第53話 犠牲
既に破壊が進んでいる我が家。
傷を負い立ち上がることもままならないカコの姿。
そして…。
『やめてっ!』
『オヤオヤ?イイ輝キダオ嬢チャン、メインディッシュニスルト決メタゼ?ギィッヒハハハハ!』
相変わらずお喋りなアイツ、それと対峙するのは小さな女の子。初めてうちに来た時は気が弱くシロの後ろを付いて回り、周囲の顔色を伺ってオドオドとしていたあの子。
「ミク… 強くなったね?」
あまりにも強く立派な姿に、思わずホロリと涙と言葉が零れた。
ミクは怯える子供達を庇い勇敢にも自分の何倍も大きなイーターの前に立ちはだかっていた。キッと目付きを鋭く、胸を張り、両手を広げ進行を妨げていた。
『ベルにも!みんなにも!おうちにも手を出さないで!あなたなんて怖くない!』
『可愛イジャネェカァ?コンナニ震エテンノニヨォ?ミンナノ為ニ頑張ッテ偉イネェ!』
『あなたなんかに!わたしは負けない!』
『馬鹿ナオ嬢チャン?コンナノ聞イタコトアルカ?“
こんなヤツに、ミクの勇気を嘲笑われてるのがセーバルは我慢ならない。この既に起きてしまった出来事をただ見ることしかできないのを今日ほど悔やんだことはない。ベルのお母さんのことも、今見ているこれも、確実にセーバルの怒りを募らせていた。
でも、震えて何も言えないと思っていたミクが急にスンと冷静になったかと思うと、ヤツにこう言い返したのだ。
『“相手見てからの喧嘩声…”』
『ナニ?』
『ことわざ、空威張りのことだよ?あなた怯えてるんだね』
『ビビッテルッテノカ?俺ガ!』
そんなミクの言葉にアイツも思わず乗ってくる、その毅然とした態度にあの子の成長を感じつつ、同時にその様子が恐ろしくもある。なぜわざわざ挑発するようなことを言い返したのか、そんなことをしたら…。
『あなたおじさんが怖いんでしょ?だからわざわざ留守を狙ってきた』
『ナンダト!アンナ不味ソウナヤツ怖クモナントモネェ!』
『隠しても無駄、わかるんだよ?怖くて怖くて震えてるのはあなたの方!あなたなんかおじさんに勝てっこないよ!子供相手に威張り散らす卑怯者!臆病者!悔しかったら正々堂々戦ってみなよ!』
『コノガキィ!』
ミクの言葉が図星だったのだろう、まるで人形みたいにあの子を乱暴に握りしめ、ギョロギョロとあちこちを見ていた身体中の目玉が全てミクの方へと視線を向けた。
「ミク!?」
こちらもその光景に耐えられず思わず名前を呼んでしまう。でも冷静にならなくては、子供達が言うにはミクもベルも連れていかれた、食べられた訳ではないはず。
『丸飲ミハヤメダァ、味ワッテ食ッテヤルヨオ嬢チャン?タマニハヨク噛ンデ食ワネェトナァ!ギィッヒハハハハ!』
そう言い放ちアイツは大口を開け、ミクを食べようとしている。その光景に恐怖と怒りがぐちゃぐちゃに混ざって溢れだしてくる。
冷静に… 冷静に… これは終わったこと… ミクは大丈夫。
セーバルは胸に手を当て行く末を見守っていた。
すると。
『ミクを離せよ!うわぁぁぁぁっ!!!』
「あぁそんな!ベル!?」
無謀… アイツの言っていることは悔しいけど概ね正しい、子供達が敵う相手ではない。多分ミクもベルも、カコもそれはわかっていた… でも立ち向かう。
家族を守るために。
ベルは木刀を構えシロに教わった素早い踏み込みを使い高く飛び上がると、ミクを掴んでいるイーターの腕に思いっきり木刀を叩き付けた。
その木刀… ある日、シロが彼に与えたなんの変哲もないお土産屋さんのただの木刀。まだ剣を扱えなかったベルは嬉しくて毎日素振りしていた。なのに… その思い出の木刀は、それがただの木であるということを突き付けられたかのように衝突の瞬間…。
バギッ!
