第2話 最恐コンサバお姉さん
気が付くと僕は迷彩服姿で都会の雑踏を歩いていた。日本のどこかに見える。だが憧れの娑婆ではない。頭に角を生やしたサラリーマン風の男達とすれ違う。あの頭で満員電車に乗って通勤しているのか?
唖然呆然としながらも赤信号で立ち止まることは出来た。その時自分の履いている靴がワークブーツのようなものであることに気付く。
小型車が後続のプレジデントソブリンにクラクションを鳴らされた。渋滞中の信号で煽らなくてもいいのにガラ悪いなと思っていたら小型車は車体を横にして停車し、細身のコンサバファッションのお姉さんが出て来てソブリンの運転席側ドアガラスをコンコンとノック。
お姉さん危ない。止めに入ろうと近寄り、間に入ろうとしたがその前に運転席のドアが開いた。だがコンサバお姉さんはハイヒールでドアを蹴り、顔色の悪い金髪のホスト系お兄ちゃんは車体とドアの間に挟まれながらアスファルトの上に尻もちをついた。
コンサバお姉さんはホスト系お兄ちゃんの顔面に踵落としを決め、さらにナイフのようなものを取り出した。ナイフの先端はホスト系お兄ちゃんの首に。止めるべきはお姉さんのほうだった。
「そこまで、それ以上やっちゃダメ」
「あたしにさわるなあ」
僕に羽交い絞めにされながら喚くコンサバお姉さん。そう言われても殺人の目撃者になるとすっごいめんどくさいことになるんだよ。ウエーブのかかったロングヘアからいい匂い。よく見れば角が二本隠れていた。戦意喪失しているホスト系お兄さんの頭にも角が二本。
「ナイフしまって。逮捕されちゃいますよ」
「ナイフじゃないもん、医療用メスだもーん」
メスとナイフの何が違うんだと思いつつお姉さんから刃物を取り上げる。するとソブリンの中からパンチパーマとスキンヘッドが2人出てきた。
「早く車出して逃げて」
「あたしのメス返して」
お姉さんだけ逃がすつもりだったがホスト系お兄さんも立ち上がりこっちに向かってきた。
「おめえら、なんだよ」
完全にグル扱い。仕方なくバタフライナイフを見せて牽制していると小型車の運転席のコンサバお姉さんに「早く乗って」とせかされた。一人残されるのも嫌なので助手席に乗った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます