第13話/会社員
あの日、別れを告げた海に向かう。
「あなたより仕事を選びたい」
いつの時代の台詞だろう。
我ながら、恥ずかしい言い方をしたなぁ。
本当の理由は別にあった。
優しいあなたは知恵を絞り共にある道を探してくれるだろうけど、逆にそれが苦しいから秘密のままにした。
幾度も確認してくるあなたを泣かずに見つめるのは根気がいった。
嫌いになった訳じゃないから。
愛しさを残しての別離は想像以上だね。
あの日より賑わう駐車場。
ちょっとベタつく海風が頬を撫でる。
へそ曲がりだけど優しくて、朗らかな声で心を落ち着かせてくれる、惜しみ無い愛情をくれた人。
接点もなくなったいまはあなたの幸せを心から願うのみ。
あぁ、でも最後にひとつ我が儘、いいかな?
もう少しだけ、あなたの面影を心に住まわせて生きていくことを許して欲しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます