第26話



おじぃの死から少しずつ・・・。

ゆうちゃんや家族・友達の支えがあって、物凄く遅い歩みではあったけど、何とか歩いて行けました。



高校総体が終わり、3年生のセンパイ達の引退が決まりました。



部長「俺らは引退する。気になるのは女子部、2年には女子がおらんから1年生だけになる。」



そう、この部には男性のセンパイは2年生に居ましたが、女性のセンパイは3年生しかおらず。



しかも顧問は女性ですが弓道経験は全く皆無のルールさえ知らない先生・・・。



『これから女子部はどうなんねやろう・・・。』



口には出してませんでしたが、なおもたーちゃんもさんちゃんも・・・、そしてもちろん私も不安に思っていました。



もうすでに自分たちで的を射れるようにはなっていましたが、それでもやっぱり『自分たちだけで部活を続けていくのには無理があるよな・・・。』



そんな話題が常に女子部員の中でささやかれていました・・・。



その不安と、学校生活をもっと遊び方面で楽しみたいと、たーちゃんは退部を決めました・・・。



女子部は3人になり、3人で活動するのかどうか・・・。

道場は男子部と一緒に使ってるけど・・・。



何もかもが不安になっていました。



部長「今までと違って、女子部の指導者がおらんくなる、せやから男子部と女子部を分けんと合同でひとつにすることになった!」



1年全員「やったぁ!」



この1年全員の喜びの声で、男子部のみんなも女子部を気にしてくれてたのが分かりました!



新部長「俺ら2年は先に聞いてたんやけどな。1年にはサプライズにするからって部長に言われてたんや。」



ニヤニヤ笑う新部長をはじめとする2年生のセンパイ達・・・。



部長「アホ!もうお前が部長やw」



新部長「あ、そうや、いにしえの部長に言われてたんや。」



部長「誰がいにしえや!!」



しめっぽくなりそうな引退の瞬間まで3年生たちは明るくいてくれました。



きぃ先輩「1年女子!」



1年女子「はい!」



きぃ先輩「2年の男子はフェミニストやから甘やかして来ると思うけど、自分らで自分を律さなあかんよ!」



1年女子「はい!」



きぃ先輩「しっかりしいや!」



1年女子「はい!」



きぃ先輩「また遊びに来るから!」



そのきぃ先輩の一言で思わず涙が出てきました。



『ホンマに先輩引退すんねや・・・。』



厳しくて、嫌いだと思ってた先輩・・・。



でも、その厳しさは私たちが上達する為・・・。



居なくなる時に初めて気づくなんて・・・。



あき「ホンマに遊びに来てくださいよ!」



なお「そうですよ!さぼってないか甘やかされてないか確認に来てくださいね!」



なおの目にも涙が光っていました。



まだ先輩たちは卒業するわけではない・・・。

でも、その足音はどんどん近づいているんだ・・・。



中学までは先輩に対してそんな事を思った事も無かったのに、高校生になるという事は、少し心も大人に近づくという事なんだなと実感しました。



きぃ先輩「もう!あんたらは!!」



そう答えるきぃ先輩の目にも涙が・・・。



部長「お前ら、そんなんきぃに言うてたら、マジできぃ、毎日来るぞw」



旧部長の声に



なお&あき「え・・・。毎日はちょっと・・・。」



思わず私となおの声がかぶって答えてしまい、部室はまた大爆笑!



新部長「先輩たちの築いた伝統を壊さんように、そして、女子部の指導も合わせて俺ら2年がしっかりと引き受け、1年ももちろん諸先輩方に恥じんように精進します!これからも卒業まで、ご指導ご鞭撻のほどお願いします!」



新部長の礼にあわせて全員で礼をしました。



3年のセンパイ方「おう!また来るから!しっかりな!!」



そう声をかけてくれて、3年生たちは去って行きました。



そこからは2年生のセンパイ達がかいがいしく面倒を見てくれていたものの、なんだかやっぱり上がって来ないモチベーション・・・。



しかもさんちゃんは何かと理由をつけて部活を休むようになってきていて・・・。



なお「このままではあかんよなぁ・・・。」



あき「うん・・・。あかんのはわかってんねんけど、さんちゃんのモチベーション上がらん理由もわかるしなぁ・・・。」



さんちゃん、実は引退していった3年生の中に好きな人がいました。



でも、引退してすぐ、その先輩に彼女が出来てしまい、さんちゃんのモチベーションは下がり切っていました・・・。



なお「でもなぁ・・・。このまま欠席続いてたら部内の雰囲気も壊れるしなぁ・・・。」



あき「そうよなぁ・・・。」



なおと私が散々頭を悩ませていたのに・・・。



さんちゃん「なお!あき!うち今日から復帰するから!」



めっちゃ元気に声をかけてきました。



私もなおもビックリして顔を見合わせる位に元気。



あき「なんか・・・。どないした?」



さんちゃん「え?」



なお「いや、失恋したって・・・部活やる気出んって言ってたのに、急に元気になったやん・・・?」



さんちゃん「・・・聞きたい?」



『聞きたいような・・・。聞きたくないような・・・。』



さんちゃん「あんな、好きな人出来てん!」



なお&あき「はぁ!?」



唐突な発表過ぎてビックリ



さんちゃん「あんなぁ・・・。さっき、部長(新部長)と偶然擦れちごてんけど部長が『さん!部活ちゃんと出て来いよ!俺も待ってんねんからな!』って頭コツンってやられてん!」



あき「・・・はぁ、そうなんや・・・ん?」



なお「・・・まさか・・・。」



さんちゃん「えへ!なんか部長の事、好きになっちゃった!」



『なんじゃそりゃ!?』



さんちゃんの新しい恋は今始まりました(笑)

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