リレー小説【2】現状把握(√3) 

 自分の言葉に見舞いの花を取り落とし、少女は部屋をで出て行った。枕元の花瓶は毎日の様に変えられていたらしい。


「先生を呼びに行ったのかな……」


 もしかしたら涙を隠すためかもしれない。そう思うと少し胸が痛む。


 あの子一体誰だろう? 記憶を辿っても自分の記憶は空っぽだ。


 ノックをされ、二人の人物がやって来た。白衣を着た中年男性とまだ若い看護士だ。


「伊集院さん、意識が戻ったんですね…」

「おめでとうございます」


 医者の説明では自分は三年以上眠り続けていたらしい。伊集院司。それが自分の名前らしい。交通事故ではなく。パーティーの最中いきなり倒れたらしい。解離性くも膜下出血。それが正式の病名だ。


 なんだか金持ちそうな名前だと思ったら。それなりに裕福な家庭だった。両親と妹の四人家族。妹の誕生日パーティーで倒れたらい。後は緊急手術を受け、今日まで眠っていたらしい。


「見舞いにきていたのは?」

「ああ、君の婚約者だよ」

「は?」

 

 この歳で婚約者がいるのか……。思わず天を仰いだ。 

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【リレー小説】結末は誰も分からない…… 神城零次 @sreins0021

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