第2話
あなたと出逢ったのは高校生になった春。
今までの同級生との顔ぶれも変わっちゃって、ドキドキしてたあの春。
最初に仲良くなったのは『なおちゃん』
隣の中学から来た彼女は、姉御肌の頼りがいのある女の子。
私と同じ中学から来たたーちゃんと席が前後で、あっという間に仲良くなりました。
入学式が終わって、部活案内のオリエンテーションを隣同士で見てた時のなおちゃんの言葉がすべての始まりです。
なおちゃん「なぁなぁ、あきちゃん、このセンパイ超カッコよくない!?」
あき「う~ん・・・。カッコええけど、好みではないかなぁ。」
なおちゃん「え~!?うちめっちゃ好みやねんけど!」
あき「ほな部活見学だけでも行ってみる?」
なおちゃん「ええん!?付き合ってくれるん?」
あき「ええよ!どうせ色々見ようと思てたしw」
なおちゃん「きゃ~!ありがとう!あきちゃん!!てか、ちゃん付けめんどいから『あき』って呼んでもええ?」
あき「もちろん!ほな、うちも『なお』って呼んでええ?」
なお「もちろん!」
あっという間に『あき』『なお』って呼ぶようになって、仲良くなって・・・。
友達を作るのなんて簡単だったあの頃。
そんな、すべての事が簡単だと思ってた頃、自分が頑張ればすべて手に入れることが出来ると思ってたあの頃・・・。
そんなあの頃に出逢ったあなた・・・。
なおに誘われて行った部活見学であなたと初めて逢いました。
あなたは覚えてる?
私たちの出逢いを・・・。
なお「なぁなぁ、あきは部活紹介で気になった人いてへんの?」
あき「・・・おらんおらん・・・てか、あんまりじっくり顔見てへんわ(笑)」
あき「なおはやっぱあの弓道のヒト?」
なお「そう!だってめっちゃかっこよくない!?道着もメッチャ似合ってたやん!」
あき「かっこよかったけど、うち可愛い系のが好きなんよなぁw」
そして校舎からちょっと離れた辺鄙な場所にある部室に着いたのでドアをノック。
『コンコン』
なお「あの~・・・。部活紹介で拝見して気になったので来たんですが・・・。見学させて貰っても良いですか?」
部長「お!早速来てくれたんや!大歓迎やで!どうぞ入って!!」
あき「お邪魔しますぅ・・・。」
さすがに先輩だらけの中に入っていくので、なおも私もドキドキしてました。
その緊張のせいで入り口でこけそうになっちゃいました。
きぃ先輩「あぶな!大丈夫!?」
女性の先輩が駆けつけてくれました。
あき「す・・・すいません!恥ずかし!!」
きぃ先輩「緊張するよなぁ(笑)私も最初緊張しすぎて挨拶かんだもんな(笑)」
カズ先輩「あの時のきぃ、めっちゃ可愛かったのに、今はこんなに図太・・・逞しくなって・・・(笑)」
きぃ先輩「なんやて!?カズ!許さん!」
『ブハ!』
先輩たちの夫婦漫才に思わず吹き出してしまいましたw
きぃ先輩「部活見学、ここが初めて?」
あき「はい。なおちゃんとここから回ろうって意見が一致したんで。」
なお「あの!俵みたいなヤツ打ってるの、すごくカッコよかったです!」
きぃ先輩「・・・まだ打たしてはあげられへんけど、弓、持ってみる?」
あき・なお「ええんですか!?」
きぃ先輩「うちの使こてるヤツやからええよ。」
持たせてもらった弓は、なんだかしっくり手になじんで、持手の皮のしっとり感にときめいてしまいました。
あき「あの・・・。私、この部活に入部します!」
なお「えぇ!?ここでもう決めんの!?」
そりゃ驚くはずです。
だって、この部活に積極的に興味を持ってたのはなおだったんですから(笑)
あき「うん。うちはここがいい!いつか弓で的をうってみたい!」
なお「・・・じゃあ、私も入部します!」
あき「え?なおは他のとこも見て決めたら?」
なお「イヤヤ!うちかてうってみたいもん!」
部長「あはは!なんや男前な決断力の女子が2人も入ってくれると嬉しいわ!
!」
きぃ先輩「ホンマに他の部活見んでええん?」
なお・あき「はい!決めました!」
きぃ先輩「・・・そっか!嬉しいし、もちろん大歓迎!これからよろしくな!今日は見学していく?」
なお・あき「はい!」
そう返事して先輩たちが用意してくれた椅子に座って見学している時に自転車で2人乗りして現れたあなた・・・。
なお「・・・なぁ、あき!見て!!早くもカップル発見や!しかも、後ろに乗ってる彼女・・・めっちゃ可愛くない!?」
あき「ホンマや!同中とかでのお付き合いなんかな?うらやましいなぁ・・・。あきも彼氏欲しいぃぃぃ!」
小声でキャッキャ言いながらカップルを見ていました。
自転車が部室の前でとまり、彼氏さんの方が先に入ってきました。
やす君「失礼しまぁす。部活見学させてもらいたいんですが良いですか?」
後ろからヒョコっと顔を出す可愛い彼女・・・。
『ホンマに可愛いなぁ、あんなに可愛かったらモテるやろうなぁ』と思ってました。
だけど、その彼女の全身があらわになると・・・。
なお・あき「・・・男の子ぉ!?」
やす君と一緒にビクってなって驚いたその顔、いまだに夢に出そうなくらいw
そう、その『可愛い彼女に見えた男の子』こそがゆうちゃんでした。
本当に、ボーイッシュな女の子って信じて疑わない位可愛くて・・・。
その瞬間から、私の中ではゆうちゃんは『気になる男の子』でした。
見学しながらちょっとだけお話
やす君「自分ら何組?」
なお「うちらは2人とも7組やで」
やす君「俺は3組、ゆうは8組やからお隣やな」
『8組かぁ・・・。じゃあ体育とかでも絡むことあるなぁ』
ちょっとくすぐったい気持ちになりました。
ゆうちゃん「自分ら、次はどこの部活見学に行くん?」
声を出すとやっぱり男の子(笑)
あき「うちらは今、入部届出したとこ!」
やす君「え?もう決定したん?他の部、どこ見たん?」
なお「ここだけ!」
ゆうちゃん「え?ここだけ!?」
あき「うん、なんかな、弓持たせて貰ったらどうしても打ちたくなってん!だから、この部活で頑張るって決めたんや!な!」
なお「そうそう!決めたんや!な!」
2人で顔を見合わせてクスクス笑ってると・・・。
ゆうちゃん「すいません!俺らも弓、さわってみたいんですけど?」
きぃ先輩「ん?ええよ、さわってみ?」
ゆうちゃんとやすくんも弓を持たせてもらいました・・・。
そしたらいきなり・・・
ゆうちゃん「俺もココに決めます!入部届ください!」
やす君「ほな俺も!」
先輩たち、ポカンとなっちゃいました。
部活「今年の1年は決断がはやいと言うかなんというか・・・」
きぃ先輩「まぁ、誰も入らんよりええやん!ようこそ!我が弓道部へ!」
そんなこんなで入学して3日目には部活が決まった私たちでした(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます