第7話



あき「こわ!なにあれ?昨日ちゃんと拒否したのになんでおんの?」



その頃にはまだストーカーって言葉は無かったものの、ハマキの行動は今でいうストーカー行為そのものでした。



たーちゃん「ま、電車のったらこっちのもんやし、ひとりにならんかったら大丈夫やろ?」



あき「せやなアホは相手にせんに限るわ(笑)」



あき「あ~、たーちゃんとなおがおってくれて良かった!明日なおにもお礼言わなな。」



たーちゃん「せやな。でも、あき相変わらず変なんに好かれるなぁw」



あき「いや、笑いごとちゃうで!マジで勘弁してほしいわw」



結構昔から『変わった人』や『変な人』に好かれたり付きまとわれたりしてたので、慣れてはいましたが、ここまで行動的に変な人は初めてでした。



たーちゃん「あきも笑ろてんやんw」



そう、ここまでは笑い話ですんでいました。

2人とも恐怖はもう終わったと思い込んでいました。



そして、最寄り駅で電車を降り、改札をくぐり、外に出たところで・・・



プップー プップー プップップー



ハマキの車が待ち伏せしていました。



たーちゃん「なんでおんの?なんでこの駅で降りるん知ってんの?」



車がいるのを見た瞬間に、昨日の自分の行動を後悔しました。



あき「昨日・・・。ここまで送ってもらったんや・・・。失敗した・・・。」



たーちゃん「あほか!なにしてんの!?」



あき「だってマジでこんなことになると思わんやん?」



たーちゃん「あき・・・、アイツマジでやばない?」



あき「やばいな・・・。とりあえずたーちゃんは自分の家に向かって帰って!危ないから。」



たーちゃん「いや、危ないんはあきやん!危なすぎるやろ!とりあえずあきの家まで送るわ!」



あき「いや、このまま帰って自宅突き止められるんも怖いから、うちも田んぼ道とか駆使しながら帰るし、ひとりの方が目立たんから・・・。車の入れへん道とかも通るから大丈夫や!それよりたーちゃんが1人になった時に危ない思いしたらあかんから、先に帰って!」



とにかくまずはたーちゃんを無事に帰らせないとと思いました。



そして、前日の行動がたーちゃんの家方面に歩いて行ったので、今日は違った家方向とは斜めに進む感じで他の方向に歩きだしました。



まず守るべきはたーちゃんの安全。

たーちゃんとは幸い家が逆方向なので、こっちに来てたらたーちゃんはロックオン出来ないはずだと思い、たーちゃんとは逆方向で家とも違う方向に進みだしたんですが、ハマキはノロノロ運転をしながら、後ろをついてきます。



ハマキ「なあ!あきちゃん!無視せんといてやぁ、ちょっと話しようやぁ!」



あききち「嫌です。話すこともありませんし、関わりたくないので2度と顔見せないでください。」



当時は警察に相談したところで無駄な時代でした。

まぁ、それに関しては今でもそうかもしれませんが・・・。



『ヤバイな、どうしよう・・・。とりあえずまずは人通りのある道を行こう・・・』



考えを巡らせて歩いてても良い案は浮かんできません。



仕方がないので、田んぼのあぜ道や細道を駆使してましたが、ハマキに先回りされてなかなか撒ききれませんでした。



結果、家まで5分で帰れるところを30分かけてハマキを撒いて帰りました。



そして翌日も、その翌日も・・・



部活が終わる時間に合わせてるのか、ずっと待っているのかは不明ですが、帰る時間には必ず校門にハマキの車がありました・・・。



あまりの恐怖に原センパイに相談するも・・・。



原センパイ「ハマキっち、うちに真剣にあきの事好きやって言うてきたで。少し様子見ながら考えてやってや。マジでええ奴やから!なんやったら今度はうちの彼氏も入れてWデートする?」



あき「いや、ホンマに嫌なんです。怖くてたまらんのです。勘弁して下さい。」



仕方がないのでハマキに襲われかけた話を原センパイにしました。



原センパイ「アイツ、焦ってたんやなぁ、多分もうせんやろ、だって好きやって言ってるんやから嫌われることはせんって!」



原センパイは『ハマキを応援してる』感じでしたので、もうこれ以上相談しても無駄だと分かりました・・・。



『どうしよう、今日も明日もきっと待ってる・・・』



部活には行きたい・・・。

でも、帰るのが怖い・・・。



その時ひらめきました!



『電車通学やめよう』



あき「たーちゃん、明日からうち電車通学やめるわ。」



たーちゃん「え?なんで?」



あき「ハマキはうちを電車通学やって思い込んでるから、自転車通学にして裏門から出て遠回りして帰ったらバレんと帰れるんちゃうかと思て。」



たーちゃん「お!なるほどな!よっしゃ、うちも明日から自転車通学に変えるわ!一緒に通学しよ!」



とてもありがたい申し出でした。



いくら何でもこの状態の自転車通学も一人きりでは不安でしかありません。



あき「たーちゃん、ありがとう。」



泣きそうな気持ちになりながら、たーちゃんに抱き着いてお礼を伝えました。



そしてその後はハマキに遭遇する事も無く、安心してたーちゃんと喋りながら帰宅できるようになりました。



なお「あき、その後ハマキ問題どうなってんの?」



あき「うん、チャリ通なんはバレてないみたい。全然表れてないからもう平気やと思う」



なお「そっか!よかった!」



ハマキの出現が無くなってからは部活に打ち込むこともでき、ゆうちゃんややすくん・御津くんとも絡みながら楽しく部活していました。




何事も無かったあの日までは・・・。



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