後日談 <閑話>
「万華、彼奴、蚩尤って言ったか? 」
「せや …… 」
万華は、一言答えた後、黙ってしまった。万華の拳を軽く受け止めて、投げ飛ばす者を初めて見た。やはり、ショックを受けているのだろう。
「そんなに、深刻に考えるな。これから対策を練れば良い」
ちょっと気休めのようなことを言ってみたが、万華には、俺が知らない所があると思っている。それが何かは分からないが、蚩尤が言った『万華の本気』が、まだ他にあるなら道は残されている。
万華は、まだ黙っている。今度は腕を組んで考え始めた。
「そんなに厄介な奴なのか。確かにお前を、あんな風に投げ飛ばした奴は初めて見たけど」
「厄介やな。これは厄介やで」
俺は、まだ気絶している加芽崎を抱えて、万華を見上げた。下からみた鎧姿の万華は苦悶している様に見えた。
そんなに深刻なのか。湘賢も加えて共同で対処するのが良さそうだが、万華が素直に首を縦に振るかどうか。
「如何するかな」
『如何する』って、万華にも策が思いつかないってことか?
「万華、湘賢の力も借りて、対策を練ってみたらどうだ? 」
「権さん、何で、ウチがあの屁理屈に頭下げなぁあかんねん」
「いや、蚩尤が強すぎて悩んでいるだろ? それなら、力を借りたらどうだ? 」
「何言ってんねん。ウチが悩んでいるのは、蚩尤が敵になのに、ええ男やからや。あんなええ男は、そうはおらへんで」
「 …… 」
仙人、天女の価値観は俺には分からねぇ。確かに、まあ、蚩尤は、いい男かも知れないが …… 考えるのを止めよう。
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