第3話
部活にも入部し、学校生活も順調でした。
同中で仲良かったハナが友達が8組に居たので、良くゆうちゃんのクラスにも顔を出してました。
ゆうちゃん「おはよ!また来てんか、暇人か(笑)」
あき「ほっといて!ゆうちゃんに会いに来てるわけちゃうし!」
表面上は悪態つきつつも、ほんとはちょっとだけ『ゆうちゃんの顔も見たい』って思ってましたが、そこは思春期なので言えるはずもありません(笑)
しばらくはゆうちゃんとのやり取りで遊んだ後、汐ちゃんの所に行くのが定番でした。
あき「あ、汐ちゃん!言ってた雑誌持ってきたでぇ。」
汐ちゃん「ありがと!ラッキーめっちゃ見たかってん!」
汐ちゃんは別の中学から来た女の子でしたが、隣のクラスに顔を出すうちに仲良くなって、今は一番仲良いって言っても過言ではない位の子でした。
スレンダーで背も高く、すごく大人びた雰囲気の子で、同い年とはとても思えない雰囲気の女の子でした。
私はぽっちゃり体系でどちらかと言うと童顔で幼く見られがちだったので、汐ちゃんの大人っぽい雰囲気にあこがれていました。
そして、この汐ちゃんこそが、ゆうちゃんの初カノになる女の子なんです。
私とゆうちゃんがわちゃわちゃ遊んでる時に汐ちゃんも絡んで来てて、2人の距離はグッと近づいていき、ある日、汐ちゃんから告げられます。
汐ちゃん「あき!うち、ゆうちゃんと付き合う事になったよ!」
そこまで話が進むほど仲良くなってるとは思ってなかったからビックリしました・・・。
あき「・・・そ、そうなんや!良かったや~ん!汐ちゃん、早く彼氏欲しいって言ってたもんなぁ!・・・てか、ゆうちゃん好きなんやったら言うてくれたら良かったのに!協力できたかもしれんのに!」
汐ちゃん「えへ!ちょっと照れ臭くって言えんかったw」
あき「え?え?どっちから告ったん?」
汐ちゃん「うちから!ゆうちゃんが言うてくるはずないやんw」
あき「わからんでぇ!だって実際お付き合いOKしてんねんから!」
汐ちゃん「あきには早よ言わなって思ってさ!あきのおかげでハツカレGETやもん!」
あき「そんな思ってくれたら嬉しい!汐ちゃん、ホンマにおめでとう!」
自分の気持ちを殺して汐ちゃんに笑顔でおめでとうを言いました。
・・・泣きたい気持ちを何とか堪えて、笑顔で『おめでとう』を何とか言えました。
そう、この頃には私もゆうちゃんの事を好きになっていました・・・。
ゆうちゃんと一緒にいたらドキドキして、部活とかで体が触れると嬉しくなってしまう程に・・・。
でも、自分の気持ちを押し殺す事に慣れていたので、心にギュッと力を込めて笑顔を作りました。
『汐ちゃんは素敵な女性なんやから、うちが太刀打ち出来んで当たり前・・・。うちはしょうもない人間なんやから、ゆうちゃんかて汐ちゃんを好きになって当たり前や・・・。それに周りの人が幸せになれるんやったらそれでええやん!我慢して当然なんやから、笑顔でおめでとう言わな』
なぜかそういう意味の分からない感情をずっと持ち続けて生きてきていました。
私の中で、『我慢する事は当たり前、自分の思い通りに事なんて進めへん』と思っているところがありました。
『ゆうちゃんにもおめでとう言わな・・・。』
そう思ってゆうちゃんの方に行こうとするのに、足が動きませんでした。
そんな私の視線に気づいたのか、ゆうちゃんが近づいてきました。
ゆうちゃん「あき!今日委員会あるから少し部活遅れるってセンパイにいうといて」
あき「わかった!・・・てか・・・聞いたで!汐ちゃんとの事・・・」
いたずらっぽく精一杯の笑顔を作って話しました。
ゆうちゃん「あ~。俺も驚いてんけど、汐ちゃんええ子やしな!なんたってあきのツレやん?」
柔らかい、今まで見たことのない笑顔のゆうちゃんを見て、心がチクッと痛みました・・・。
でも、ゆうちゃんには幸せになって欲しい、笑っててほしいと思い、イタズラっぽい顔を作ってゆうちゃんに言いました。
あき「そやで!汐ちゃんめっちゃええ子やねんから、幸せにしてあげてや!」
必死の笑顔がばれてしまわないかドキドキしながら・・・。
あき「ま、ゆうちゃんもええ奴やと思うから、安心して汐ちゃんを任せられるわw」
ゆうちゃん「なんやそれ、なんで上から目線やねん(笑)」
そんな軽口をたたきながらも、私の心には少しずつ深く深く棘がねじ込まれながら刺さっていくようでした・・・。
・・・もし、この時、私が自分の気持ちに素直になってたら、『うちもゆうちゃんが好き!汐ちゃんじゃなくうちを選んで!』って言っていたとしたら、あなたはどうしたかなぁ?
考えても仕方のない事だけれども、もしかしたらあんなに遠回りしなくて良かったのかな?と今でもふと考えてしまいます。
もっとあなたとの大切な時間を共有したかった・・・、1秒でも長くあなたの隣で笑っていたかった・・・。
私たちの始まりは、前途多難で道が見えなくて・・・。
でも、きっとこう言う運命だったんだよね・・・。
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