第18話
ゆうちゃん「今日、体調は?」
あき「大丈夫!ちゃんと寝たもん(笑)」
ゆうちゃん「そっか、イイコイイコ(笑)」
彼氏になってから初めてのデート、ゆうちゃんのスキンシップの多さにビックリはしていましたが、もちろん全然嫌じゃなかったし、すごく幸せでした。
ゆうちゃん「あきってさ、これくせ毛?」
あき「そう、もう伸ばしても伸ばしても毛先がクルンてなるから嫌やねん。」
ゆうちゃん「え?俺、ずっとこのクルンにさわってみたかったけどなぁ?」
毛先を指でクルクルされながら言われた言葉に
『くせ毛も悪くないかも?』って思いなおしてしまう単純な私でした。
電車で30分、目的地はショッピングモールに入った映画館でした。
ゆうちゃん「俺、めっちゃ映画好きやねんけど、あきは?」
あき「う~ん?小さい頃は親が良く連れて行ってくれてたけど、小学校高学年くらいから行ってないかも?」
友達とは映画を見に行くより誰かの家で恋バナしたりお買い物行ったりが多かったので映画は久しぶりでした。
ゆうちゃん「やっぱ女子って買い物系か!もしかして買い物の方がええ?」
あき「いや、ゆうちゃん女子の買い物とか興味ないやろ?それに映画久々やからすっごい楽しみ!」
ゆうちゃん「そんなん言うてたらホラーにするぞ!」
悪だくみな顔して言って来たゆうちゃん。
あき「え?ホラー平気やで?あ、でも『死霊のはらわた』系とか『猿の惑星』系は苦手かも。」
ゆうちゃん「え?映画見てないんちゃうの?」
あき「あ、中学の時の部活の顧問が映画好きやったから、毎週土曜日は映画鑑賞の日やって、学校の視聴覚室で色々見たよ?」
ゆうちゃん「そうなんや。」
ゆうちゃん「てか、顧問の先生のチョイスおかしない?」
あき「そこはみんな思ってたけど突っ込まんかったとこや(笑)」
実際に死霊のはらわたを見せられた後はみんなブーイングの嵐でしたw
ゆうちゃん「なんか見たいのってある?」
あき「え?うーん・・・。ゆうちゃんがどんなん好きか知りたいから、ゆうちゃんセレクトがええな。」
笑顔で答えたら、ゆうちゃんが選択したのは『天使にラブソングを』
ゆうちゃん「なんかせっかく初めてやから笑えるのがええかな?って思てんけど、どう?これでええ?」
あき「面白そう!自分ではチョイスせん系かもしれんから楽しみ!」
ゆうちゃん「ほなこれにしよか?」
あき「うん!」
ゆうちゃん「席は?どこがええか希望ある?」
ちゃんとひとつひとつ確認してくれる所に好感が持てました。
あき「特にはないけど・・・、あんまり前の方過ぎたら首痛なるから出来たら後ろがええかなぁ?」
ゆうちゃん「あ、席は元々後ろの方にする予定やから、ほな俺が決めてもええ?」
あき「うん!」
ゆうちゃん「ほなここで」
スタッフさんに指定していた席を横から見ると、意外な事に端っこのエリアでした。
あき「真ん中の方の後ろとるんかと思てたから意外やったぁ。」
そう伝えると
ゆうちゃん「いや、俺一人やったら真ん中やけど、隣にどんな人が座るかわからん席になったらあきが不安かもしれんから。」
『同い年なのにそんな事考えてくれんねや』と、気遣いに感動しました。
そして、学生同士やし、割り勘でと思って
あき「ゆうちゃん、映画代。」
そう言うと
ゆうちゃん「今日は初デートやから出させて?」
あき「でも、ゆうちゃんの大切なバイト代やのに。」
ゆうちゃん「大切なバイト代やからこそ、こういう時に使いたいねんて。」
『なんか嬉しいなぁ。今日は甘えてまおう』
あき「ほな、今日は奢ってもらうけど、次からは割り勘にしよね?」
ゆうちゃん「その時その時で決めたらええやん。」
あき「うん、わかった。」
『なんかゆうちゃんってあんまり女にお金出させたくない系の人なんかな?まぁゆうちゃんの給料日前とかはうちが払ったらええか』って思い、素直に答えました。
ゆうちゃん「まだ少し時間あるからゲーセンでも行く?」
初デートだったのでクレーンゲームとかコインゲームとかでのんびり過ごし、上映時間になったので映画館に移動しました。
ゆうちゃんがとった席は4人掛けの端っこの席の真ん中ふたつ。
確かに混んでる映画館だったら『おひとり様』が座るかもしれませんが、田舎の映画館なのでそんなに混んでも無く、上映が始まるまで誰も座る事はありませんでした。
ドリンクを買ってポップコーンを買っていざ椅子まで行ったんですが、つないでる手を離すタイミングが・・・というより、手を離したくなくて、右手はずっとゆうちゃんとつないだままでした。
上映が始まるまで、ドリンク飲んだり小声でお話したりしてましたが、
ゆうちゃん「手、離さなポップコーン食べられへんなw」
あき「せやなw」
ゆうちゃん「離す?」
離さなきゃ食べられないのは分かってても、何となく『離したくないなぁ』って思ってたら、ゆうちゃんがポップコーンの反対側にある右手で一粒つまんで
ゆうちゃん「ほい、あーん。」
ってしてきて、恥ずかしさにちょっと戸惑いはしましたが、食べさせてもらいました。
あき「美味しい。」
ゆうちゃん「な?」
そして、それからはずっと自分がポップコーンを食べるタイミングで『あーん』で食べさせてくれました。
ちょっと恥ずかしくて、すごく幸せな上映までの待ち時間でした。
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