と音を立てて折れてしまった。
『ボッチャンヨ?ソンナンジャ俺ハ斬レネェゼ!ママノ剣ジャネェトナァ?オォット、アレハオ前ラノ大好キナオジサンガ持ッテルンダッタナァー!?ギィッヒハハハハ!』
『やめろやめろやめろ!お前なんか!お前なんかぁっ!』
『ベル… 逃げて…!』
『ソレジャ本日一人目は!イタダキマァス!精々泣キ叫ベ!』
ベルが足元で何度殴り付けても、まるで大木を相手にしてるかのようにびくともしていなかった。そしてアイツは、ベルを無視してミクに頭からかじりつこうとまた大口を開けた…。
「いや… やめて!ミク!」
その時。
『待てイーター、少し話させてくれ?』
代表アレクサンダー、後ろでおとなしくしているかと思いきや突如イーターの行動を止め、皮肉にもミクはそれに助けられた。
『ボス!ソリャアネェダロ!』
『まぁ落ち着きなさい… 失礼お嬢さん?君はひょっとするとフレンズなんじゃあないかな?そうしかも… ヒトのフレンズ』
掴まれ身動きが取れないままのミクに話しかけている。この口振りからして、代表はミクがフレンズだと知らなかった?セーバルはそれが意外だった。
『そうだろう?うむ、間違いない…』
ミクは何も言わないのにも関わらず、代表はそんなミクの顔をじっと覗きこみ一人納得した様子でいた。が、その瞬間… まるでそれを遮るように光の壁が二人の間に出現したのだ。
『うちの子に… 触れないで!』
満身創痍のカコ、白衣を血で染め… それでもミクが捕まったのを見て立ち上がりまた戦いに赴いてきた。そんなことしては死んでしまう… だから、セーバル達が結果的に間に合ったのは一つの奇跡と言える。
更にカコはミクを四角く囲うように壁を出現させ、ミクを掴むイーターの手首を壁で切り落としなんとか奪還することを成功させたのだ。
『ギャッ!?クソババァ!前菜ニナリテェヨウダナ!』
『いい、君は少し下がってくれないか?カコ博士、人が悪いですね?新種のフレンズが現れた時はセントラルへ報告するのが義務のはず』
『この子は… うちの子よ!貴方のような愚か者には渡さない!』
カコはミクを引き寄せ抱き締めると、代表の言葉には絶対に屈しない覚悟の声を挙げていた。これほどまでに声を荒げるカコを、セーバルはこれまで見たことがない。
『フム… 彼とフィルターとして存在していたヒトのフレンズが彼の復活に伴い消えてしまったことで、新たな世代の彼女が誕生したとそんなところだろうか?』
ミクの存在自体をそもそも知らない… カコが上層部に隠していたということ?連れてきたのはシロの為だとばかり思っていたし、実際そうだったけれど。もしかするとカコは何か良くないことが起きると危惧しミクを守っていたのかもしれない。
今みたいなことにならないように…。
『ツマリオ嬢チャンハ ネコマタ ノオ気ニ入リッテコトダナ!?ジャアゼッテー食ワナキャナラネェ!ギィッヒハハハハ!』
『いや、すまないが我慢してくれないか?あの子は重要なサンプルだ… 人類の叡知、ヒトでありながらフレンズ、これは思わぬ収穫だった』
