第18話/高校生
背が高い女子ってどう思います?
頭ひとつ分飛び抜けて下手したら男子と目線を合わせた方が早いとか。せめて運動神経が良けりゃ様にもなるのに全くの見掛け倒し。
そりゃ、自信喪失で猫背にもなりますわよ。
そんな感じで縮こまって演奏すれば、
「何か暗い!」
ボーカルに叱られる始末。
だって、目立つ訳にはいかないじゃん?
技術向上の為に始めたギター教室。
校内ライブが近付くため、立ち姿での演奏中、
「背筋のばしなさいよ、折角の高身長が勿体ない」
講師からの思わぬ指摘が入る。
そして更に続く姿勢への指導。
「バンドなんてボーカルばかりが目立つんだから、それを活かして自己主張しないと。裏方だからって遠慮してたら負けですよ」
「はぁ……そういうものですか?」
「と、オレは思います。だからはい、シャンとしてもう一度最初から」
「え……ラスサビまできたのに?」
「時間なくなりますよー、さんはい!」
「うぅぅーーー」
なんか……いろいろ楽になった気がする。
◆ ◆ ◆
駅前のカフェで試験勉強。
今回ばかりは気合を入れねば本気でヤバい。
とはいいつつもドリンク休憩。
集中用のイヤホンをはずす。
「あはは!」
後ろから聞き覚えのある笑い声。
先生だ!
思わず耳をそばだてる。
「……好きな人はいる……凛としていて芯が強くて素敵な女性……」
そうか、そんな想い人がいるのか。
そりゃそうだ、いい大人だし、そういう人は確かに魅力的だ。
別に期待してた訳じゃないよ、高校生だしね。
明らかに無理じゃん?
そう。
楽しく話しながらレッスンしてただけ。
ふぅ、でも……なんだかなぁ。
勉強どころじゃなくなっちゃったなぁ。
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