第268話迷惑悪質ドッキリを仕掛けていた迷惑動画配信者に反抗してみた2
井澄兄こと
動画投稿、配信についての苦言、今後は一切禁止する、と。
(まぁ、親父達ネットとかに疎いからな)
恐らく、辞めなくてもバレないだろう。
そもそも、ユー○ューバーが何か分かっていないのだし。
「とにかく、もうやるな。 無言電話やらクレームやら、 テレビの取材やら。 お前達が人様に迷惑かけたせいでオレと母さんが困ってるんだぞ」
「ああ。 分かった。 悪かったよ。 お金が絡んでたからやり過ぎたんだ」
「……」
父親はしばらく勝の顔を見ていたが、
「肝に銘じておけよ」
「お願いだから、人様に迷惑かける
のだけはやめて頂戴」
母親も笑顔を消して、 念を押してくる。
「ああ、 身に沁みたよ」
とりあえず、 反省したフリ。 だが、隣に座るの弟はうつむいて、深刻そうな顔をしている。 どうやら、
説教が刺さってしまったようだ。
「ん」
父が自分のスマホを見て立ち上がる。
「あまり調子に乗るなよ」
「ああ、大丈夫だって」
弟と一緒に部屋へ戻る。
「あ、兄貴。 どうしよう。 この前、街中でオレの担任に仕掛けたイタズラ、バレるかも」
「あー、 深い水溜りで転ばせるやつか。 てか、 BANされてんだから動画見られるやついないさ」
勝は肩をすくめ、 自分の机のパソコンを立ち上げた。
やはりBANされたままである。
(あーあ。くそー)
と、呟き系SNSのダイレクトメッセージが届いたようだ。 何気なく開いてみると、
『3ヶ月前、カラオケ屋の店員土下座させてたの、 言いがかりだろ』
勝はため息を吐いて頬杖をついた。
(ピザにハエの死骸トッピングして、謝らせたやつかぁ)
料理に異物が混入したと訴え、 謝罪を要求した動画だ。 カットしたが、 ハエを用意したのは勝達であ
り、「異物混入があったので緊急で動画を回した」という体の動画だった。 店は批判の対象になったと聞
く。
その後、ドッキリということにすれば視聴者のヘイトが少し減ることに気づき、 バランスの良い動画に仕上がるようになった。 ネタバラシで解決! 便利な言葉なのだ。
(そういや、ハエトッピングのあれは、ネタバラシしてなかったんだよあのまま、店側の過失ということ
になり、一部ではニュースになったらしい。
と、続けてメッセージが送られて
きた。
「あのカラオケ屋、 潰れることが決まったよ。 お前らのせいで。 許さないからな』
(はいはい)
勝はすぐにメッセージを消して、息を吐いた。 いつの間にか弟の姿は消えていた。 相当ビビっていたので、もう乗って来ないかもしれない。
○
数日後。
カラオケ店のことで一度警察に事情を聞かれたが、それ以後は何もなかった。
大学の帰り、勝はあくびをしながら自宅の門を潜ろうとしたところで、郵便局の配達員に声をかけられた。
「井澄さんですよね。お手紙です」
手渡されたそれは分厚い封筒だった。求められたのでサインをし、彼は去って行った。
「なんだ、これ」
井澄勝宛てである。そこには、
『起訴状』
と、書かれていた。
「……ん?」
「訴えられたんですよ。裁判です」
振り返ると、奏介が冷めた目でこちらを見ていた。
※続きは明日更新します!
起訴状の扱い、間違っていたらすみません。指摘していただけると、助かります。
追記 少し修正しました。
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