代表アレクサンダー… 表の顔とは真逆、少しの表情変化もなく淡々と喋り続けている。まるで表情を失ったシロと同じような… まったくの真逆のような。
代表にも何らかの理由があってこんなことをしているのかもしれない。
でも…。
どんな理由があろうと許すわけにはいかない。
『それでは取引といこう、さぁ君は下がっていなさい?』
『チッ!ゴチソウヲ前ニシテソリャネーゼ…』
『ミクさん、それにベル?私と一緒に来なさい、そうすればもう彼女達には手出しはしないと約束しよう。それでどうかな?』
これが、セーバル達がいない間に起きていた最悪の出来事。
その提案に、ベルがどうしたら良いのかわからず立ちすくしていると、先にミクがなにも言わずカコの手を離れ代表の元へと自ら歩き始めた。
『ミクちゃん… ダメよ、戻って?』
『カコさん、どうか死なないで…』
カコは力尽きその場に膝を付く、追いかけてその手を掴みたくても体が動かない… 去って行くあの子に向かい手を伸ばすも、その場に倒れ込んでしまった。
『あの… ベルのお父さん?』
『何かな?』
『私だけではダメですか?どうしてもベルも行かなくてはダメですか?』
『あぁ… 君は優しいんだね?一人で全て背負い込もうとしている。でも、すまないね?彼の存在こそ私には不可欠なんだよ』
ミクは、こんなときでも自分のことを二の次にしていた。みんなの為、家族の為に一人で奴等の手に落ちようと。そんなミクを追い、あの子も…。
『ミク!大丈夫、僕も行くよ』
『ベル…』
『一人ぼっちにはさせないよ?大丈夫、きっとすぐにおじさんが助けてくれるから!』
『うん!』
二人は手を繋ぎ、共に代表に着いていくことを心に決めた様子だった。まだ二人一緒なら心細くはないことを安心するべきなのか、大事な子供を二人も連れていかれたことをもっと怒るべきなのか… セーバルの感情や思考がどんどんごちゃごちゃになっていく。まともな判断がつかない。
「どうして… どうして二人が行かなくてはならないの?」
涙がでた。
悔しくて、悲しくて、腹立たしくて。
そしてアイツらが憎くて。
もう抵抗する様子もなく側に来た二人を見て、代表は言う。
『二人共とても聞き分けがいいね、助かるよ… さぁ帰るぞイーター?』
『ケッ!オ預ケカヨ… ジャアナガキ共?今度会ウトキハ残サズ食ッテヤルゼ?ギィッヒハハハハ!ギハハハハハッ!!!』
二人は車に乗せられ、イーターはまた庭に空いた大穴に入り不気味な笑いを残しながら消えていった。
最後にここに残ったのは… 傷だらけで死の危機に瀕するカコ、怯える子供達、そしてボロボロの家…。
「あぁ… あぁぁぁ!どうして!どうしてあの子達が!ミク… ベル…」
記憶が終わった時、傘を差すのも忘れ冷たい雨にその身を去らして泣き叫んだ。泣き崩れて、己の無力さや不甲斐なさを呪った。
「どうしたら良かったの…?」
無情に雨を降らせる空に向かい尋ねた。
セーバル達は選択を誤ったの?それとも、こうなる運命だったの?
こんなの認めたくない。
子供達を犠牲しなくてはならない運命なんていらない。
セーバル達が守ってあげられなかったから、あの子達が代わりに?
