第15話/中学生
――好きな人には、好きな人がいました
そんなCMが流れる随分前から私はその状況にいる。しかも、相談を受けてご丁寧にアドバイスなどしている。昼休みの屋上や放課後の教室で行われる秘密の作戦会議もどれだけやったか分からない。
にこやかに励ましながら「はよ諦めんかい!」と心で叫ぶ、どっちつかずの宙ぶらりん。
アイツの惚れた相手は、私が小学生の頃から通う英会話教室の仲間。だから、ある時は彼女にまつわる過去話や彼女が語るこれからの事を密かにアイツに流し、またある時は、彼女の人となりをツラツラと語って悦に入るアイツの良さをそれとなく伝えてあげてきた。
そんな状況ってツラくない? と聞かれれば、そりゃツライに決まっている。でも、こうして二人きりの会話が続けられるのなら、これはこれでもう構わないかな、とも思ってる。
ずっとこの時間が続けばいい。
ヘタレなアイツの片想い、万歳!
中途半端に勇気を出されると、この秘密の時間も繋がりも消えてしまうから程々に情報を与えよう。
不安を持たせつつ、励ましつつ、長引かせる。
こういうのを小賢しいと言うのかな。
嫌なヤツだなぁ、私。
◆ ◆ ◆
⇒ 聞いてくれ!
とある週末、メッセージが入る。
駅でお目当ての彼女と偶然会って話した帰り道、思い切って行動に移したらしい。
⇒ OKだって!
⇒ やった! やった!
⇒ お前のおかげ! ありがとう!!
あのさぁ、告るなら先に相談しろっつーの。
心の準備もなくそんなことを報告されたら。
もう……。
泣くしかないじゃない……。
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