第28話



そして土曜日当日。



あまりに私が早起きしてソワソワしてたので



おとん「なんや?今日なんかあんのか?」



聞かれてしまいました・・・。



おかん「いや、なんも無いで?なぁ?」



おかんがはぐらかそうとしたのに



おねぇ「え?あきの彼氏来るんちゃうのん?」



おねぇに口止めするの忘れてました。



おかんと私が『ぎゃぁぁぁぁ』って思ってたんですが



おとん「ふーん、そっか、まぁ、あの電話の子やろ?」



あき「・・・うん。」



おとん「ふーん、そっかそっか・・・。」



そう言いながらおとんは仕事に出かけました。



あき「・・・意外と・・・普通・・・?」



それが私の感想だったんですが



おかん&おねぇ「いやいや、あれはかなり『おもろない』思てんで・・・。」



あき「え?」



おねぇ「めっちゃ無理に平静を装ってるやろw」



おかん「まぁ、そりゃ可愛い可愛い愛娘の彼氏が初めて家に来んねんからオモロな言わなぁ。」



めっちゃ真顔で言うおかん・・・。



あき「・・・おねぇぇぇぇぇ」



おねぇに凄むも、もちろんヤンキーおねぇに勝てるわけも無く・・・。



おかん「それはそうと、何時に来るて?」



あき「11時頃?」



おかん「まぁ、あんまり焦らんでええ様に時間配分考えや?」



そう言われた頃には既にランチの下準備は終えてて、部屋掃除とチェックも終えてて、着替えてました。


初めての彼氏ご招待に、私だけではなく、おかんもおねぇも何となくソワソワ。



多分おとんは職場でソワソワ(笑)



そんなソワソワ感に包まれながら11時を待ちました。



実は我が家としても、初めて迎える娘の彼氏がゆうちゃんでした。



おねぇも彼氏はこれまで何人か居たみたいですが、家に連れてくることがなかったので、我が家訪問のハツカレはゆうちゃんでした。



そして時間になり



ゆうちゃん「こ・・・こんにちは~・・・。」



あき「あ!ゆうちゃんの声や!」



急いで出迎えに向いました。



あき「いらっしゃい!」



出迎えた背後には



おかん「いらっしゃぁい!いつもあきがお世話になってますぅ」



何処からともなくおかん登場!



ゆうちゃん「あ、いえ、こちらこそです!初めまして、ご挨拶が遅れてすみません。あきさんとお付き合いさせてもらってるゆうです!」



『めっちゃ練習してきたんやろうな』と思う位の棒読みでスラスラ話し出しました。



おかん「うちはフレンドリーな一家やから、緊張せんでええよ、あきの友達とかも入り浸ってるくらいの言えやから、ゆっくりして行ってなぁ?」



ゆうちゃん「ありがとうございます!」



ゆうちゃん「あ!忘れてた!これ!」



あき「ん?」



ゆうちゃん「手土産です!」



いきなり渡されたビニール袋・・・。



中を覗くと



あき「ん?サザエ?鮑?どしたんこれ?」



ゆうちゃん「いや、手ぶらで来るんもなんやと思て、今さっき潜って採ってきた!」



「・・・・・・・・。」



「・・・・・・・・。」



おかん&あき「ブハ!」



少しの空白の時間を置いて、思わず吹き出してしまいました。



あき「あはは!嬉しいけど、今さっき潜って採ってきたって!!」



ゆうちゃん「え?だって、海産物は鮮度が命やから。」



『そういう事ちゃう~w』

もう、笑いが止まらなくて、ヒーヒーなってしまいました。



おかん「あはは!ありがとう!めっちゃ嬉しいわ!!おとん、サザエ好きやから喜ぶと思う!」



笑いながらもしっかり受け取って、お礼を伝えました。



あき「は~・・・。いかん、こんなに笑ったら失礼やんなw」



ゆうちゃん「いや・・・。ええけど。」



そう言いつつも少し拗ねてるゆうちゃん。



あき「ごめんて!」



ゆうちゃん「いや、でも、おとんさんが好きなんやったら良かった!」



あっという間に機嫌を直してくれて助かりました。



あき「潜ってきたならもしかしてお腹空いてる?」



ゆうちゃん「・・・よぉわかってるやん、実は腹ペコやねんて!」



あき「わかった!ほな先にご飯用意するから座ってて!」



部屋に案内して、私はご飯の作成に取り掛かりました。



あき「お待たせ!」



ゆうちゃん「え?めっちゃ早ない!?」



あき「いつでも出せるように下準備は終わってたから。」



ゆうちゃん「えへへ。」



なんか照れ笑いするゆうちゃん



あき「どないしたん?いきなり笑ってw」



ゆうちゃん「だって、俺の為に頑張ってくれてたんやと思たら嬉しくてさ!」



そんなゆうちゃんの笑顔を見れて、私も自然とデレてしまいました。



ゆうちゃん「いただきます!」



ドキドキしながらゆうちゃんがパスタを口に運ぶのを見つめました。



ゆうちゃん「!!」



ゆうちゃん「うま!!」



あき「・・・ホンマに?」



ゆうちゃん「マジで旨い!」



あき「お世辞でも嬉しい!」



ゆうちゃん「イヤ、お世辞ちゃうて!めっちゃ俺好み!最高!!」



あっという間に平らげて



ゆうちゃん「あき~」



あき「ん?」



ゆうちゃん「おかわり・・・ある?」



あき「ブッ!」



思わず吹き出してしまいました。



ゆうちゃん「だって旨いんやもん。」



あき「すぐ作って来る!」



改めて台所に戻っておかわりを作りました。



『良かった!喜んでもらえたぁ!』



物凄く嬉しくて、張り切っておかわりを作ったものの



『あれ?ちょっと多かったかな?』



分量を間違えたらしく、さっきよりも多いパスタ。



あき「ゴメン。分量間違えた。残してええからね!」



そう伝えたにも関わらず、ゆうちゃんはペロっと平らげてくれました。

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