第15話


お出かけが終わり、ゆうちゃんとわかれてからも、ずっとずっとゆうちゃんの事が頭から離れませんでした。



『好きなのに、好きじゃないフリをするの・・・。もう辛い・・・。』



気持ちにも限界が来ていました。



『汐ちゃんに言わなあかんな・・・』

『わかってくれるかな・・・』

『怖いな・・・。やっぱり言えへん方がええかな・・・』



ベッドの中でずっと考えてましたが、日曜日の夕方に決意しました。

『やっぱり汐ちゃんに言おう。』

『そして、いつかちゃんとゆうちゃんに告白したい・・・』



決心しては揺らぎの状態でしたが、とうとう月曜日が来ました。



うちの部活は朝練自由でしたが、私は結構朝練の空気が好きだったのでほとんど皆勤賞で朝練にでていました。



その日は丘センパイと西センパイがすでに来ており、3人で的へ矢を放ち続けました。



丘センパイ「どしたんや?あき、今日集中力すごいやないか!」



西センパイ「ホンマや!俺らより当たってるし(笑)」



あき「えへへ。昨日いっぱい寝て決めたことがあって、勇気出すために的前にきたんです!」



2人とも『そうか~頑張れ!』と、何のこっちゃらわかってないけど応援してくれました。



そして、そろそろ切り上げようかな?と、思ってる時に、御津くんとゆうちゃんが来ました。



御津くん「おはようございま~す!」



ゆうちゃん「おはようございま~す。みんな早いですね。」



西センパイ「いや、お前らが遅いんやし!」



丘センパイ「そやそや、さっさと準備せな射る時間ないぞ!」



御津くん・ゆうちゃん「は~い!」



男子部室に荷物を置きに行く時にあきの横を通ったゆうちゃんに頭をポンっとされ、『おはよ、体調は?ムリすんなよ!』と、目を覗き込んで言われ、不覚にもキュンってしちゃいました(笑)



そして朝練が終わって教室へ向かい授業を受けながらも考えてるのはたったひとつ。



『いつ汐ちゃんに打ち明けよう・・・。』



放課後はお互い部活だし、短めの休み時間とかはムリ。

そうなると昼休みしかないか・・・。



考えあぐねて、昼休みに話すことにしました。



そして、とうとう昼休みです。



隣のクラスに行って汐ちゃんを呼び出しました。



あき「汐ちゃん、ちょっとええ?」



ベランダから汐ちゃんに手招きして呼びました。



汐ちゃん「どしたん?今からセンパイと昼御飯やねんけど?」



あき「ゴメン、ちょっとだけ・・・。」



あき「急にごめんな、あの・・・、あのな、木野くんの告白、断ったから。」



汐ちゃん「え?そうなん?なんで?」



あき「言うてへんかってんけどな、うち好きな人おんねん。」



汐ちゃん「そ~なん?え?誰・誰?」



汐ちゃんは笑顔で聞いてきましたが、私は引きつった笑顔すらできませんでした。



あき「ごめん・・・。好きになったらあかんって思ってたんやけど・・・、うち、ゆうちゃんが好きや・・・」



そう言った瞬間に汐ちゃんから笑顔が消え、あきらかに動揺していました。



汐ちゃん「あ、ああ、そうなんや。」




汐ちゃん「・・・まぁ、うちら別れてるし・・・、ええんちゃう・・・?」




明らかに『良くはないんやろ?』って答え方でしたが、もう撤回は出来ません。



あき「ほんとごめん!汐ちゃんの元カレやからって気持ち殺そうとしたんやけど、ムリやった・・・。」



あき「もちろんゆうちゃんがどう思ってくれてるかはわからんし、・・・でもいつかは告白したいと思てるし、これ以上汐ちゃんに嘘はつきたくないから・・・。」



汐ちゃん「う、うん、わかったわかった!うん!うちも応援するわ!友達の恋やからな!」



無理をしつつ笑顔で言ってくれました。



本当に申し訳なくて、でも打ち明けられて、応援するって言ってくれて、ものすごく嬉しく思いました。



あき「ありがとう。うち、汐ちゃんも大好きやから・・・、ほんとごめん、本当にありがとう・・・」



話は終わり、汐ちゃんは今カレであるセンパイの元に向かいました。



申し訳なさで変な顔になってたんでしょう、教室へ戻るとなおに声をかけられました。



なお「どしたん?汐さんとなんかあったん?」


なおは汐ちゃんグループとは別のグループでしたし、汐ちゃんとの交流はなかったので汐ちゃんと私の事に何か聞いてくるのは初めてだったんですが、私やゆうちゃんと同じ部活でしたので、汐ちゃんとゆうちゃんが付き合ってあっと言う間に別れたのは知ってました。



あき「うん、なおにも言うてなかったんやけど、うち、ゆうちゃんが好きなんや、隠しててゴメン。」



なお「・・・やっぱな!」



あき「え?」



なお「気づいとったよ?」



あき「え?そうやったん?」



笑顔で頬っぺたをグリグリされました。



あき「汐ちゃんの元カレやから、諦めようと思ってたんやけど、どんどん気持ちが膨らんでしもて・・・、ゆうちゃんに告白する前に汐ちゃんには言わなあかんって思て今言うてきてん。」



なお「そっか、そんな悩んでたんやったらもっと早よ声かけたら良かったな。」



あき「いや、うちが決めて行動すべき事やったから、なお見守ってくれてありがとう。」



なお「頑張れ!あき!・・・私が見てる限り・・・。ゆうちゃんもあきの事・・・?って感じる事あるし、応援するからな!」



あき「う~ん・・・。それは多分気のせいかもw」



あき「でも、頑張れるだけ頑張ってみる!」



なおに話しながらも目が潤むのが感じられました。



『もう気持ちを隠さなくていいんだ・・・。』



たったそれだけの事ですが、遠回りしすぎて空回りしてた自分にとっては、かなり大きな一歩に感じました。



そして、すぐではないにしても、いつかゆうちゃんに告白しようと。

ダメでも良い、気持ちを伝えようと思っていました。



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