第12話学内新聞撮影会①
「杏果も戻ってきたことだしみんなに話がある」
突然部長が大きな声で告げる。
「なんだ〜。話って〜」
スイートポテトをはむはむしながら聞く杏果さん。流石にスパーリングの疲れか元気がないみたい。
「まずはこれを見て欲しい」
部長が一枚の紙を取り出した。
これは…学内新聞?
「知ってる者も多いと思うが毎月新聞部が掲載している学内新聞なんだがその端に万屋部のことを掲載してもらっているんだ」
見ると[お困りごとは万屋部へ!万屋箱に依頼を書いて入れてください!]と書いてあって書き方とか細かいことも書いてある。
正直初めて知った。
「で〜?それがどうしたんだ〜?」
「うむ、来月もありがたいことに載せてもらえることになってな。毎回文字ばかりだったが今回は写真付きのものにしようと思う」
「写真付き…ですか?」
「そうだ、そこでモデルなんだが冬馬くんと杏果に頼もうと思っている」
「僕がですか!?」
「なんで私なんだよ、そこはみーちゃんでいいじゃん」
「美月ちゃんには衣装担当兼杏果のメイク担当を任せようと思ってるんだ。冬馬くんの方は優斗に任せようと思ってる。」
「え、みーちゃん服作れるの!?」
「はい!がんばります!」
美月ちゃんはやる気満々みたい。
「撮った写真の所に衣装作成者の名前を載せるつもりだ。これで美月ちゃんの存在をアピールすると同時に文化部からの依頼を増やすのが今回の目的だ」
「いつもは運動部とかが多くて中々文化部からの依頼が少ないからね。」
確かに…文化部からの依頼より運動部からの依頼が多い。
「今週末の日曜日に撮影をしようと考えているからあけておいて欲しいんだが大丈夫か?」
「僕は大丈夫ですけど…」
「私も行けるっちゃ行けるけど…ちなみにどんな衣装とか決まってるのか?」
「勿論だ」
自信満々に部長が答える。
「どんな衣装なんですか?」
「万屋部はなんでも請け負う部だからな。そう言うイメージで冬馬くんには執事イメージの燕尾服、杏果はメイド服だ」
瞬間。部長に向かって銀色の何かが飛んでいった。
「おいおい杏果危ないじゃないか」
部長の顔面めがけて飛んでいったフォークを本でうまくガードした部長。
フォークって本に刺さるんだ…
「あんなフリフリしたのなんか着れるか!」
「杏ちゃん先輩なら絶対似合います!」
「やだ!みーちゃんのお願いでも絶対やだ!」
「まぁ最後まで聞け。今回撮影に協力してくれる者にはそれ相応の報酬を用意するつもりだ。優斗」
部長がパチンと指を鳴らした。
「今回協力してくれる人、特にモデルの2人だね。この2人にはケーキの食べ放題を用意するつもりなんだ」
「食べ放題!?」
杏果さんが凄い勢いでくいついた。
「そ、好きなものを好きなだけ食べてもらってるところを撮影するって感じなんだ。勿論甘いもの以外にも用意するつもりだよ。」
「この日食堂を貸し切る予定だからな」
なんか凄い用意周到な気が…
「食べ放題ぃ…」
杏果さんが凄い葛藤してる。
「メイド服以外ならいいのか?」
見かねたのか部長が提案した。
「メイド服じゃなくていいのか!?」
のる杏果さん
「あぁ別にいいぞ。そのかわりなんでもいいか?」
「まぁ…カッコいいのだったらいいかな黒とか使ってるシンプルな感じの」
「だそうだ美月ちゃん」
「分かりました!」
うん?凄いあっさり決まったような…
「冬馬くんはそれでいいかな?」
「え、あ、はい。大丈夫…です」
「じゃあ決まりだ。今週の日曜日、時間は11時に部室に集合で」
そうして決まったその日は2人の採算をして終わった。
なんかすっごい引っかかる…杏果さんはもう食べ放題の事しか考えてないし…
気にしすぎかな?
少しの気がかりは残ったものの冬馬自身も日曜日が少し楽しみなのだった。
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