第16話


汐ちゃんグループは、汐ちゃんのクラスの『せいちゃん・まのちゃん』、私のクラスの『黒ちゃん・私』の5人で良く一緒に居ました。



汐ちゃんは最近新彼氏のセンパイと一緒にお弁当タイムでしたが、汐ちゃん以外はお弁当食べるのとかも一緒に食べてましたし、合同授業とかはみんなで行動していました。



汐ちゃんに打ち明けた翌日、恐れていたことがおこりました。



あき「黒ちゃん、おはよ~。」



同じクラスの黒ちゃんに挨拶しました。



黒ちゃん「・・・」



プイッと顔を背けられました。



瞬時に理解しました。

『あ、汐ちゃんに聞いたかな?もしかして仲間外れされてる?』



直感でそう思いましたが、とりあえず汐ちゃんの様子を見ないと何とも言えないので、昼休みまではスルーで過ごしました。



そして昼休み、いつもなら隣のクラスからせいちゃんとまのちゃんがお昼ご飯誘いにきます。



まのちゃん「くろ~!ご飯行こ!」



懸念してたとおり、お誘いはやっぱり黒ちゃん限定でした。



仲間外れ確定です。



理由は言わずもがな、ゆうちゃんの件でしょう・・・。



見かねたなおとさんちゃんが昼ご飯を一緒に食べてくれました。



なお「なんとなくこうなるかな?っては思ってたけど・・・。予想にたがわぬ行動をする人やな。」



なおは元々汐ちゃんに良い印象を持ってなかったので辛辣でした。



あき「ま、仕方ないよ、自業自得やし。」



さんちゃん「でも、汐ちゃん、1週間位で別れたやん?しかも汐ちゃんから振ったのに、なにに執着があるん?この態度はなんか納得いかん!」



確かにそのとおりだとは思いますが・・・。



あき「ええんや、覚悟はしてたから、理解してくれたって一瞬でも喜んだうちがアホなんよ」



あき「なお、さんちゃん、気にしてくれてありがとう~。理解してくれる人もおんねやって嬉しい。」



なお「なに水臭い事言ってるん!明日からも一緒に食べよや!」



さんちゃん「そやわ~!うちらはゆうちゃんとあきを応援するからな!」



物凄く心強く感じました。

同じ部活に2人が居てくれる事を本当にありがたく感じました。



たーちゃん「あれ?3人そろってどないしたん?」



さんちゃんが説明したら



たーちゃん「なにそれ!明日からはうちも一緒に食べる!」



あき「たーちゃんはいつものグループあんねから無理せんでええよ?」



たーちゃん「アホ!うちはあきと幼稚園からの付き合いやねんから、こんな時こそ一緒におらなあかんやろ!」



皆の気持ちが嬉しくて涙が出てきました。



目野くん「お?あきどないしたん?」



女子「目野!男はあっち行け!」



まさかのクラスに残ってた女子全員が目野くんをクラスから追い出しました(笑)



そしてみんな『うちらはみんなあきの事応援するからな!』って言ってくれました。



小声で話していたものの、『なんか結構な数の人が聞き耳立ててたんだ』って驚きました。



そして部活の時間になり、部活は何事もなく終了しました。



帰ろうとした時です。



ゆうちゃん「御津・やす!今日はたーちゃんと一緒に先帰ってくれん?」



やすくん「ん?どないしたん?」



ゆうちゃん「ちょっとな。」



御津くん「ま、ええやん。たーちゃん、帰ろ?」



急にゆうちゃんと2人で帰る事になって『え?何事?』ってキョトンとしてしまいました。



ゆうちゃん「さ、俺らはゆっくり帰ろか?」



ゆうちゃんに促され、2人で自転車をおしながら歩きました。



あき「どしたん?急に?」



ゆうちゃん「ん~?・・・昼休みにあきが泣いてたって目野に聞いてん。」



『目野~!いらんでええ事報告すんな!』って思っちゃいました。



ゆうちゃん「もしかして、・・・汐となんかあった?」



あき「え?なんで?」



ゆうちゃん「だって、いつもはあのグループと一緒にメシ食うてんのに違かったみたいやし・・・。」



あき「あ~、ちょっとケンカしただけ!心配ないない!」



笑顔を作って答えました。



ゆうちゃん「ほんまか?」



あき「うん、大丈夫!そのうち仲直り出来るやろし!」



『出来たらええけどな・・・。』

心の中でそう思ってちょっとだけ気分が沈んでしまいました。



しばらく無言で歩いていると公園がありました。



ゆうちゃん「ちょっと休もか?」



どんな形でもゆうちゃんと過ごす時間が長くなる事は嬉しかったので



あき「うん。嬉しい!」



素直に伝えました。



でも、特に話するわけでもなく、ただベンチに座ってボーッと2人で空を見上げてました。



『どうしよう。告白のチャンスやなぁ・・・。でも、振られたらこんな時間はもう来んのやろなぁ・・・。』



告白して、玉砕して、部活でも気まずくなったり、一緒に遊ぶこともできなくなるのかもって思ったら最後の一歩がどうしても踏み出せなくて。



でも、そんな時にゆうちゃんの小指がふと私の小指にふれました。



前の電車ではふれた瞬間にビクっとなってゆうちゃんに謝られてしまいましたが、この時はあまりに自然にふれている小指に2人とも身じろぎもせずにそのまま小指からお互いの体温を感じているかのようでした。



『ふれても離されない程度にはゆうちゃんも私の事、思ってくれてる?』

楽観的にそんな風に考えてドキドキしました。



『たとえフラれても友達に戻ってくれるかな?』

『気まずくてもゆうちゃんとの時間が欲しいな・・・。』

『もう、キモチ隠すのしんどいな・・・。』



告白するべきか、せざるべきか、かなり悩みましたが、『ダメ元で告白しよう!』と決めました。



ダメだった時の事はその時に考えたらいい!

どうしても考えがまとまらなかったらなおやたーちゃん・さんちゃんに相談すればいい!



『応援するよ!』

みんなが伝えてくれたその言葉が背中を押してくれました。



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