空はそんなこと答えてはくれない。
雨でセーバルを濡らすばかり…。
「セーバルちゃん、風邪を引くよ… もう入ろう?」
「シロ…」
子供達の食事を作り終えたであろう彼は、セーバルの様子を見てすぐに駆け寄り傘を差してくれた。
「ごめん、辛いことを君一人に見させてしまった」
「シロ?セーバルどうしたらいいの?」
「まずはシャワーを浴びて、服を着替えて、シチューを食べるんだ。後はいつも通り、みんなの側にいてあげるんだよ?君はみんなの母親なんだから、いいね?」
シロは、後のことは全て自分に任せろと言っているのだと思う。彼はこのまま二人を奪還するために一人で挑む気だ。止めることは誰にもできない。
そんな彼の心中を察すると、セーバルは伝える。
「代表はミクとベルがおとなしくついてきたらもう危害は加えないことを条件に出して、二人はそれを飲んで自ら手に落ちた… 食べられたりはしてないはず、二人が必要みたいだから」
「わかった… ありがとう」
こうして見てきたことをただ簡潔に伝えた。もう、それしかできなかった。
結局… 彼に頼りきることしか…。
「シロ!」
「うん…」
セーバルがたまらず彼を抱き締めると、彼も優しく抱き返してくれた。先程まで作っていたであろうシチューの香りはほんの少しだけ今のセーバルを安心させてくれた。
こんなこと、言われなくてもシロはやる。言われなくても行くのだと思う。でも、全部押し付けてしまう。そんなことが許されるはずはないのに。
でもセーバルは…。
「やっつけてきてよ!あんな卑怯者!」
言ってしまった。
「連れ戻してきてよ!セーバル達の子供達!」
優しく抱いてくれた彼の腕がぐっと強くなり、その時彼はセーバルの願いに答えた。
「任しとけっ!」
こんなことで…。
彼に表情を取り戻してほしくはなかった。
こんなことで…。
怒りや憎しみの感情で、彼の顔を歪めてほしくはなかった。
セーバルが…。
みんなが見たかったのは。
誰が見てもわかる怒りの表情ではない。
見たかったのは。
笑顔。
笑顔を取り戻してほしかった。
…
「レオ?それじゃ今度の週末はどこに連れてってくれるのかしら?」
「ちょっと先輩?いいんですかこんなとこでデートの話なんかして?職場ではしばらく内緒にしようって言ったの先輩なのに…」
俺と先輩が付き合ってからまだほんの1日2日って程度だ。未だに信じられない、俺とレベッカ先輩がお付き合いしてるだなんて。嫌だって気持ちは勿論これっぽっちもない、めちゃくちゃ好き。寧ろどんどん先輩に夢中になるのを感じる。気持ちを誤魔化していたせいか、ちゃんと好きでいていいんだと思うと嬉しくてたまらないのだ。
そして先輩もそれは同じらしく。
「二人きりよ?平気… ほらそれに言ったでしょ?
「いやだって慣れちゃって… それにここ、本部ですよ?」
「だから、誰も見ちゃいないわ?敬語もやめて… 二人きりの時は、ちゃんと彼女として接してほしいの」
可愛いんだよな。(真理)
俺は周囲に気を配りながら先輩の側に寄り、静かに彼女を抱き寄せた。見つめ合うと互いの気持ちを口に出さずとも、何故だか瞬時に理解できた。
「欲しがりだね?」
「嫌?」
「ううん、好きだ」
「I love you my sweet…」
誰か見てるかもね。
俺としては隠さなくたっていいと思ってるけど、先輩の職場で隠しとこうって気持ちもよくわかる。周りも気を使ったりするだろうし、任務に支障がでそうなのを先輩は懸念してるんだと思う。それに先輩はモテるのでそれによる風当たりが不安だ。まぁ負けんが?
そんな真面目な先輩なんだけど、実はこう見えて甘えん坊。二人きりになるとこうしてすり寄ってきて子猫のようになる、可愛い。
いつもの面倒見のいい先輩からは想像もつかないほど女の子な姿、これを知るのは彼氏である俺だけ。そして要求に答えられるのもまた彼氏である俺だけなのだ。
だから俺は先輩のふわりとしたオレンジの髪に指を
そしてそうすることで先輩もどこか気持ち良さそうな表情を浮かべ、やがて何か物欲しそうな瞳で俺を見るときゅっと隊服の裾を掴んだ。
いちいち許可なんてものはいらない、先輩が“くれ”って言ってるのは言葉以外の全てが物語っている。俺は勇気を持ち、思いきって彼女の要求に答えた。
耳元でそっと。
「レベッカ…」
「Aha… フフフ」
今なら誰も見ちゃいない。
まぁ見てたとしても… どうだ参ったか?これがレオ太郎だ。と言ってやる
また見つめ合うと彼女が目を閉じたので、俺もそれに答えるように唇を近付け…。
触れ合う…。
\緊急事態発生!セントラルが襲撃を受けている!各支部へ中央本部より増援を要請!/
「「
けたたましいサイレンと共に緊急事態が伝えられる、1番大事なところで邪魔が入った。ガーディアンは辛いよ。
「いいところで!」
「仕方ない!come on! Let's go!」
そう言うと先輩は一足先に走り出した。仕事モードになると先輩と呼ぶ他ない、もうすごいしっかりしてる。俺も少し遅れて先輩を追いかけた。
「ん?」
がその瞬間先輩はフッとこちらを振り向いた。何事かと思っているとまるで忘れ物でもしたみたいなノリで簡単に…。
「ん…!?」
「
はい… 喜んで…。
やる気出てきた、パークを危険にさらす悪党め!やっつけてやるぜ!
