第16話万屋部の忙しい日
ある日の放課後。この日は万屋部が最も忙しい日だった。
「買い出しの依頼終わりましたー」
「こっちも1.2.3組の買い出しやってきたぞー」
「家庭科部の依頼終わりました〜」
「みんなご苦労。帰ってきてすぐで申し訳ないがまた依頼が増えてるんだ」
「げぇ〜…またかよ〜…」
「どこも文化祭の準備で人手不足だからね」
どのクラスも部活も文化祭に向けての準備が活発になってきていた。そのおかげで万屋部には今までの倍以上の依頼が届いていたのだった。
「杏果は女子部活動の方の依頼をこなしてくれ。美月ちゃんは演劇部の舞台衣装や設備の直しの依頼の方に。優斗は食堂の方で料理の手伝い、冬馬くんと俺は生徒会の方の手伝いに行くぞ。各々終わり次第戻ってきて依頼があればやっていく予定で頼む」
「これ終わるの〜…?」
「大丈夫だ、生徒会長に事前相談して万屋部受付は7時半までにしてもらってるからな。それまでにきてる依頼全部こなしていくぞ」
7時半まで後1時間と40分弱。依頼件数は10件以上。なかなか厳しい…
「今日のご褒美は〜?」
杏果さんがぐでーと机にへばりつきながら聞く。
「ごめんね、流石にケーキは用意できなかったんだ」
「そんな〜…」
「その代わり今日は焼肉だ、俺の奢りで」
「マジで!?」
机にひっついていた杏果さんが勢いよく起き上がる。
奢り焼肉はケーキと同等かそれ以上なんだろう。
「だからみんなには頑張ってもらいたい。終わったら焼肉で打ち上げだ!」
「よっしゃ!いってくる!」
勢いよく先陣を切った杏果さん。
「じゃあ僕も行ってくるよ」
「わ、私も頑張ります!」
続くように優斗先輩と美月ちゃんが出て行った。
「俺たちも行くか」
「そうですね」
そうして部室を後にする。
「生徒会の依頼ってなんなんですか?」
「ん〜?各部にテントを配布したり催し物の舞台の設置とかいろいろだな」
なんか気になるやつもあってちょっぴり楽しそうだ。
「万屋部は毎回この時期は生徒会の依頼も増えるからな。舞台裏なんかの依頼も来たりするし中々無い経験が出来ると思うぞ」
「なんかワクワクしますね!」
「まぁ今年は万屋部も出し物をする予定だからあんまり当日の依頼は受けない予定なんだがな」
「そうなんですか?初耳なんですけど…」
「まぁそれは今日の打ち上げの時に話すさ。と、ついたな」
話してる間に生徒会室に到着していた。
「入るぞー」
「お邪魔しまーす」
ガラガラっと扉を開くと中に1人の生徒がいた。
「あ、来たな」
「よぅ、依頼受けに来たぞ。こっちはうちの戦力の冬馬くんだ」
「今日はよろしく冬馬くん。生徒会の松岡だ」
「あ、よろしくお願いします」
体格いいなこの人。
「で、まず何すればいい?」
部長がすぐに本題に入った。
「とりあえず運動部のところにテントを持っていってほしいな。重いから2人で待ってってくれ。それが終わったら体育館の舞台装置のチェックだな。それは俺も一緒に行くからテントの方終わったら声かけてくれ」
「はいよー。じゃあ冬馬くん行くか」
「はい」
「よろしく頼むなー」
テントが置いてある倉庫の中に入ると少し埃っぽくでも土の香りがしてなんとも言えない匂いに包まれていた。
部長と一緒にテントをいろんな部のところへと持っていく。どの部もいろんな準備をしていた。
冬馬にとっての初めての文化祭が今始まろうとしていた。(まだ準備だけど…)
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