれなくても別に」「犬がいた季節」「女王さまの夜食カフェ」「三日月邸花図鑑」「ありふれた祈り」です。


「愛されなくても別に」

「愛してる」という言葉が呪いのようだと思った。


過酷な現実の中、やっとの思いで毎日を生きている大学生の陽彩さん。

彼女のお母さんは陽彩さんの事を愛していない訳じゃない。

でも、その愛はいつも身勝手で、都合が良くて、いろんなものを奪い、全てを差し出す事を要求する。

陽彩さんよりも圧倒的に自分自身を愛している。

そんな母親の「愛してる」が陽彩さんを鎖のように縛りつける。


「愛して欲しい」と思う事は自然な気持ちなのかもしれない。

でも、どんなに望んでも手の届かない事もある。


だったら「愛して欲しい」って気持ちを手放して自由になりたい。

押し付けではない、ただ大切な人を想う本当の「愛してる」だけでいい。

そんなふうに思った物語でした。


「犬がいた季節」

昭和、平成、令和。

高校で飼われる事になった犬のコーシローと高校生達の3つの時代を繋ぐ物語。


いろんな時代の高校3年生。

さまざまな想いが交差しながらも、もどかしいほどに言葉には出来なくて、大切に想うからこそ、届かない。届けられない。


口にすることすらできないくらいの深い想い。

その切なさに、不器用さに、あぁ、これが18才なんだなって、噛み締めるように読みました。


そんなみんなを心配しながら、応援しながら、思いに寄り添いながら、待ちながら、見守りつづけてくれたコーシロー。

私も犬のトイプードルと暮らしているので、コーシロー視点になる度に、ワンコをなでなでしないではいられませんでした。


そして、もし、この本を読む機会があったら、ぜひカバーを外して見てみてください!

物語を読み終えた後ならこの本が何を表しているかすぐにわかります。

思わず、わぁ!って声が出てしまったくらいです。

こんなふうに物語の世界を表現しようって、愛情たっぷりに装丁された単行本がとても好きです。


「女王さまの夜食カフェ」

前回、感想を書いたので省略です。


「三日月邸花図鑑」

かつてお仕えしていた藩主から譲り受けた三日月邸と広い庭。


「人喰い庭」とも呼ばれる不思議な庭。

探偵になり帰ってきた光一さんに、亡くなったお父さんが残した言葉は「庭には誰も立ち入らないこと」


徐々に明らかになっていく庭の秘密にドキドキしながら、でも何が隠されているのか少し怖いような…でも知りたくて…夢中で読んでいました。


庭に隠された哀しい秘密と想い。

江戸という時代が現代の中に色濃く刻む真実。

時が繋がり救いの形となった時、私も心からよかったって思いました。


「ありふれた祈り」

長く続いた物語の最終巻。


怒り、喪失感、自己嫌悪、後悔、自暴自棄、罪悪感…そうした負の感情が作り出す大きな落とし穴が足元に深く広がる。

その穴に引き摺り込まれないように、前を見る事を諦めないと強く願い、乗り越えようとする人達の心の強さに胸を打たれます。


「こうなったら絶対に、みんなで幸せになろうな」

大切なものを奪われた人と奪った人。

その両者が幸せになろうと言葉を噛み締める姿に、人としての尊さを見た思いでした。


最終巻だけど、始まり。

これから続くみんなの人生の幸せを心から願ってます。


今月も素敵な本が読めて楽しかった!

本屋大賞ノミネート作品10冊の内、8冊を読み終えたので来月はまず残りの2冊を読みたいなって思ってます。

なんとか大賞発表までに読み終えられそうです。

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