集合するとすぐに隊長から部隊編成の指示があった。セントラル襲撃は総員で対処すべき事案ではあるが、東側の各エリアも手薄にはできない。待機部隊と増援部隊に別れるそうだ。
さて俺は~?
「…以上、残りは待機!引き続き担当エリアのセルリアン発生に備えてくれ!増援部隊!行くぞ!」
呼ばれなかった~… レオ太郎では力不足ですかそうですか。
隊長は選抜隊と他優秀な隊員数名を選びヘリへ駆け出した。先輩も選ばれている、さすがと言う他ない。しかしセントラルに襲撃…?なぜそのようなことに?俺は甚だ疑問であった。
防御シールドは勿論、屈強な中央本部の隊員達で守られるセントラルに増援を要求するような事態とはなんなのか。俺は何か情報が無いかと待機組の隊員がこそこそと話していることに耳を傾けた。
「たった一人で?それマジなのか?セルリアンじゃなくて?」
「そんなことができるフレンズなんて限りらるよな?誰だ?フレンズがセントラルを襲撃するなんて…」
「いや俺もたまたま耳に入った情報だからよく知らないんだが…」
なんでも、フレンズ一人で単身乗り込んで来たとか。一人に対して増援?どんな化け物だよと苦笑いを浮かべていたが、続く隊員の言葉に頭が真っ白になる感覚を覚えた。
…?
我慢できなくなり隊員に尋ねた。
「あの!すいません!その話本当なんですか?」
「レオ… あぁいや、勘違いかもしれん、ハッキリ聞いたわけじゃないんだ」
信じたくなかった俺は真実を確かめる為ヘリに乗り込む直前の隊長を呼び止めた。
「隊長!」
「レオ!お前は待機だ!下がれ!」
「教えてください!襲撃してるのは何者なんですか!」
「…」
隊長は俺の問に答えてはくれなかった。
その瞬間俺が待機させられる理由も理解できてしまった気がした。
「俺の知ってる人ですか…」
「レオ、待機だ」
「連れてってください」
「駄目だ」
本当のことなのかよ?違うって言ってくれよ!
この時、先輩方の話していたことが全て真実なのだと確信した。
たった一人で襲撃に来た、そんな一人に対して増援がいる、そして隊長はそれが誰なのか俺には話さず、黙って待機命令をだす。
そんな人物は一人だ。
「何か… 何か理由があるんです!あの人がそんなことするはずない!行かせてください!俺が話します!説得して見せます!だからお願いします!」
「後悔するかもしれないぞ」
「しません!」
「わかった… レオも乗れ!セントラルへ急ぐぞ!敵は生意気にも正面突破して代表を狙いに来ている!並みの相手ではない!敵の名は…」
無理を言って増援部隊に加わった俺の耳に入った、そんなテロリストみたいなことをしている人物の名前。
今1番聞きたくなかったと、思わず耳を塞ぎたくなってしまう名前。
「守護けものネコマタ!ターゲットはネコマタだ!総員決して油断するな!一人や二人が挑んで勝てる相手ではない!総攻撃で一気に畳み掛けるぞ!」
皆はその指示に答えた「了解」と。
でも俺は…。
「レオ… きっと勘違いよ?」
「…」
答えられなかった。
隊長の命令にも、先輩の言葉にも。
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