第24話 探偵 クエスト攻略会議を開催す
湘賢がアラキタ倉庫の話をしたいというので、俺達は事務所に集まった。
そのアラキタ倉庫だが、久保田が調べたところ、実は光度興産が使っており、4Thワールドカンパニー関連の様々な物が、保管されているらしい。禄念御組の件もそうだが、今回も4Thワールドカンパニーの影が見え隠れする。
などと考えているうちに俺の向い側に湘賢、フレリーが座った。久保田は相変わらずディスプレイの砦で何かをやっている。万華はと言うと、奥の俺の席に座ってスマホをいじっている。万華を知らない奴が見ると、普通の
「ワテが、アラキタちゅう倉庫を気付かれんように上空から調べとったらな、どうもおかしいんや。死の気配がプンプンするんや」
「死の気配ってなんだ?」
と俺は聞いた。
「死臭や」
と奥の俺の席から万華が答えた。
スマホをいじりながら、聞き耳を立てているだな。
素直にこっちに来れば良いだろうに。
まあ、定番通り、湘賢が万華の声に反応して、
「なんで、脳筋が、ワテの話、聞いとんのや」
と声を上げた。
「こない狭い事務所にいたら、嫌でも聞こえるやろ」
万華、狭い事務所で悪かったな。
「そんでも、お前が答えることあらへんやろ。黙っとけ」
と湘賢は反論する。
万華も湘賢も、言い合うための切っ掛けをお互いに提供しあっているように見える。ひょっとして、こいつら実は仲が良いじゃねぇのか。恋人のそれではなく、姉弟って感じだな。
「脳筋が言ったとおり、死臭や。それも1人、2人やあらへん。何十の規模や」
と湘賢は続けた。
するとフレリーが
「魔王ガガットの王城のようにか?」
と湘賢に聞いた。
湘賢は、黙って頷くことで答えた。
光度興産の他に、4Thワールドカンパニーと関係が深いとされているのが、アルタ貿易だ。そのアルタ貿易は、4Thワールドカンパニーの輸送管理を一手に引き受けて国際的な物流網を構築している。その一方で人身売買という黒い噂もある。
死臭か。嫌な予感がするぜ。
湘賢は、少し考えを整理する様な仕草をした後、
「勇者よ、聖剣は魔王の手にあるやも知れん。しかしや、もう時間を掛けてる訳にはいかへんで。このままやったら、犠牲者が増えるばかりや」
と真剣な眼差しでフレリーに言った。
それから、会議は続いたが万華は飽きたと言って先に帰った。残った俺達3人は、いつ頃クエストを開始するかの相談をした。
クエスト攻略会議が終了し、事務所の鍵を掛けていると、久保田が俺に耳打ちしてきた。
「組織は人体実験していたのですかね。ついにフレリーさんは、聖剣という秘密文書を奪って組織の秘密を暴くですね」
と小声で聞いてきた。
何時ものごとく、素晴らしい斜め上の見解だ。しかし、何時までも久保田だけ、騙しておくのも気が引ける。万華と相談して、今度、真実を話そう。
「そうだ。久保田は、ここで後方支援してくれ。決行は明後日の夜だ」
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