第11話/大学職員

 教授の出張講義に付き添い、とある大学に赴くと懐かしい顔に出くわす。

 こんな所で何故会うかな?

 久しぶりにその名を呼ぶが。

 何と!知らん顔で遣り過ごすとはいい度胸だ!

 おや、側にいるクール女子はまさかの?


だよ!」


 ◆ ◆ ◆


 彼は高校の同級生。

 入学早々、ヤンチャな先輩を軒並み伸すという脛に傷持つ割には物腰柔らかで、造作もいいから超絶モテたが、幾つも守りきれぬからと彼女を作らない、そんな意外な一面が気に入っていた。


 まあ、ただそれだけ。


 私は私で、彼がフッた女子のフォローと見せかけて運命の出逢いを探し出そうという、これまた珍しい秘密の関係性を彼と持っていた。


 まあ、ただそれだけ。


 私の性対象は女子だから彼には一切興味はない。


 互いの利害の一致で仲が深まった悪友。

 相談ごとも気兼ねなく出来る唯一の理解者。


 まあ、ただそれだけ。


 だけど一瞬思ったことはある。

 キスくらいはいけんじゃね?


 直ぐに打ち消したけどね。


 ◆ ◆ ◆


 あの時交わした約束を思い出す。

しいが出来たら紹介してよね」

「同性を良いことに先に手ェ出すから嫌だ」


 さっきの態度。

 私はどんだけ信用ないんだよ。

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