第6話




翌日、原センパイの元へ行きました。



あき「原センパイ」



原センパイ「あ、あき!ハマキっちどうやった?」



あき「えっと、うちにはちょっと合わんかなぁって・・・」



原センパイ「そっか、それは残念やったなぁ。」



あき「すいません。もう会う事は無いので・・・。」



原センパイ「わかった。また誰かええ人おったら紹介すんわ!」



あき「あ、それも今のところ間に合ってるので・・・」



原センパイ「ん?そうなん?」



あき「片思いですが、好きな人はいるので、すみません。」



原センパイ「え?そうなん?せやったら余計なことやったなぁ、わかった!頑張りや!」



あき「ありがとうござます!」



原センパイ「で?その人との進捗具合はどうやの?」



あき「まったくダメですね。相手にされてません。」



あき「でも、自分なりに気持ちにケリつくまでは好きでおったらええかって開き直ってますw」



原センパイ「そっか、あきらしいなぁw頑張りや!」



『良かった、これ以上粘られたらハマキのした事言うとこやった』



そりゃ事実なので言っても良いんですが、別に私の目的はハマキと原センパイを喧嘩させることではないので、言わずに済むなら言いたくなかったのでほっとしました。



放課後になり、待ちに待った楽しい部活タイムです。



部活にやりがいを感じていたのも大きいですが、何よりゆうちゃんと一緒っていうのが嬉しくて、いつも部活の時間が楽しみで仕方がありませんでした。



前日にはたーちゃんも弓道部に入部してきて、女子は3年生2人と1年生3人の5人になってました。



なお・あき・たーちゃん「こんにちは!お疲れ様です!」



元気に挨拶して部室に入ると、新しい顔がありました。



なお「あれ?同級生やな?」



リボンの色で同級生だとわかりました。



あき「きぃ先輩、入部希望者ですか?」



きぃ先輩「そう、明日から練習に参加するからよろしくしたってや!」



さんちゃん「山王丸です。よろしくお願いします。」



なお「すごい苗字やな、こちらこそ!頑張ろうね!」



あき「よろしく!・・・って、多分同じクラスよな?」



さんちゃん「あ、そうです。」



なお「え?そうなん?気づかんかった」



あき「なお、結構席近いと思うで?」



なお「え?マジで?ごめぇん!」




あき「てか、同い年やし、同じクラスやねんから敬語やめよう。うちの事はあきって呼んで、よろしく、さんちゃん!」



なお「あき、いきなり『さんちゃん』呼びかい!w」



あき「だってその方が仲良くなれるやん?」



センパイたちも一緒に女子部でわちゃわちゃしてたら、ゆうちゃんが会話に混ざってきました。



ゆうちゃん「あきあき!実は男子部にも新入部員来てん!」



あき「え?そうなん?」



ゆうちゃん「みっちゃん!こっちこっち!」



御津くん「ん?」



ゆうちゃん「女子部の同級生!あきとなおちゃんとたーちゃん・・・と?」



なお「さんちゃんやって!」



御津くん「初めまして、御津(みつ)です」



あき・なお・たーちゃん・さんちゃん「初めまして!」



なお「なんか仲良さそうやけど、ゆうちゃんと知り合いですか?」



ゆうちゃん「俺の幼馴染なんや!てか、そっちは仲良さそうなのに同中なんあきとたーちゃんだけやねんやろ?馴染むん早すぎやしw」



あき「やかましいわw」



部活のメンバーも増え、活気に満ちて来てました。



部活は男女同室なので、練習も一緒だったし、男女の区分なく仲の良い楽しい部でした。



そして、その日の部活終わり帰宅時に、楽しい部活タイムの余韻を吹き飛ばす出来事があきを襲いました。



1年全員「センパイ!お疲れさまでした!」



センパイたち「お疲れ!気ぃつけて帰れや!」



1年全員「はい!」



ゆうちゃん・やすくん・御津くんは自転車通学なので颯爽と走り去りました。



なおも自転車通学だったんですが、ゆうちゃんたちとは方向が逆なので、駅までいつも一緒に歩いてました。



校門を出てすぐ、クラクションの音がしました。



プップープップップップップー



特に気にせず駅に向かって歩いていると



プップープップップップップー



『え・・・?なんか・・・このクラクションの鳴らし方・・・。聞き覚えが・・・。』



バッと振り向くと、そこにはハマキの車が居ました。



ハマキ「あきちゃん!昨日はゴメンな!送るから乗ってや!」



一瞬頭が真っ白になりましたが、ひるんだら負けだと虚勢を張りました。



あき「アホか!誰が乗るか!」



たーちゃん「誰?」



あき「昨日話したやろ?例のハマキや!」



なお「うわ!」



ハマキ「ひどいなぁ、呼び捨て!?まぁ、それはそうと俺、真剣にあきちゃんの事好きになってもーたんや!はっきり物言うし、めっちゃエエ子やし!マジで俺と付き合おうや!」



あき「嫌です!ついてこんといてください!」



ハマキ「そんなん言わんと~」



あき「迷惑です!やめてください!」



なお「迷惑がってるんやからやめたってください!あき・たーちゃん、行こ!」



なおに促され、駅までの道を颯爽と歩きました。



それでもハマキはトロトロ運転でついてきます。



たーちゃん「しつこい!ケーサツよびますよ!?」



そんな事を言ってもまだ携帯電話の無い時代。

公衆電話は駅にしかなかったので、延々とトロトロ運転についてこられながら歩くしかありませんでした。



そして駅に着き、やっとハマキの車から解放されると思った瞬間です。



ハマキ「あきちゃ~ん!俺、あきらめへんから!ちゃんと気持ち伝わるまであきらめんからな!ちゃんと考えてみてやぁ!」



駅舎へ入っていく私たちの後ろからハマキが叫んでました・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る